19kp-48





赤塚 健利(中京学院大4年)投手 195/109 右/右 (中京学院大中京出身) 





 「評価できるほど観られなかったけれど・・・」





 春のシーズンを不完全燃焼で終わった 赤塚 健利 。この秋は、観戦日程が合わず評価云々できるほど、しっかり試合をみることができなかった。そこで、わかる範囲で映像を確認したり、残した成績から、春からの変化について述べてみたい。


(投球内容)

 9/8 の岐阜大戦の模様がテレビで特集されていたようなので、その時の映像を観てみた。ちなみに、今シーズンは、
6試合 45回 30安 18四死 31三 防 2.20 と成績で終えている。

ストレート 146キロキロなど 
☆☆☆☆ 4.0

 日本人離れした重い球を投げる投手で、空振りよりも球威で詰まらせるタイプといった印象を持っていました。しかし、この岐阜大戦では、真っ直ぐで三振を奪う場面が多かった気がします。ただし、これは相手レベルとの関係もあるので、一概に球質が大きく変わったからという理由であるかは微妙です。今シーズンも、スカウトが詰めかけたこの試合では三振を多く取っていましたが、シーズンを通しては、45イニングで31三振と、1イニングあたりの奪三振は 0.69個 と平凡です。もちろんこれは、狙いに三振を奪いに行っていたのと、詰まらせて打ち取ろうといった意識の違いが、試合によってはあるのかもしれません。

 むしろ光ったのは、45イニングで30安打で、被安打率が 66.7% と低い点でしょうか。しかし、この数字も春はさらに少ない、49.2%でしたし、奪三振に至っては、投球回数を上回っていました。ボールの威力という意味では、春の方が良かった可能性さえあります。ちなみに、四死球率は 40.0% と、春の 59.0% から大幅に改善。このことからも、より
課題であった制球を重視したシーズンだったのかもしれません。

変化球 スライダー・フォーク・ツーシームなど 
☆☆★ 2.5

 あまり変化球の割合が多い選手ではないのですが、スライダーが高めで変化しているのは気になりました。真っ直ぐのインパクトが大きいので、たまに投げる変化球が効果的には見えます。フォークなどもスプリット気味で小さく沈んで引っ掛けさせる感じで、空振りを誘える感じではありません。ここぞという時に、仕留めきれる変化球は未だに無いようで、困ったら真っ直ぐでという色彩が強いのではないのでしょうか。

(投球のまとめ)

 防御率は、3.54 から 2.20 と幾分良化 。ただし、2年春~3年春までの0点台だった3シーズンに比べると、まだ完全復調できていたかは微妙です。特に、東海学院大戦に6失点したのが、防御率に影響しているように感じました。この試合を除くと、36イニングで5失点で、防御率 1.25 となりますので。



(投球フォーム)

 これだけだと材料不足ということで、フォームを昨年と比較しながら考えてみましょう。ノーワインドアップから、足をヒールアップさせて大きな反動を使って高くまで引き上げてきます。昨年は、セットポジションだったので、この辺の導入部は、かなり変わっていました。

 軸足一本で立った時には、特に膝がピンと伸び切ることなく力みは感じられませんし、適度にバランスが取れた立ち方になっています。この辺の形は、昨年と良い意味で変わっていなかったように見えます。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻は適度に一塁側にとは落ちているので、体を捻りだすスペースとしてはそれなり。カーブやフォークといった捻り出して投げる球種でも、無理は感じられません。

 ただし、「着地」までの地面の捉えは平均的なので、体を捻り出す時間は並みぐらい。こうなると、曲がりの大きな変化球の習得は厳しいかもしれません。今の感じだと、球速のある小さな変化を中心にピッチングの幅を広げてゆくスタイルになりそうです。

<ボールの支配> 
☆☆★ 2.5

 グラブを内に抱えられないので、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができません。また、腕が外旋しやすいのもあり、軸がブレやすく両サイドのコントロールは乱れやすい可能性があります。

 足の甲での地面の捉えも、つま先のみなので浮き上がろうとする力を充分には抑え込めません。したがって力を入れて投げると、ボールが高めに集まったり抜けやすい恐れがあります。「球持ち」は悪くないので、多少手元では制御できているとは思いますが ・・・ 。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻はある程度落とせているので、カーブやフォークなどを投げても窮屈になることは少なそう。そういった意味では、肘などへの負担は大きくないように感じました。ただし、かなり肘を下げて来る腕の振りなので、肘への負担は生じる可能性はあります。

