19ky-24





遠藤 成(阪神)内野手のルーキー回顧へ







遠藤 成 (東海大相模3年)投手 178/82 右/左 





 「プロ志望届を提出」





 東海大相模の選手だけに、付属の東海大などに進む可能性が高いと思われていた 遠藤 成 が、プロ志望届を提出した。果たしてプロに指名されるとしたら、どのぐらいの評価になるのか考えてみた。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 一塁までの塁間は、左打席から4.05秒前後。これは、ドラフト指名される左打者の基準よりも若干速いタイムに該当する。春まではあまり走力を全面に出すプレースタイルではなかったのだけれども、夏の甲子園・近江高校戦では、二塁への盗塁を決めた直後に三塁への盗塁を試みるなど積極的にな走塁が目を惹いた。走塁でもアピールしようとする意識の変化が、ハッキリと読みとれた。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 打球への一歩目の反応・鋭さはあるが、それほど細やかな動きができる選手ではありません。ただし投手としてもコンスタントに140キロ台~中盤を刻めるように、深いところからでも強い送球ができる地肩の強さは確か。将来的にプロの遊撃手が任せられるかは微妙ですが、二塁・三塁・中堅など幅広い起用や可能性を秘めています。

 走力も守備力も、ドラフト候補としては 中の上 レベルはありそう。高校生のドラフト候補としては、指名を意識できるレベルにあるのではないのでしょうか。


(打撃内容)

 強烈なヘッドスピードを持ち味としており、甘い球を初球から思いっきり振れる攻撃的な打者です。オーバー・フェンスで魅了するというよりは、二塁打・三塁打などが多いタイプ。対応力よりも、破壊力を売りにしています。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を引いて、グリップの高さは平均的。腰は深く沈め、全体のバランスや両眼で前を見据える姿勢もそれなりといった感じがします。甘い球を逃さないのだという、高い集中力は構えから感じ取れます。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランス良く兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに見られる仕掛けです。

 春までは、若干早めの「早めの仕掛け」を採用。よりボールを引きつけてから動き出すことで、対応力も長打力を増してきた感じがします。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、まっすぐ踏み出します。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。まっすぐ踏み出したように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのでしょう。

 踏み込んだ前の足もしっかり止まっており、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができます。難しい球でも体勢を崩してもファールにするなど、ボールに食らいつく姿勢には目を見張ります。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体だが、バットを引くのが遅れがちで速い球への対応が気になります。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではありません。バットのしなりを生かしたスイングなので、木製バットでもしっかり飛ばすことができるはずです。

 内角の球に対しては、「開き」を我慢してうまくさばけています。特に甘い球は逃さず、強烈なヘッドスピードで思いっきり振り抜いてきます。そのため内角寄りの球は、引っ張って長打が呼び込めます。外角にはついて行けますし、内角の甘い球は逃しません。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはありますが、目線の上下動は少なめ。身体の「開き」も我慢できていますが、若干軸足が前に傾きます。身体がツッコまないように、普段から注意したいところ。軸足の内モモの筋肉には強さが感じられ、強烈な打球を生み出す原動力になっています。

(打撃のまとめ)

 難しい球をさばくというよりも、厳しい球をファールにしつつ、甘い球を逃さないで叩くといったタイプかと。また「トップ」の形成が遅れがちになるので、一定水準以上の球速・キレのある投手への対応が課題。プロの速さに対応するのには、少し時間がかかるかもしれません。しかし打球の速さ・スイングの強さはプロ級の素材ではないのでしょうか。


(最後に)

 守備・走塁・打撃と一定水準にあり、高校からプロに入るレベルには到達しているのではないのでしょうか。A級の素材ではありませんが、ドラフトでは5位前後ぐらいの指名になることが予想されます。個人的には、その順位以上に精神面を評価したい部分があります。上の順位で良いニ遊間候補を獲得できなかったチームが、指名してくるのではないのでしょうか。将来的にどのような選手に育ってゆくのか、楽しみな選手の一人ではないのでしょうか。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2019年夏 甲子園) 









