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熊田 任洋(東邦2年)遊撃 174/72 右/左 
 




 「凄く感性を感じる」





 体は小さいのだが、攻守に凄く独特の感性を感じさせてくれるのが、この 熊田 任洋 。神宮大会を一通りみた中で、野手ではこの選手が一番魅力を感じた。


(守備・走塁面)

 残念ながら、神宮大会の八戸学院光星戦では、一塁までの到達タイムは計測できず。1年秋の公式戦では、16試合で9盗塁を記録するなど、走力はそれなりあると考えて良さそうだ。2年秋の神宮大会では、4番に座っていたが・・・。選抜では、ぜひ正確なタイムを計測したい。

 1年夏の時点では、三塁手として出場。その年の秋から、遊撃手として出場している。正直打球への判断や送球など、まだまだ荒々しくて安定感のある遊撃手とは言い難い。しかし非常に守備範囲が広いのが特徴で、難しいところからでもアウトにするだけの身体能力と肩の強さを持っている。安定感や上手さは感じないが、凄いプレーを魅せられるといった部分では守備でも高いポテンシャルを感じさせる。





(打撃内容)

 けして、長距離砲とかそういったタイプではありません。確実性が高いので、ランナーを返すというポイントゲッターを期待されての起用だと考えられます。しかし内角にくれば、初球からスパンと振り抜きライトポール際まで運ぶなど、スタンドインできるパンチ力は秘めています。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 最初からベース側につま先立ちして待っており、そのためクロス(クローズ)の形で立っています。またグリップの高さは下げ気味に添えられており、打席ではリラックスを心がけます。腰の据わり自体は悪くないのですが、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスは並ぐらいでしょうか。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が沈みきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性や長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く見られる仕掛けです。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 小さくステップして、ベース側に踏み込むインステップをしてきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応します。またベース側に踏み込むように、外角を強く意識したスタイルだということ。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際には止まってブレません。そのため外に逃げる球や、低めの球を拾うのも苦にならないはず。またインステップすると懐が窮屈になりがちなのですが、この選手は全く内角を開かずさばけるので、それだけ内角への自信があるということでしょう。この選手のインステップは、それだけ外角球を逃さず叩こうというだけでなく、内角に投げさせるの誘う意味合いがあるのかもしれません。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 あらかじめグリップを捕手方向に引いて構えているので、打撃の準備である「トップ」を作るまでは遅れません。バットの振り出しは、外角の球に対し遠回りなることはありません。けしてインサイドアウトのスイング軌道には見えないのですが、内角の球を開かずさばけるのは、コースによってスイングを使い分けている可能性があります。

 外の球をうまく拾うために、バットの先端であるヘッドはうまく残せています。ボールを遠くに運ぶというよりは、しっかり最後まで振りきってきます。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは少ないので、目線の上下動は小さめ。体の「開き」は我慢できており、軸足もお大きくは崩れません。そういった意味では、軸のブレの少ないスイングだと言えるのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

  説明するのは難いのですが、ボールを捉えるまでに独特の感性があるように感じます。そのためボールを捉える能力に優れ、この点は高く評価できます。構えや動作には癖はあるのですが、下半身は止まっていますし、スイング軌道にも悪い癖はない。それでいて軸もしっかりしており、おさえるポイントはしっかりおさえています。


(最後に)

 守備はまだまだ見ていて不安なのですが、広い守備範囲を誇り大いなるロマンを感じます。一冬越えて、どのぐらいの安定感を身につけているのか? その一方で打撃に関しては、充分上のレベルで通用するものがあります。選抜の舞台で、その潜在能力を示せれば、一気に評価が高まるのではないのでしょうか。神宮大会では不完全燃焼のまま初戦で敗退してしまったので、ぜひ春のブレイクを期待せずにはいられません。現時点では、全国で一番魅力を惹かれる野手です。


(2018年 神宮大会)