 腕の送り出しも、そんな肩に負担がかかるほどには見えません。それでも腕が外旋してブンと振ってきたり、フォーム全体が力投派なので、それなりに体の何処かに負担がかかっている可能性はあります。春にあまり状態がよくなかったようなので、何処か痛いところが慢性的にあるのかもしれません。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは平均的で、イチ・ニ・サン のタイミングで打者は合わせやすい可能性があります。またボールの出どころも並みぐらいなので、打者としてはそれほど
合わせ難いフォームでは無さそうです。その辺を、日本人離れした重い球で抑え込むといったスタイルに見えます。

 
腕は強く振れており、打者としては吊られやすい側面はあります。「球持ち」も良く、ある程度ウェートを乗せては投げられているように見えます。その一方で、投げ終わったあと上体が一塁側に流れます。これは、作り出したエネルギーを、リリースまでにロスしてしまっている可能性があります。この辺が変わってくると、球質も良化してくる可能性があります。股関節の柔軟性を養いつつ下半身を強化して、ステップの幅などを見直すことで改善できるのではないのでしょうか。

(投球フォーム)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」「開き」「体重移動」が平凡で、伸び代を残している感じがしました。
制球を司る動作に課題があり、やはりコントロールに不安があります。故障のリスクはそこまで高いようには見えませんが、何処か慢性的に痛いところを抱えているのかもしれません。また、球種を増やす・広げてゆくことは可能かと思いますが、武器になるほどの変化球を習得できるかは、現時点では微妙です。そういった意味では、制球と決め手の部分で苦労する可能性は感じました。


(最後に)

 春から何が大きく変わったかとか、評価云々を変えるほど秋はしっかり観られませんでした。そういった意味では、評価を春から変えるほどの判断材料は揃っていません。成績やフォームを観ていても多少変わっている感じはするのですが、それがイコール良い方向に向かっているのかと言われると微妙です。いろいろ考え悩みながらの思考錯誤の一年だったのかなといった気はしました。

 そういった自分に合ったものを、プロで早めに見つけられるといいなといった気がします。それでも根本的に素材が損なわれたといったことはないので、大きな問題は感じません。上手く持っている能力を実戦に繋げられるようになると、NPBという枠を越えて、
世界に羽ばたいてゆく、そんなスケールを感じさせてくれる素材です。そういった能力を、上手く引き出せるようになることを、陰ながら見守りさせて頂きたいと思います。秋の材料では評価云々を変えるだけのものが揃わなかったので、評価としては春から据え置きとさせて頂きます。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2023年 秋季リーグ戦)


 








赤塚 健利(中京学院大4年)投手 195/102 右/右 (中京学院大中京出身) 





「状態が良くなかった」





 スペック的には、メジャー級と評価している 赤塚 健利 。 しかしこの春は、状態も良くなかったようで、投げたり投げなかったり、先発したりリリーフしたりと、不安定な内容で終わってしまった。


(投球内容)

 日本人離れした巨体から投げ込まれる、迫力の投球が自慢のスリークォーター。東海学院大では先発するも5失点で降板するなど、圧倒的な内容を示せないシーズンでした。ただし、朝日大戦では、9回を投げて14奪三振で1失点で完投勝利もあげています。

ストレート 145~150キロ台前半 ☆☆☆☆ 4.0

 
日本人離れした重い球を投げ込み、空振りを奪うというよりも球威・球速で押し込んで来るタイプ。制球は荒れ荒れのイメージはあるものの、実際は適度に両サイドに散らせて来る。ボールは荒れていても、四死球で崩れるといったタイプではない。ただし、昨年の平塚合宿で見た時は、力みからボールが上手く制御できていないこともあるので、あくまでも相手を見下ろして投げられる時というのが、条件としてついてまわるのかもしれない。

変化球 スライダー・フォークなど ☆☆★ 2.5

 スライダーに絶対的なキレや制球力はないのですが、速球を魅せつけてからの変化なので、それなりには効果はありそう。ややドロンと沈む、チェンジアップのようなフォークも時々織り交ぜてきます。空振りを誘うというよりも、カウントを整えたり、タイミングを狂わすといった感じです。
変化球のレベルは、大学生としては高いとは言えません

その他

 大型故に、牽制などのターンに鋭さは感じませんでした。しかし、クィックは、1.0~1.1秒ぐらいとまずまず。フィールディングも、うまくはなかったのですが、落ち着いてボールを処理できています。「間」を使うとか、微妙なコースの出し入れをするとか、そういった細かい投球術はないように見えます。

(投球のまとめ)

 昨秋に比べると、目に見えて良くなったといった感じはしません。そのかわり、ボールの威力などは健在で、そこまで状態が悪いといったほどでもなく、良い意味でも悪い意味でも、ボールを見ている感じでは変わっていなかった気がします。元々のスペックは確かな選手なので、状態が悪かった割には、素材が損なわれている感じはしませんでした。



