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小峯 新陸(鹿児島城西3年)投手 189/78 右/左 | |
腰や肩の故障から、ようやく投げられるようになった 小峯 新陸 。この夏の彼の投球は、まだまだ病み上がりを感じさせるもので、満足の行くものではなかったのだという。そんな 小峯 投手の夏に迫ってみた。 (投球内容) 189センチの長身を活かし、ボールに角度を感じさせる球筋に特徴がある。 ストレート 常時135キロ~140キロ台前半ぐらい ☆☆★ 2.5 常時135キロぐらいで、力を入れた時に140キロを越えてくるといった感じ。まだまだ恵まれた身体を、充分に活かし切って投げられていない。ボールの勢い・キレも物足りなく、あまり細かいコントロールは無さそうだった。 変化球 スライダー・スプリット・カーブなど ☆☆☆ 3.0 スライダーでカウントを整えつつ、結構縦の変化を多く織り混ぜて来るピッチングスタイル。たまに緩いカーブを織り混ぜてきたりと、ストレートが元来の勢いがない分、変化球への依存度も少なくはありませんでした。現状まだ絶対的なボールはありませんが、相手に的を絞らせ難くする意味合いはあったのではないのでしょうか。ストレートに勢いが出てくれば、縦の変化も生きてくるかもしれません。 その他 クィックは、1.0~1.1秒ぐらいと、大型ですが素早く投げ込むことができます。動きは大型故に緩慢には見えますが、見た目以上に動けるタイプなのかもしれません。 (投球のまとめ) 故障明けだけに、まだまだといった内容でした。良い時を知らないのでなんとも言えませんが、体調が回復した時にどのぐらいのボールが投げられるかなのでしょう。逆に回復に戸惑うようだと、かなり厳しいプロ野球人生が待っていると思います。持っているスペックは高そうなので、そこに期待しての指名だと考えられます。 (投球フォーム) よくわからない部分も多いので、フォームを見て考えてみましょう。 <広がる可能性> ☆☆ 2.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばしているので、お尻はバッテリーライン上に残りがち。身体を捻り出すスペースは充分とは言えず、カーブやフォークのような身体を捻り出して投げる球には適していません。 また「着地」までの粘りが淡白なので、身体を捻り出す時間が不十分です。そのためキレや曲がりの大きな変化球の習得に厳しく、決め手不足に陥る可能性があります。球種は多彩なのですが、武器になる球を身につけられるかが課題です。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられ、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込めています。したがって左右のブレが小さく、両サイドへのコントロールはつけやすいと考えられます。また足の甲でも地面を押し付けられており、浮き上がろうとする力も抑えられています。 それでも制球が乱れがちなのは、まだまだリリースが不安定で再現性が低いからでしょう。順調さを欠いて投げ込み不足だったのも、コントロールに影響を及ぼしていたのかもしれません。リリースが安定してくれば、比較的コントロールのブレは少ないフォームだとみています。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 お尻が落とせないで窮屈な割に、縦の変化やカーブなどを使ってきます。ただしカーブの割合は少なく、縦の変化も握りが浅いスプリットということなので、それほど悲観しなくても良いのかもしれません。 角度が持ち味の投手の宿命なのかもしれませんが、ボールを持っている肩が上がりグラブを持っている肩が下がる傾向にあります。極端に送り出しに無理がある感じではないのですが、肩も痛めていたことがあるということで、日頃からケアには充分注意して欲しいところです。 力投派というよりは、むしろ身体を使い切れていない、強く全身を振れないタイプなので疲労は溜め難いのではないかと。ただし故障の影響で、無理はできないのかもしれませんが。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までのタイミングが淡白なので、打者としては苦にならないフォームなのではないかと。ただしボールの出どころは隠せているので、しっかりコースを突ければ痛手は喰らい難くはなると思います。 振り下ろした腕は身体に絡むなど粘りは見られるので、あとはもっと腕が強く振れるようになると良いのですが。またボールへの体重の乗せ具合は不十分で、まだ体重が後ろに残りがちに見えます。このへんが変わって来ると、もっと打者の手元まで生きた球が行くようになるのではないのでしょうか。ステップの幅もまだ適正ではないのか? 投げ終わったあと身体が一塁側に流れてしまいます。股関節の柔軟性を養いつつ、下半身の強化を図っていって欲しいものです。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に「着地」と「体重移動」という、下半身の使い方に大きな課題を感じます。制球を司る動作の土台は良いので、上半身と下半身のバランスが取れてリリースが安定して来るようだとコントロールは安定しそう。故障のリスクが少なくないのと、将来的に武器になるような変化球を習得できるかには懐疑的な見方はしています。技術的にはまだまだ発展途上の投手であり、これからの素材だと言えるでしょう。 (最後に) 腰痛などは、成長痛なのかもしれないので、その辺の問題はクリアできると判断しての指名かもしれません。肩の状態がどの程度なのかわかりませんが、プロ入り後満足に投げられるかがどうかが、一番のポイントなのではないのでしょうか。 絶対値がわからないのでなんとも言えませんが、この夏の投球を観る限りは指名レベルにあったとは思えません。良い時期を知っているスカウトが、今後回復が見込めると判断したからこその指名ではないかと。そこに期待して、見守って行けたらと思います。 (2019年夏 鹿児島大会) |