19ky-13





石川 昂弥(中日)内野手のルーキー回顧へ







石川 昂弥(東邦3年)投手 185/87 右/右 
 




 「見直した」





 選抜までの 石川 昂弥 は、緒戦と決勝戦という注目される舞台では活躍したものの、あとの試合では何かバットの芯でしっかりボールを捉えられない打席が多く、周りの評価ほど良さがわからない選手でした。しかし∪18の日本代表の4番打者としての石川は、実に打って欲しい時に結果を残す頼もしい存在となっていました。その内容をみて、私は彼に対する認識を改めざるえないと実感しました。


走塁面:
☆☆★ 2.5

 一塁までの塁間は、右打席から4.35秒前後。これを左打者に換算すると、4.1秒前後に相当し、ドラフト指名される左打者の平均ぐらいのタイムです。実際プレースタイルを見ていると、足でアピールするタイプではないので今後も走力はどんどん劣化する可能性があります。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 2年春の選抜ではサードとして出場しており、むしろ打撃よりも強打者の割に守備が安定していることに好感が持てました。打球への反応、ボール捌きもよく、投手としても強肩であり丁寧にプレーしようという意思も感じられます。今後本格的にサードに専念すれば、プロでも信頼される三塁手に育つのではないのでしょうか。


(打撃内容)

 けしてスラッガーという感じではないのですが、非常に試合の勝敗に関わるところで仕事をする精神面には特別なものを感じます。プロでも本塁打の数よりも、打点で勝負するポイントゲッターになるのではないのでしょうか。∪18のワールドカップでも、JAPANの4番打者として 8試合 1本 9点 1盗 打率.333厘と信頼できる活躍を魅せました。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 ほぼ両足を真っ直ぐ揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合は好いが、若干背番号がセンターカメラからも読み取れるぐらいにクロス気味に立っている。そのため、両眼で前を見据える姿勢はあまり良くない。左投手の球筋を呼び込む時には好いが、右投手の時はあまり良くないだろう。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が下る時に一度ベース側にツマ先立ちして、本格的に動き出すのはリリーフ前後という「遅すぎる仕掛け」を採用。ここまで遅いタイミングで動き出すと、日本人の筋力やヘッドスピードではプロレベルの投手の球に対応するのは厳しいだろう。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足を小さくステップさせて、ややベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」が取れない打ち方なので、狙い球を絞りそれを逃さない「鋭さ」が求められる。軽くアウトステップするように、やや内角への意識が高いのではないかと考えられる。

 踏み出した前の足は、インパクトの際にしっかり止まります。したがってアウトステップでも、外角の真ん中~高めの球に対しては対応できる打ち方ではないのでしょうか。広角に打てる打者ですが、やや引っ張りたいタイプなのかもしれません。春までは少し内角の捌きが窮屈になるところがあったので、それを改善するためだとも考えられます。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 あらかじめ「トップ」のそばにグリップを置いているので、速い球に立ち遅れる心配はない。春までは自然体にバットを引いていたのだが、これは国際大会のためのスピード対策なのか?夏はこのスタイルだったのかは不明。バットの振り出しは、少し遠回りでも大きな弧を描いて、最後までしっかり振り切るスイング。やや内角への反応は遅れそうだが、センターから右方向への打球は飛んでゆきそうなスイングにはなっている。バットの先端であるヘッドもそれほど下がっていはいないので、ドアスイングというほどではないだろう。今の打ち方だと、それほど打球には角度がつかないだろうなという感じには見える。

 U18では、積極的に早いカウントから甘い球を逃さない積極性が光った。以前は比較的ボールをじっくり見るタイプだったが、その辺の意識の変化が、好い方に出ていたのではないのだろうか。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。身体の「開き」も我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて軸回転スイングできているところは好いところ。調子が悪くなると自分からボールを捕まえに行って身体が突っ込むので、そこだけは常に気をつけたい。

(打撃のまとめ)

 ∪18用に多少自分の打撃を変えていたとするならば、かなり考える頭とそれを使いこなす器用さが想像以上にあるのだなと思われる。特に春からの大きな変化は、早いカウントから打てる球は手を出すことができるようになったという、考え方の変化ではないのだろうか。技術的には始動の遅さなど改善してゆくポイントはあると思うが、まずはプロの壁に当たってから考えてゆけば好いだろう。


(最後に)

 チャンスの場面でも力むことなく、美味しい場面を持ってゆく精神面は実にプロ向きだと思います。守備でも打撃でも一軍のレギュラーまで昇りつめるまでには3年以上はかかるでしょうが、守備が安定しているということは首脳陣も我慢して起用しやすいタイプではないのでしょうか。

 生粋のスラッガーだとかそういったわかりやすさはありませんが、今年の高校生野手では頭1つ抜けた存在であるのは間違いないでしょう。それだけにドラフトでは、ハズレ1位~2位の間ではまず指名されると思います。私の評価も、それに相応しい選手になってきたと春よりも評価をあげることにしました。将来的には、2割8分・20本・80打点 以上を残せる選手に育ってもらいたいものです。


蔵の評価:
☆☆☆ (上位指名級)


(2019年 ∪18ワールドカップ)