遠藤 成 (東海大相模3年)遊撃 178/76 右/左 





 「ボールに食らいつく姿勢がいい」





 高校通算35本塁打を放つ強打者でありながら、粘り強くボールに食らいつく姿勢が素晴らしい 遠藤 成 。ただの強打者ではなく、気持ちの強さが感じられないナイスガイだった。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 一塁までの到達タイムは、左打席から4.05秒前後と基準以上。この春の神奈川大会では、5試合で1盗塁でガンガン足でかきまわすほどではない。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 ニ遊間選手に必要な、あまり細やかな動きができるタイプではありません。それでも打球への一歩目は鋭く、高校生の遊撃手としては基準以上。特に投手としても140キロ前後を連発できる地肩の持ち主でもあり、肩の強さには目を見張るものがある。あまり細かい動きができないところをみると、将来的にはニ遊間よりも三塁や外野あたりの人材かもしれない。しかし高校生遊撃手としては、走・守に基準以上のレベルにはある。

 走力も守備力も、ドラフト候補としては平均~中の上ぐらいと図抜けた存在ではない。しかし打撃が売りの選手だけに、守備・走塁が基準レベルを満たしていることは大きいだろう。


(打撃内容)

 非常にヘッドスピードが鋭く、打球も強烈。それでいて、ファールで粘ったり、難しい球に食らいついてゆくこともでき脆さは感じられない。今春の神奈川大会では、5試合で .438厘 2本塁打 9打点 と活躍し優勝に貢献した。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を引いた左オープンスタンスで、グリップの高さは平均的。腰は深く沈め、全体のバランスとしては並だが、両眼で前を見据える姿勢は悪くない。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。長打力もあるが、本質的には対応力重視の打者なのではないのだろうか。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて、真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの時間は充分あるので、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応しやすい。ただし地面を捉えるのが早く、それほど「間」を作れていないので、始動が早い割に対応力が高いのかは微妙といった印象は受けた。むしろ上手くタイミングを図るよりも、強く踏み込むことを重視しているのかもしれない。

 真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも幅広く対応したいタイプ。踏み出した前の足も、インパクトの際にブレずに止まっている。したがって逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができる。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力み無くボールを呼び込めるところは良いところ。ただしバットを引くのが遅れて、「トップ」を作るのが遅れないように注意したい。バットの振り出しも、けしてインサイド・アウトといったスイング軌道ではない。ある程度遠回りにバットを出しても、バットのしなりを活かした木製バット向きなスイング。それでも外の球を捌くのに、バットの先端であるヘッドも下がってはおらず大きなロスは感じられない。

 内角の捌きも上手く、ステップを狭めにとることで腰の回転を促しやすい。また上手く肘をたたんで、内角低めの球を見事にライトスタンドに叩き込んでいた。けしてスイングの弧が大きいとか、フォロースルーを使ってボールを遠くに運ぶといったタイプでもないのだが・・・。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げあるものの、それほど上下動は激しくはない。体の「開き」も我慢できているが、少し軸足が前に傾きがち。すなわち、体が前にツッコミやすいので注意したい。

(打撃のまとめ)

 強烈なヘッドスピードを活かし、内角の球などは実にキレイに振り抜けている。外の難しい球にも食らいつき、ファールで粘るなどしぶとさも兼備。簡単にはアウトにはならず、ボールに食らいついてゆく姿勢が技術以上に好感が持てる点。

 逆に技術的に何か特別凄いとか、素材的に図抜けているとか、そういった選手ではない。東海大相模の先輩である 田中 広輔(広島)のようなタイプではないのだろうか。


(最後に)

 通常相模の有望株は、東海大系列に進学することが多い。そのため上位指名確実とかいった素材ではないので、進学するのではと思える部分はある。それでもプロ志向が強く志望届けを提出すれば、指名されるのではないかと思わせるだけの力量は秘めている。同じ神奈川球児の 森 敬斗(桐蔭学園)に比べると、ワンランクポテンシャルでは劣る気はするものの、精神面では上まわるものがあるのではないのだろうか。それだけに個人的には、春の時点から指名リストに名前を入れてみたいと思わせる選手だった。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2019年 春季神奈川大会)