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東妻 純平(DeNA)捕手のルーキー回顧へ



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東妻 純平(智弁和歌山3年)捕手 172/74 右/右 





 「捕手らしくなってきた」





 昨年8月に就任した元阪神の 中谷 仁 監督の影響だろうか? 東妻 純平 は、この一年でだいぶ捕手らしくなってきた。昨年までは、ただ肩が強い・打つだけといった印象が強かったが、細かく指示を出したりと周りの見えるプレーヤーになってきている。


(ディフェンス面)

 試合中でも、投手としっかり対話をしてプレーできる選手に。周りの野手にも、細かく指示を出したりと司令塔らしくなってきました。ミットをしっかり構え、そのグラブを地面に落とすことなく捕球。ワンバウンドするようなボールにもミット素早く下から出したり、ボール一つ一つのキャッチングもしっかりしています。ピンチでも冷静に対処でき、視野を広く持てるようになっています。しいて言えば、構えたコースから外れたようなボールが来てしまうと、腕だけで捕りにゆくときがあり、以前から指摘するようにまだ雑なところが顔を覗かせるときがあります。もう少しボールに対し、全身で止めにゆく姿勢は見せて欲しいところです。

 捕ってからの動作も素早く、塁間1.85秒前後で到達する送球・地肩の強さは全国でも屈指のレベルにあります。リードに関しても考える習慣は身についている感じなので、もっともっと良くなるのではないのでしょうか。この選手は下級生の時から智弁和歌山の4番を任される強打と強肩が注目されてきましたが、純粋にディフェンスの力でプロでやって行ける行ける選手ではないかと思います。


(打撃内容)

 2年春から4季連続で甲子園に出場しているのですが、いずれの大会でも3割以上を残すなど破壊力よりも安定感が目につきます。ときにはスタンドインするパンチ力を見せますが、長打で魅了するタイプではないのでしょう。最後の夏は6番と少し負担が軽くなり、素直に自分の力を発揮できていました。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合はまずまずで、全体のバランス・両眼で前を見据える姿勢は並ぐらいでしょうか。春はもう少しいびつな構えだったのに比べると、癖は感じますがバランスは取れてきたように思います。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がり始めるときには動き出す、「早めの仕掛け」を採用。確実性を重視した、アベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。このへんは、春と変わっていませんでした。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐから少しアウトステップ気味に踏み出します。始動~着地までの「間」は充分取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応できます。真っ直ぐからアウトステップということは、内外角広く対応したい反面、内角への意識はやや強いということでしょうか。

 踏み込んだ前の足は、早めに地面から離れます。これは、元来は引っ張って巻き込みたい打者ということでしょう。それでも甘めや高めの外角球ならば、払うように右方向にも長打を飛ばせます。やや内角が窮屈な傾向があるのですが、腰が早く開くタイプなので、これでもスペースを作れるので引っ張るのは苦手ではないはずです。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力むことなくボールを呼び込むことはできています。バットの振り出しは、腰が早く逃げる分少し遠回りに出がちなのですが、バットの先端であるヘッドは下がることなく思いっきり引っ張ったくことはできています。そのためドアスイングになるとか、そういった癖のある軌道にはなっていません。

 フォロースルーを使ってボールを遠くに運ぶとかするスイングではなく、身体の強さを生かして思いっきりひっぱたくので強い打球が野手の間を抜けてゆくのではないのでしょうか。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動は小さめなのは好いところ。身体の開きは充分我慢できているといったほどではないにしろ、軸足は地面から真っ直ぐ伸びており安定しています。調子の波は、少ない打者なのだと思います。むしろ春は、身体の開きは我慢できているけれど、軸足の形が崩れがちという全く逆の傾向が見られました。改善されているのか、たまたまなのかはわかりません。

(打撃のまとめ)

 構えから癖のある打ち方をしており、あまりいじられず感性でやってきたことがわかります。それでもこれだけの結果を残してきた選手であり、打撃もドラフト候補の捕手としては充分合格点の与えられるレベルにあると評価します。打てるコースが限られている印象は受けるのですが、よほど打ちまくらない限りはプロでも欠点ばかりを突かれるかどうかは? むしろ相手が捕手だと思って、甘く入ってきたところを逃さず叩くという、彼の良さの方が全面に出る可能性があります。


(最後に)

 攻守のバランスが取れていて、充分にドラフト圏内の捕手でしょう。特にスローイング・地肩の強さに関しては、プロに混ざってもチームでもすぐに上位に位置づけられるのではないのでしょうか。A級の素材かと言われると疑問は残りますが、ドラフトでも中位(3位~5位)ぐらいの間には充分指名されそうな選手であり、将来の正捕手候補として育ててみたいと思う球団も少なくないのではないのでしょうか。今年の高校生捕手では、全国でも屈指レベルの一人だと位置づけられます。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2019年夏 甲子園)


