19ky-26





紅林 弘太郎(オリックス)内野手のルーキー回顧へ







紅林 弘太郎(駿河総合3年)遊撃 186/79 右/右 
 




「最近評判は聞かなくなった」 





 春先までは、上位指名も期待できる素材として評判だった 紅林 弘太郎 。しかし最近は、その名前がドラフト界隈から耳にすることはめっきりなくなった。果たして 紅林 の位置づけを、どのように考えれば良いのだろうか?


(守備・走塁面)

 残念ながら、一塁までの正確な到達タイムは計測できず。実際見ている感じでは、プロレベルだと 中~中の下 ぐらいの脚力はあるのではないのだろうか。大型としても動けない選手ではないのだが、だからといって盗塁をバシバシ決めて来るようなタイプには見えなかった。

 春季静岡大会では、試合前ノックは確認できたものの、雨で中止になってしまった。この日はグランドコンディションが悪かったのもあるが、うまくバウンド合わせられなかったり、ボールが手がつかなかった。また大型故に、どうしても最初の一歩目からフットワーク・・キャッチング・スローイングへの流れを見ていても、やや重苦しく感じてしまう。試合の映像を見る限りは、守備範囲は狭くても球際には強く、しっかり打球を処理しているようには見えたのだが・・・。

 いずれにしてもプロのショートとしては厳しい印象で、サードや外野あたりの人材ではないかと見ている。地肩はかなり強いので、深いところからでも送球が乱れずアウトにできる。最初の一歩目の反応が鋭くないのは気になるが、サードでどうかといったタイプではないのだろうか。

 守備・走塁ともに、高校生としては平均レベル。プロに混ぜた時に、何処まで守備・走塁での物足りなさを補えるまでスキルアップできるかではないのだろうか。


(打撃内容)

 力み無く、右に左にセンターへと幅広く打ち分けて来る打者との印象が強い。長距離打者というよりは、広角に打ち返す中距離ヒッターではないのだろうか。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 前の足を軽く引いて、後ろ足に重心をかけて構えている。グリップの高さは平均的で、背筋を伸ばして立てている。ただし全体のバランス・両眼で前を見据える姿勢には特徴はなく、可も不可もなしといった感じ。良いのは、打席でもリラックスして立てているところではないのだろうか。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた中距離打者やポイントゲッターに多く見られます。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足をあまり引き上げず、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも打ちたい万能型。踏み込むステップが狭めなので、どちらかというと引っ張って巻き込む方が得意なのではないかとは思えます。

 それでも踏み込んだ前の足は、インパクトの際にブレません。そのため外に逃げてゆくような球や低めの球に対しても、食らいつくことが可能になります。この選手が右方向にも打球を飛ばせるのは、外角球をさばく時に前の足元がしっかり止まって開きを我慢できているからだと言えます。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、ボールを力むことなく呼び込めている。バットの振り出しは、可も不可もなし。しかし内角をさばくのにも、それほど苦にしない感じ。むしろ外角の球をさばく際に、少し遠回りかなといった印象がある。

 インパクトの際にはバットの先端であるヘッドはあまり下がらず、広い面ではボールを捉えられている。スイングの弧は平凡だが、フォロースルーの段階にあるとグリップが高い位置まで引き上がっており、ボールを遠くに運ぶことができている。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げ小さく、目線の上下動は小さめ。身体の開きは我慢できていて、軸足の安定感もまずまず。何より、軸足の内モモの筋肉は強そうで、強烈な打球を生み出す原動力となっている。

(打撃のまとめ)

 特に当て勘が優れているとか、ヘッドスピードが鋭いとか、ドラフト候補として特別光るものはない。それでもある程度実戦の中で打ててしまうのは、潜在能力の高さ故かもしれない。しかし一つ間違えると、プロに混ぜてしまうと特徴を見出だせずに苦しむ可能性を感じなくない。バットのしなりを生かしたスイングではないので、木製バットだと、打球が思ったようには飛ばず苦しむかもしれない。


(最後に)

 大型の割には動けて、強肩。しかしそれは、あくまでも高校生の中であり、プロの中では特徴に欠ける選手になる可能性を秘めている。彼を見ていて思い出すのは、野原 将志(長崎日大-阪神1位)内野手。個人的にはスケールの大きな大型内野手として高く評価したが、プロでは特徴が見出だせないまま球界をあとにした。そう考えると、紅林 も、よほどうまくやらないと埋もれてしまう危険性を秘めている。

 10年ぐらい前ならば、こういったタイプも高く評価された。しかし現在のドラフトでは、恐らく3位~5位ぐらいの中位指名に留まるだろうということ。幸いにして今年のドラフト戦線では、右打ちの強打者タイプの内野手は不足している。そういった稀少性から、需要がある球団からは高めに評価される土壌は整っている。未熟でも打ててしまうという部分を、ポテンシャルの高さと見るか金属バットの恩恵とみるかは微妙だが、いずれにしても本会議中での指名は濃厚だとみている。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2019年夏 静岡大会)