(成績から考える)

 この春の成績は、
20回1/3 10安 12四死 26三 防 3.54 といった内容でした。

1,被安打は投球回数の80%以下 ◎

 被安打率は、49.2% と、
圧倒的なものがあります。やはりこの投手の真っ直ぐを、並の大学生が打ち返すのは容易ではないことがわかります。

2,四死球は投球回数の1/3以下 ✕

 下級生までのシーズンでは、粗っぽくても投球回数の1/3(33.3%)以下に留めていました。しかしこの春は、四死球率は59.0%と、
普段以上にコントロールが不安定だったことが伺えます。

3,奪三振は1イニングあたり0.9個以上 ◎

 奪三振は投球回数を遥かに上回っており、リリーフの基準でもある1イニングあたり0.9個以上の三振もクリアできています。このへんは、相手レベルもあり、本質的には球威のある真っ直ぐで詰まらせたり、小さな変化で微妙にズラすような
打たせてとる投手だとみています。

4,防御率は1点台以内 ✕

 この春の防御率は、3点台ということで、1試合の登板で終わった秋についで悪い内容だったことがわかります。2イニングしか投げられなかった秋と違い、ある程度のイニングを投げた中では、
入学後最悪のシーズンだったと言えます。

(成績からわかること)

 投げた試合での、球威・球速は健在でした。しかし、調整不足だったのか? 普段よりも制球が悪く、そのへんが失点に結びついてしまったのか? 防御率にも現れてしまったようです。そういった意味では、やはり
状態の悪さが成績にも現れてしまったシーズンだと言わざるえません。


(最後に)

 ボール自体は健在だったのですが、状態が悪く投げられなかったり、調子の悪い日もあったようです。力量的には、中位ぐらいで指名できるレベルだと思うのですが、そういった状態の回復、故障への不安などの問題を秋も引きずるようだと、評価はさらに低くなる可能性はあります。粗っぽい投球からくる怖さも加味すると、下位~育成 あたりまで残る。あるいは、日本人離れしたスペックを評価して、思いのほか高い評価をして来る球団が出ても不思議ではありません。球団によって、評価の振れ幅が激しそうな選手ではないのでしょうか。そのため、指名順位に関わらず、プロで大化けしても不思議ではないようにも思えます。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2023年 春季リーグ戦)


 








赤塚 健利(中京学院大3年)投手 195/102 右/右 (中京学院大中京出身) 
 




 「メジャークラスの素材」





 まさに、その投球内容・サイズ感でも、日本球界の枠では収まらないようなスケールを感じさせる 赤塚 健利 。 高校時代一躍甲子園をわかせた男の、現在位置を考える。


(投球内容)

 3年春のシーズンでは、6勝0敗 防 0.65 の好成績を残し、大学日本の選考・平塚合宿にも招集されていた。

ストレート 常時145キロ~153キロ ☆☆☆☆ 4.0

 先発だと、常時145キロ前後~150キロぐらい。リリーフでならば、150キロ前後を連発できる馬力があります。コントロールはアバウトですが、3年春のシーズンでは55イニングで16四死球と、投球回数の1/3以下に留めます。最大の特徴は、何より日本人離れした重い球にあります。

変化球 フォーク・スライダーなど? ☆☆☆ 3.0

 変化球の多くは、フォークだかツーシーム系の沈む球とのコンビネーション。ストンと落ちるというよりは、チェンジアップようにタイミングをズラせたり引っ掛けさせるといった球種です。それでもこの球を多く使うことで、真っ直ぐにだけ意識を傾けておけばといった感じではなくなり、低めへの目付けも必要になります。その他では、時々スライダーを織り交ぜてくる感じです。それでも55イニングで52奪三振を奪えており、1イニングあたり 0.95個 と三振も適度にとれていました。

その他

 高校時代から牽制をみたことがないのですが、フィールディングなどボール処理は落ち着いてできていました。クィックは 1.0秒前後~1.1秒ぐらいとまずまず。それほどボールをじっくり持ってとか、細かいコースの出し入れとか、そういった投球術はありません。そういった意味では、将来的にはリリーフタイプだと考えられます。

(投球のまとめ)

 破格の球威で詰まらせ、沈む球とのコンビネーションで引っ掛けさせる投球スタイル。荒っぽい投球ではありますが、それなりに試合をまとめたり、要所を締めたりできるので、そこまでメチャクチャにはなっていません。短いイニングであれば、大勢(巨人)投手ではないですが、プロレベルの打者相手でも球威や球速で圧倒できる可能性を秘めます。