 








東妻 純平(智弁和歌山3年)捕手 174/75 右/右 





「指名は有力だけれども」 





 兄は、ロッテに指名された 東妻 勇輔(ロッテ2位)投手。兄にも勝るとも劣らない地肩の強さがあるが、高校時代の実力では、この 純平 の方が遥かに上の素材だと言えよう。プロ志望届けを提出すれば、高校からのプロ入りも充分に期待できるところにいる。


(ディフェンス面)

 しっかりミットを構え、けして地面に下げるようなことをしない。また一球一球しっかり受け止めるので、投手としては投げやすいキャッチャーではないのだろうか。低めの球にもミットを下から出すなど、素早い反応も悪くない。ただし座ったまま投手に返球するなど、全体的にプレーが荒っぽい捕手という印象は受ける。

 最大の自慢は、塁間1.85秒前後で到達するスローイングにある。捕ってからも素早く、地肩自体も一級品。高校球界でも、指折りの強肩捕手であるのは間違いないだろう。プロに混ぜても、チームで上位の存在になり得るはず。リードに関してはこれからといった感じだろうが、全く考えるセンスがないわけではないので、将来的にはそれなりの捕手には育つのではないのだろうか。上位指名でと言うほどの魅力は感じないが、本会議の中で指名される可能性は高いと評価している。





(打撃内容)

 緒戦の熊本西戦では本塁打も放ったが、基本的に引っ張って巻き込む打撃を得意としている。打撃にも粗さは感じるが、箸にも棒にもというほど脆くもないし、当て勘が悪いわけではない。確実性は高くはないが、甘く入れば一発長打の魅力も秘めている。

<構え> 
☆☆★ 2.5

 前の足を軽く引いて、グリップを高めに添えられています。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢は並ぐらい。ただし全体のバランスとしては、少しいびつな構え方をしているようには感じる。ただし構えは、本人が一番しっくり来る形で私は良いと考えている。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多く見られる始動です。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプかと。

 腰が早く逃げるのは気になるのですが、踏み出した前の足がしっかり止まります。したがって早めに開いた腰が、ある程度のところで止めることができる。すなわち甘めの外角球や高めの球ならば、対応できることが可能なのではないかと。

<リストワーク> 
☆☆★ 2.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るまでは、自然体で力みなくボールを呼び込める。ただしバットを引くのが遅れて、速い球に立ち遅れないように注意したい。

 腰が早く逃げてしまうので、どうしてもバットは遠回りに出てきやすい。バットの先端であるヘッドまでは下がらないは救いなのだが、どうしても捌けるコースは狭くなってしまう。基本的には、右方向におっつけるような打撃は苦手だと考えられる。甘めの外角球でも、引っ張って巻き込めるかに懸かっているのではないのだろうか。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはあるものの、比較的目線の上下動は小さい。腰は早く逃げても、開きはある程度のところまでで抑えられている。気になるのは、軸足の形が崩れがちで、調子の波は激しいタイプなのではないのだろうか。

(打撃のまとめ)

 どうも打てる球は限られていて、その球をいかに逃さざず叩けるかに懸かっている。上手く巻き込めれば、スタンドインできる長打力も秘めている。捕手であるならば、許容範囲の粗さではないのだろうか。ただしプロの一軍で、2割以上を残せる対応力を身につけられるかがポイントになりそうだ。

(最後に)

 地肩の強さを武器に、全体的にディフェンスに大きな欠点は見当たらない。しいて言えば、ちょっと荒っぽいプレースタイルで投手から信頼される捕手になれるかといったところだろうか?

 心配な打撃の粗さではあるのだが、捕手であれば許容範囲ではないかと判断する。けして打撃が弱いのではなく技術的に粗いのでは確実性が低いといったところ。それでも、智弁和歌山の4番を任されている打力はダテてではないはず。逆にこのぐらいの捕手を指名してゆかなければ、高校生で指名できる捕手は誰もいなくなってしまう。

 各球団指名リストには名前を載せている(残している)選手だと思うが、個人的には下位指名級(6位以降)ぐらいだと評価。しかし球団によっては、中位(3位~5位ぐらい)での指名を検討している球団があっても不思議ではないだろう。夏の内容次第では多少評価が変わることはあるかもしれないが、春の時点から ☆ は付けてみたいと思わせてくれる選手だった。



蔵の評価:
 (下位指名級)


(2019年 選抜)