石川 昂弥(東邦3年)投手 185/87 右/右 
 




 「美味しいところを持ってゆく」





 選抜に出場した5試合のうち、石川 昂弥 が活躍したのは、スカウトが集結している緒戦と決勝戦だった。あとの3試合の内容は、良いとは言えなかった。そんな美味しいところを持ってゆくのを大物とみるか、波のあるプレーヤーとみるかは人それぞれだろう。


走塁面:
☆☆☆ 3.0

 一塁までの到達タイムは、右打席から4.35秒前後。これを左打者に換算すると、4.1秒前後に相当する。このタイムは、ドラフトで指名される打者において、平均的なタイムだと言えよう。選抜の5試合では1盗塁の数字が示すとおり、それほど積極的に走塁でアピールするタイプではない。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 昨夏から目を惹くのは、三塁手としての打球への反応とボール捌きなど動きの良さ。新チーム以後投手に専念しているものの、投手としてのフィールディングの良さなどにも目を惹く。本格的に三塁あたりで鍛えたのならば、かなり上手い部類のサードになれるのではないのだろうか。逆にスピード感のあるプレーヤーではないので、ニ遊間といったタイプではないように思える。

 走力は平凡だが、貴重な右の三塁手という青写真は多くの関係者が抱く未来像ではないのだろうか。その期待には、応えうる可能性を充分秘めている。





(打撃内容)

 懐の深い構えからボールを呼び込み、強烈な押し込みでボール飛ばしてくる。内角の捌きが少し窮屈なのと、あまりバットの芯でボールを射抜けないのが個人的には昨夏から気になっている。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添える強打者スタイル。腰の据わり・全体のバランスは悪くないのだが、若干前の肩が内に入ってクロス気味に立っている。したがって両眼で前を見据える姿勢は、あまり良いとは言えない。それでも懐が深く、投手としては投げにくい感覚に陥るかもしれない。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が下る時に一度ベース側にツマ先立ちして、本格的に動き出すのはリリーフ前後という「遅すぎる仕掛け」を採用。ここまで遅いタイミングで動き出すと、日本人の筋力やヘッドスピードではプロレベルの投手の球に対応するのは厳しいだろう。ボールをできるだけ引きつけてから叩くという意味では、長距離打者の部類なのだろうが。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を軽く上げて、真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの「間」が極めて短いので、どうしても 点 のスイングになってしまう。あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められる。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角での捌きたいという、意志の現れを感じる。

 踏み込んだ前の足は、若干ステップが狭く窮屈に感じられる。したがって内角寄りの捌きには、あまり余裕がないのではないかと考えられる。それでも踏み込んだ前の足は、インパクトの際にブレずに止まっている。したがって外に逃げて行く球や低めの球に対しては、食らいつくことができる打ち方になっている。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体で、力むことなくボールを呼び込めている。バットの振り出しは、インサイドアウトでも遠回りでもなく平均的。甘めの内角球ならば捌ける範囲であり、また外の球を遠心力を使ったスイングでかっ飛ばすタイプでもない。良く言えば癖がない、悪く言えば中途半端とも言えなくはないだろう。

 インパクトの際には、バットの先端であるヘッドは下がって来ないので、フェアゾーンにボールは落としやすい。気になるのは、スイングの弧はそれほど大きくなく、フォロースルーなどを使ってボールを運ぶような強打者らしい形にはなっていないということだろうか。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが小さい割には、自分からボールを追いかけてしまうところがあるので注意したい。体の「開き」は我慢できており、軸足も地面から真っ直ぐ伸びているので、安定した打撃ができるようには見える。しかし実際は、良いときと悪い時の差は結構激しくように見えた。

(打撃のまとめ)

 始動の遅さからも、狙い球を絞って仕留めるのが得意な打者なのだと思う。そのためそれが上手くハマった時には、爆発的な活躍ができるのだろう。またそれほど大きなスイングをしているわけでも打球が飛んでゆくのは、インパクトの際にエネルギーを集約する押し込みが素晴らしいからではないのだろうか。

 強引に引っ張って長打を生むというよりも、センターから右方向への打撃を心がけ、そこの打球が伸びてゆく中距離打者といった印象を受けた。特に現時点では、スイングがものすごく速いだとかアテ勘に優れているといった特別なものは感じられなかった。この選手を見ていると、バットの芯でボールを捉えるのは下手であり、そのへんは芯が狭い木製バットだと顕著に出るのではないかと危惧する。


(最後に)

 注目される中、集中力を高めて結果を残せるマインドはプロ向きなのだろう。しかし安定したした打撃、なにか素材としての凄みは感じられず、個人的にはそこまで高い評価はできないでいる。スカウトの盛り上がりだと上位指名の盛り上がりだが、個人的には中位ぐらいの位置づけが妥当だといった印象を受けた。

 イメージ的には甲子園で活躍して1位指名を獲得した 堂林翔太(中京大中京-広島1位)の時に似ているといった印象は受ける。しかし堂林は内角の捌きに優れたものがあったが、この石川は真ん中~外角の球を得意としているという特徴の違いがある。いずれにしても夏までに、凄みみたいなものが出てくると上位指名にふさわしい選手との評価に変わってくると思う。そういった活躍を、彼には期待してみたい。



蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2019年 選抜)