(投球フォーム)

 今度は、フォームの観点から、いろいろ考えてみたいと思います。セットポジションから、足を勢い良く高い位置まで足を引き上げてきます。軸足一本で立った時には、膝がピンと伸び切ることはなく力みなく、適度にバランスも取れて立てています。

<広がる可能性> ☆☆☆ 

 引き上げた足は地面に向けてピンと伸ばしているので、お尻の一塁側への落としには甘さは残します。多少窮屈にはなりますが、カーブやフォークといった捻り出して投げる球も投げられないことはありません。

 「着地」までの粘りもそこそこで、体を捻り出す時間は並ぐらい。曲がりの大きな変化球というよりも、球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げてゆくことになりそうです。

<ボールの支配> ☆☆☆ 3.0

 グラブは後ろに流れ気味ではあるものの、最後まで体の近くには留められています。そのため外に逃げようとする遠心力を内に抑え込むことができ、両サイドの制球はつけやすいのでは? ただし、実際にはストライクゾーンの枠の中ではアバウトです。制球を乱す要因として考えられるのは、結構力んで投げてしまったり上下動の動きが激しいからかもしれません。

 足の甲での地面への押しつけも少し浅いものの、ある程度浮き上がろうとする力を内に留めることはできています。「球持ち」も思ったより良いのですが、指先の感覚はあまり良い方ではなさそうです。アバウトですが、適度に枠の中には投げ込んで来られるといったタイプでしょうか。

<故障のリスク> ☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さが残る割に、結構フォーク系の沈む球を投げているのは少し気になります。それだけ窮屈になって、肘への負担という意味ではどうでしょうか?

 腕の送り出しに関しては、特に無理は感じられません。そのため、肩への負担は気になりません。ただし、結構力んで投げてしまうタイプなのと、大きく勢い良く足を引き上げてといったフォームなので、疲労は溜まりやすいのではないかと考えています。実際試合でも、終盤になると球速が鈍ってきます。

<実戦的な術> ☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは平均的で、けして合わされ難いフォームではありません。それでもボールの出どころは隠せて投げられているので、あとは高めに甘く浮いた球を打ち返されてしまうケースは多いように感じます。

 腕は強く振れていて勢いがあるので、しっかり変化する球を身につけられたら空振りも多く取れる勢いはあると考えられます。ボールへの体重の乗せは出来ているのですが、まだ前にグッと体重が移ってゆくほどのものは感じられません

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に悪いといったほどではないものの「着地」や「体重移動」にさらなる改善が見られるともっと良くなりそう。制球を司る動作や故障へのリスク、将来的に投球の幅を広げて行けるかという部分では平均的で、どっとも言えずといった微妙なところ。ただし、見た目の粗っぽさに比べると、実際には箸にも棒にもといったほど、粗いフォームではありません。その辺が、実際の投球にも現れているのではないのでしょうか。


(最後に)

 スペック的な意味では、今年の候補の中でも屈指というか、NPBの範疇の枠を越えているようにも思えます。こういったメジャークラスの素材が、日本の野球界でどのように花開くのか? 見届けて行きたい選手です。20年前だったら難しかったかもしれない素材ですが、今の時代ならばモノにできるかもと思わせてくれるものがあります。


(2022年春 東海地区代表決定戦)










赤塚 健利(中京学院大中京3年)投手 193/103 右/右 
 




 「スペックはメジャー級」





 夏の岐阜大会をみていて一人気になる男がいた、それが 赤塚 健利 。193/103 という日本人離れした体格から、速球一本で押しこんでくる投球が目を惹いた。そして岐阜NO.1の呼び声が高かった 藤田 凌(岐阜各務野)との投げあいで、彼以上のストレートを投げ込んでおり、それは確信へと変わった。この選手は、面白いと。


(投球内容)

大きく振りかぶって、ワインドアップから投げ込んできます。

ストレート 130キロ台後半~MAX148キロ ☆☆☆★ 3.5

 コンスタントに145キロ前後の球速を刻んできますが、その球が実に重く球威がありズトーンとミットに収まります。細かいコントロールはありませんが、両サイドにボールは散っており、甲子園ではも8イニングで3四死球と極端に荒れ荒れではありません。

 ただ普段から1~2イニングのリリーフ登板という役割なので、球数が増えて来ると球速は130キロ台に落ち込んできます。そういった投げるスタミナはなく、ただストライクゾーンの枠の中に強い球を投げ込んでくるだけというシンプルな投球。

