19ky-17
黒川 史陽(智弁和歌山3年)二塁 182/82 右/左 | |
対応力が滅法あるわけでもまぃ、長打力に溢れているわけでもない。特に守備や走力にも際立つものはなく、どうしても 黒川 史陽 の良さが何処にあるのか掴めない。そして彼のことを褒める代名詞に、リーダーシップがあげられる。果たしてそれは、プロの世界に飛び込む段階で、重視されるべきポイントなのだろうか? 走塁面:☆☆ 2.0 一塁までの塁間を、左打席から4.3秒前後で走り抜ける。このタイムは、プロ入りする左打者としては遅い部類に含まれてしまう。一年夏から甲子園に5季連続で13試合に出場しているが、盗塁は僅か1個。この夏の甲子園では一番を務めていたが、走力でガンガン揺さぶってくるタイプではない。 守備面:☆☆★ 2.5 二塁手としては、可も不可もなしといった無難な守備を魅せる。それも大型のせいか? スピード感やキレに欠けるように見える。この夏の和歌山大会でも、5試合で2失策と堅実性を増した感じもしない。プロの二塁手としては物足りなく、よほど打力でカバーしないと三塁など違うポジションを担うことになるのではないのだろうか。 守備・走塁共にドラフト候補としては平凡であり、プロに混ぜてしまうと 中の下 ぐらいではないかと思う。そのため、よほど打力で圧倒できないとプロでは埋もれてしまうのではないのだろうか。 (打撃内容) 右に左へと打ち分ける、中距離ヒッターといった感じだろうか。しかしこの夏の甲子園では、13打数1安打 と絶不調。唯一記録したヒットも、ショートの前で大きくバウンドが跳ねたものがヒットになったものだった。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を引いて、グリップを高めに添えてバットを寝せて構える。背筋を伸ばし、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしてもまずまず。選抜時よりは、全体にバランスの取れた理に適った構えになっていた。 <仕掛け> 平均 投手の重心が下がりきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く見られる仕掛けです。彼のプレースタイルには合致していると思いますが、選抜では「早めの仕掛け」で6安打を放っていただけに、彼に合っているとは単純には言えません。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を引き上げて回し込み、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はソコソコで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。アウトステップするように、内角への意識が強いことがわかります。 選抜の時は、ベース側に踏み込んだり開いて打ったりと瞬時に使い分けることができると褒めました。しかしこの夏の足のさばきを見ていると、外角の球を打つ時もアウトステップしており、外の厳しい球に対しては手打ちみたいになっていた。踏み込んだ前の足はインパクトの際にブレていないのは好いのだが、アウトステップだけに甘め外角球や高めの球じゃないと対応するのは厳しいかもしれない。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球には立ち遅れる心配はない。あらかじめ「トップ」に近い位置にグリップを添えているので、リストワークが固くなって遊びがないのは気になる部分ではあるのだが。 バットの振り出しはインサイドアウトではなく、バットを寝せて捉えに来る。外の球に対しては、バットの先端であるヘッドを立てる意識があり、身体を残してレフト方向への打撃も可能にする。またインステップ腰の回転を促し、内角の球に際し肘を上手く絞れて振り抜けている。ボールに角度をつけて飛ばすタイプではないが、大きな弧を描き最後まで思いっきり振り切れている。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げは小さく、目線の上下動は少ない。身体の「開き」も我慢でき、軸足からも強さと粘りは感じられる。強烈な打球かつ、低めや左方向に流す打撃を可能にしている。春よりも、目線の上下動は小さくなって目線が安定していた。 (打撃のまとめ) 春はコースや球種に寄ってスイングを複数使い分けているように見えたが、この夏の模様を見る限り、そういった感じはしなかった。技術的には微妙に変化は見られているが、まだそれが自分のモノにできていないのかもしれない。技術的に低い選手だとは思わないが、これぞプロといった絶対的な長所は見当たらなかった。 (最後に) 守備や走力が平凡な上に、アベレージヒッターなのか長距離ヒッターなのかハッキリした方向性は見えて来ない。プロに入る選手が、売りはリーダーシップというのは曖昧過ぎないかと思えてしまう。そういった内面では推せる選手なのかもしれないが、やはり素材があって初めてプロなのではないかと思う。そういった意味では、残念ながらドラフト2位の選手でも、☆ を付けるほどの魅力は私には感じられなかった。こういった選手が、今後どのような選手人生を歩んでゆくのか注意深く見守ってゆきたい。 (2019年夏 甲子園) |