紅林 弘太郎(駿河総合3年)遊撃 186/79 右/右 





「スケールは感じる」 





 この春は、ぜひこの 紅林 弘太郎 を生でみたいと、往復8時間かけて静岡まで観にいった。しかし雨で、試合前のノックしか確認できないまま終わってしまう。下級生の時の映像やこの春の試合の模様、それに日本代表合宿などのノックなども参考にしながら、この選手のイメージを膨らませて行きたい。


(守備・走塁面)

 186センチの体格は、グランドにいると実に目立ちます。大型ゆえに、上のレベルのショートとしてはスピード感・キレには欠ける印象。そのため守備範囲は狭いかなと感じる部分があるのと、試合前のノックを見ていると意外にポロポロしてボールが手につかないことが多い。そのへんは、日本代表のノックの映像を観ていても同様の印象を受けました。守備範囲が狭くても球際に強ければと思うのですが、こういう感じだと内野手としてはどうかな?と思う部分があります。いずれにしても、上のレベルではサードもしくは右翼あたりの人材ではないかと思います。ただし地肩はかなり強いので、その点は大きなアピールポイントではないのでしょうか。

 走力に関しては正確なものが計測できていないので、なんとも言えません。ただしグランドでの所作や動きを観ている限り、足でガンガンアピールして来るようなタイプの大型選手ではないように思えます。そういった意味では、守備・走塁に関してはかなり割り引いてみています。


(打撃内容)

 打球は、右にも左にも飛ばせます。高校通算20本台の数字が示すとおり、それほどスラッガーという感じはしません。二塁打が多そうな、中距離ヒッターでしょうか。打撃の映像は、この春の春季大会のものと昨秋のものを比較しながらレポートします。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 昨秋までは両足を揃えたスクエアスタンスだったのですが、今春は前の足を引いて懐に余裕がある構えになっています。グリップの高さは平均的で、腰の据わり・両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスも良くなっています。昨年は少しクロス気味構えていたので、そういった癖がなくなった気がします。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が下がりきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離ヒッターや勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。彼のプレースタイルには合致しており、昨秋の方が若干早く始動していたかもしれません。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を上げて、軽くベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。しかしこのへんは、打ち返そうとする方向によって多少変わってくるとみられます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。軽いアウトステップを採用しているということは、若干内角寄り、それも引っ張りを好む傾向が強いのかもしれません。

 それでも踏み出した足元、はインパクトの際に止まってブレません。したがって逃げてゆく球や、低めの球にも食らいつくことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配はありません。内角を捌く時には、腕をたたんで上手く肘を抜いて引っ張ることができています。逆に外角に対しては、上からバットを降り下ろして来るインサイド・アウトの軌道のままなので、ボールを捉えるまでロスがないものの、木製バットではしなりが効かせられないぶん苦労するかもしれません。

 ボールを捉えてからは前は大きくとり、フォロースルーも使ってボールを遠くに運ぶことができています。ヘッドスピードも速く、打球も強烈な選手です。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは小さく、目線の上下動は少なめ。身体の開きは我慢できており、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。したがって調子の波は少なそうで、軸足の内モモの筋肉も発達しており強烈な打球を生み出す原動力になっています。

(打撃のまとめ)

 想像以上に技術的にはしっかりしており、癖がないスイングができているのには驚きました。外角の球を捌くのにもインサイド・アウトになってしなりを活かせないので、木製バットだと飛ばないことに戸惑う可能性があります。ボールを捉える感覚があまり良くなさそうなのと、レベルの高い野球をそれほど体験してきていないだけに、プロの世界に順応するのには数年かかるかもしれませんが。


(最後に)

 守備は大型サードの人材ぐらいに見れば、ありだと思います。走力はあまり期待できませんが、想像以上にスイングには癖がなく、プロでも慣れてくれば頭角を現してくれるのでないかという気がしてきました。ボールを捉える嗅覚やセンスには少々不安は残すものの、大型選手ゆえの緩さなのかもしれません。

 イメージ的には、少し前の選手だと 野原 将志(長崎日大-阪神1位)、最近だと 渡邉 大樹(専大松戸-ヤクルト6位)内野手のようなタイプかと。渡邉ほど走力はありませんが、肩や技術的には高いところをみると、同ランクぐらいには位置づけられるかもしれません。貴重な右の大型内野手だけに、ドラフトでも5位前後ぐらいでは指名され気はします。そのへんは夏の大会で、その能力を見極めて決めたいと思っています。


(2019年 春季静岡大会)