変化球 カーブ・フォーク・スライダー ☆★ 1.5

 岐阜大会で見たときは、全部ストレートだったような気がします。中学生の時の映像をたまたまみて、スライダーも投げられるだなとはじめてわかりました。甲子園でもストレートがほとんどだったのですが、たまに緩いカーブやチェンジアップのような落ちきらないフォークもあるようです。現状は変化球が投げられないというよりも、精度・キレがイマイチで速球を投げ込んでいる方が討ち取られるという公算が高いからではないかと考えられます。

その他

 クィックは1.15秒前後と平均的で、フィールディングは落ち着いてボールを処理していました。ただしこの体格ですから、機敏に対処できるということはなく、基準以下の動き出と考えられます。ちょっと確認した試合では、牽制の記憶はありません。

(投球のまとめ)

 本当にまだ投げているだけといった素材型ですが、その割には意外に大崩れしないで任されたイニングを全うしているように感じました。夏の岐阜大会では6試合で無失点、甲子園では8イニングで3失点でした。今どき強豪校では珍しいぐらいの素材型で、この日本人離れしたスペックも相まって、この夏みたなか中では一番のロマン型かもしれません。


(投球フォーム)

今度はフォームの観点から、その可能性について検証してみたいと思います。

<広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばしているので、お尻は一塁側へと落ちます。したがって身体を捻り出すスペースは確保されて、カーブで緩急をつけたりフォークのように縦に鋭く落ちる球種の習得には無理はありません。

 しかし「着地」までの粘りは平凡なので、身体を捻り出す時間が充分ではありません。キレや曲がりの大きな変化球を習得するのには疑問があり、武器になる変化球をモノにするためには時間を稼ぐ意識を持つことです。

<ボールの支配> ☆☆★ 2.5

 グラブが内に抱えられないので、外に逃げようする遠心力が抑え込めず上半身が大きくブレてしまう。そのため両サイドのコントロールを中心に乱れやすい。足の甲での地面への押しつけも浅いので、浮き上がろうとする力も抑えこめないでいる。ボールが高めに集まりやすくなるのだが、それほど抜け球が少なく済んでいるのでは、「球持ち」が比較的良くリリースできているからではないのだろうか。暴れる状態でもリリースが比較的安定しているので、最低限のボールの制御できていると考えられる。

<故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5

 お尻が落とせるので、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種を投げても窮屈になり難い。さらにほとんど現状ストレートなので、悲観する必要も無さそうなのだが。

 腕の送り出しにも、無理は感じられない。荒っぽいフォームに見えるが、肩への負担は少なそう。ただし力投派で無駄な動きも多いので、疲労は溜めやすいのではないかと。そこからフォームを崩し、故障に繋がる危険性は否定できない。

<実戦的な術> ☆☆★ 2.5

 「着地」までの粘りは平凡で、けして合わせ難いフォームではありません。またボールの出どころも見やすいので、甘くない球でも打たれたり、フォークなど縦の変化球を見極められたりしがち。

 腕は強く振れているので勢いは感じさせるのと、球持ちは良いのである程度体重を乗せてからリリースできてはいます。これも、もっと「着地」が粘れるようになれば、球威だけでなく打者の手元までグッと迫ってくるような勢いが生まれるのではないのでしょうか。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」などでは、「球持ち」以外に課題を抱えている。特に「開き」の早さが顕著で、ボールの出どころが見やすいのが課題。ただし「開き」を抑えようとすると無理が生じるので、下半身を強化したり股関節の柔軟性を養うことで、「着地」の粘りを作れ自然と「開き」は遅くなってゆく。動作とは、全てが相互に影響しあっているので。

 コントロールを司る動作には課題があるが、故障のリスクは少ない。将来的に多彩な球種を操る土台はあるが、その中で武器になる球を身につけられるかが課題ではないのだろうか。腕の振りは良いので、チェンジアップなどは効果的な球を身につけられるかもしれない。技術的には問題も多いが、一つ一つ課題をクリアしていって欲しい。


(最後に)

 20年ぐらい前ならば、こういった素材もスカウト受けして高く評価されていただろう。しかし今は、素材型は育てるのが難しく高い評価はされ難い。それでもその当時に比べれば、遥かにポテンシャルの高い選手の才能を開花させられる指導がなされてきている。入る球団によっては、規格外のレベルにまで到達するかもしれない。個人的には今の日本球界でも破格のスペックの持ち主でもあり、技量は育成枠レベルでも  を付けてみたいと思わせるものがあった。一か八か感はあるが、指名リストに名前を残してみたい。指名があるとすれば、恐らく指名の最後の方から育成枠ではないのだろうか。


蔵の評価: (下位指名級)


(2019年夏 甲子園)