黒川 史陽(智弁和歌山3年)二塁 182/82 右/左 | |
1年夏から甲子園に出場し、4季連続大舞台を経験。2年春~3年春までの3大会では、いずれも甲子園で3割以上をマーク。そのため、全国でもお馴染みの打者だと言えよう 黒川 史陽。確実性とパンチ力を兼ね備えた打撃で、高校からのプロ入りも期待される大型内野手だ。 走塁面:☆☆ 2.0 一塁までの塁間を、左打席から4.3秒前後で走り抜ける。このタイムは、プロ入りする左打者としては遅い部類に含まれてしまう。秋の29試合で7盗塁を決めているように、全く動けない選手ではないが、上のレベルで盗塁を期待するようなタイプではないのだろう。 守備面:☆☆☆ 3.0 特に二塁手としては、可も不可もなしといった無難な守備を魅せる。二塁手としては大型のせいか? スピード感やキレに欠けるように見える。秋の29試合では、6失策。さほど堅実というほどでもないが、雑なプレーをするような選手ではない。身の丈にあったプレーで、自分のできることをするタイプの二塁手ではないのだろうか。 (打撃内容) 柔らかととパンチ力を兼ね備えた打者ではあるが、昨年の 林 晃汰(広島3位)のような圧倒的なパワーがあるわけでも、西川 遥輝(日ハム)のような天才肌のミートセンスがあるわけでもない。そういった意味では、中途半端に陥りやすい。 <構え> ☆☆☆ 3.0 前の足を引いて、グリップをあらかじめ捕手方向に引きながら平均的な高さに添えられている。背筋を伸ばしつつ両眼で前を見据える姿勢は悪くないが、全体としては少し癖があってバランスが悪い。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下りはじめてから動き出す、「早めの仕掛け」を採用。このタイミングでの始動は、アベレージ打者に多く見られる仕掛けだと言えよう。本質的には、対応力を重視した打者なのではないのだろうか。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を引き上げて回し込み、状況に応じて踏み込んだりベースから離れた方向に踏み出してくる。始動~着地までの時間は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。踏み込んで打ったり開いて打ったりと瞬時に判断して使い分けているので、コースへの対応は幅広い。踏み込んだ前の足も、インパクトの際にブレずに我慢。したがって逃げて行く球や、低めの球にも食らいつくことができている。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 あらかじめ「トップ」に近い位置にグリップを添えているので、速い球には立ち遅れない。しかしグリップをあらかじめ引いて構えると、リストワークに遊びがなくなって柔軟性を損ないやすいので注意したい。下級生の時よりも柔軟性が損なわれているのは、こういった動作にも影響があるのかもしれない。 バットの振り出しはインサイドアウトではないが、ロス無くインパクトまでは振り下ろすことができている。バットの先端であるヘッドも下がらないので、広い面でボールを捉えられている。したがってフェアゾーンにも、ボールは落ちやすい。 スイングの弧もそれなりで、フォロースルーも状況に応じて使い分けているようにも見える。コースや球種によって、複数のスイングを使い分けている節がある。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げが激しいので、目線の上下動はそれなりにある。体の開きは我慢できており、軸足の内モモの筋肉にも強さが感じられる。そのため、強烈な打球を生み出す原動力にもなっているのだろう。 (打撃のまとめ) 下級生の頃の方が、もっと打撃に柔らかさがあったようにも思える。パワーアップしたぶん、以前よりも柔軟性が損なわれて中途半端な印象は否めない。そのへんが、成長途上の生みの苦しさだと良いのだが。今回コースによってインステップさせたり、アウトステップさせたりしていることがわかった。また強く打球を叩くときもあれば、フォロースルーを使ってボールに角度をつけて飛ばすこともあり、複数のスイングパターンを使い分けていると考えられる。そういった意味では、こちらが抱くイメージ以上に幅の広い打撃が可能なのかもしれない。 (最後に) しかし現状は、走力・守備力でのアピールは薄い。さらに自慢の打撃でも、生粋のアベレージヒッターでも、天性の長距離打者でもないなど、特徴が見えづらい。そういった意味では、高校からプロ入りとなると推せる材料が乏しい気がする。まずは名門・強豪大学などに進み、実績を示してからという判断に落ち着くのではないのだろうか? 夏までは追跡したいと思うが、よほど劇的に変わって来ない限り、指名リストに名前を載せることは無さそうだ。 蔵の評価:追跡級! (2019年 選抜) |