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赤塚 健利(中京学院大4年)投手 195/102 右/右 (中京学院大中京出身) | |
スペック的には、メジャー級と評価している 赤塚 健利 。 しかしこの春は、状態も良くなかったようで、投げたり投げなかったり、先発したりリリーフしたりと、不安定な内容で終わってしまった。 (投球内容) 日本人離れした巨体から投げ込まれる、迫力の投球が自慢のスリークォーター。東海学院大では先発するも5失点で降板するなど、圧倒的な内容を示せないシーズンでした。ただし、朝日大戦では、9回を投げて14奪三振で1失点で完投勝利もあげています。 ストレート 145~150キロ台前半 ☆☆☆☆ 4.0 日本人離れした重い球を投げ込み、空振りを奪うというよりも球威・球速で押し込んで来るタイプ。制球は荒れ荒れのイメージはあるものの、実際は適度に両サイドに散らせて来る。ボールは荒れていても、四死球で崩れるといったタイプではない。ただし、昨年の平塚合宿で見た時は、力みからボールが上手く制御できていないこともあるので、あくまでも相手を見下ろして投げられる時というのが、条件としてついてまわるのかもしれない。 変化球 スライダー・フォークなど ☆☆★ 2.5 スライダーに絶対的なキレや制球力はないのですが、速球を魅せつけてからの変化なので、それなりには効果はありそう。ややドロンと沈む、チェンジアップのようなフォークも時々織り交ぜてきます。空振りを誘うというよりも、カウントを整えたり、タイミングを狂わすといった感じです。変化球のレベルは、大学生としては高いとは言えません。 その他 大型故に、牽制などのターンに鋭さは感じませんでした。しかし、クィックは、1.0~1.1秒ぐらいとまずまず。フィールディングも、うまくはなかったのですが、落ち着いてボールを処理できています。「間」を使うとか、微妙なコースの出し入れをするとか、そういった細かい投球術はないように見えます。 (投球のまとめ) 昨秋に比べると、目に見えて良くなったといった感じはしません。そのかわり、ボールの威力などは健在で、そこまで状態が悪いといったほどでもなく、良い意味でも悪い意味でも、ボールを見ている感じでは変わっていなかった気がします。元々のスペックは確かな選手なので、状態が悪かった割には、素材が損なわれている感じはしませんでした。 (成績から考える) この春の成績は、20回1/3 10安 12四死 26三 防 3.54 といった内容でした。 1,被安打は投球回数の80%以下 ◎ 被安打率は、49.2% と、圧倒的なものがあります。やはりこの投手の真っ直ぐを、並の大学生が打ち返すのは容易ではないことがわかります。 2,四死球は投球回数の1/3以下 ✕ 下級生までのシーズンでは、粗っぽくても投球回数の1/3(33.3%)以下に留めていました。しかしこの春は、四死球率は59.0%と、普段以上にコントロールが不安定だったことが伺えます。 3,奪三振は1イニングあたり0.9個以上 ◎ 奪三振は投球回数を遥かに上回っており、リリーフの基準でもある1イニングあたり0.9個以上の三振もクリアできています。このへんは、相手レベルもあり、本質的には球威のある真っ直ぐで詰まらせたり、小さな変化で微妙にズラすような打たせてとる投手だとみています。 4,防御率は1点台以内 ✕ この春の防御率は、3点台ということで、1試合の登板で終わった秋についで悪い内容だったことがわかります。2イニングしか投げられなかった秋と違い、ある程度のイニングを投げた中では、入学後最悪のシーズンだったと言えます。 (成績からわかること) 投げた試合での、球威・球速は健在でした。しかし、調整不足だったのか? 普段よりも制球が悪く、そのへんが失点に結びついてしまったのか? 防御率にも現れてしまったようです。そういった意味では、やはり状態の悪さが成績にも現れてしまったシーズンだと言わざるえません。 (最後に) ボール自体は健在だったのですが、状態が悪く投げられなかったり、調子の悪い日もあったようです。力量的には、中位ぐらいで指名できるレベルだと思うのですが、そういった状態の回復、故障への不安などの問題を秋も引きずるようだと、評価はさらに低くなる可能性はあります。粗っぽい投球からくる怖さも加味すると、下位~育成 あたりまで残る。あるいは、日本人離れしたスペックを評価して、思いのほか高い評価をして来る球団が出ても不思議ではありません。球団によって、評価の振れ幅が激しそうな選手ではないのでしょうか。そのため、指名順位に関わらず、プロで大化けしても不思議ではないようにも思えます。 蔵の評価:☆(下位指名級) (2023年 春季リーグ戦) |
赤塚 健利(中京学院大中京3年)投手 193/103 右/右 | |
夏の岐阜大会をみていて一人気になる男がいた、それが 赤塚 健利 。193/103 という日本人離れした体格から、速球一本で押しこんでくる投球が目を惹いた。そして岐阜NO.1の呼び声が高かった 藤田 凌(岐阜各務野)との投げあいで、彼以上のストレートを投げ込んでおり、それは確信へと変わった。この選手は、面白いと。 (投球内容) 大きく振りかぶって、ワインドアップから投げ込んできます。 ストレート 130キロ台後半~MAX148キロ ☆☆☆★ 3.5 コンスタントに145キロ前後の球速を刻んできますが、その球が実に重く球威がありズトーンとミットに収まります。細かいコントロールはありませんが、両サイドにボールは散っており、甲子園ではも8イニングで3四死球と極端に荒れ荒れではありません。 ただ普段から1~2イニングのリリーフ登板という役割なので、球数が増えて来ると球速は130キロ台に落ち込んできます。そういった投げるスタミナはなく、ただストライクゾーンの枠の中に強い球を投げ込んでくるだけというシンプルな投球。 変化球 カーブ・フォーク・スライダー ☆★ 1.5 岐阜大会で見たときは、全部ストレートだったような気がします。中学生の時の映像をたまたまみて、スライダーも投げられるだなとはじめてわかりました。甲子園でもストレートがほとんどだったのですが、たまに緩いカーブやチェンジアップのような落ちきらないフォークもあるようです。現状は変化球が投げられないというよりも、精度・キレがイマイチで速球を投げ込んでいる方が討ち取られるという公算が高いからではないかと考えられます。 その他 クィックは1.15秒前後と平均的で、フィールディングは落ち着いてボールを処理していました。ただしこの体格ですから、機敏に対処できるということはなく、基準以下の動き出と考えられます。ちょっと確認した試合では、牽制の記憶はありません。 (投球のまとめ) 本当にまだ投げているだけといった素材型ですが、その割には意外に大崩れしないで任されたイニングを全うしているように感じました。夏の岐阜大会では6試合で無失点、甲子園では8イニングで3失点でした。今どき強豪校では珍しいぐらいの素材型で、この日本人離れしたスペックも相まって、この夏みたなか中では一番のロマン型かもしれません。 (投球フォーム) 今度はフォームの観点から、その可能性について検証してみたいと思います。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばしているので、お尻は一塁側へと落ちます。したがって身体を捻り出すスペースは確保されて、カーブで緩急をつけたりフォークのように縦に鋭く落ちる球種の習得には無理はありません。 しかし「着地」までの粘りは平凡なので、身体を捻り出す時間が充分ではありません。キレや曲がりの大きな変化球を習得するのには疑問があり、武器になる変化球をモノにするためには時間を稼ぐ意識を持つことです。 <ボールの支配> ☆☆★ 2.5 グラブが内に抱えられないので、外に逃げようする遠心力が抑え込めず上半身が大きくブレてしまう。そのため両サイドのコントロールを中心に乱れやすい。足の甲での地面への押しつけも浅いので、浮き上がろうとする力も抑えこめないでいる。ボールが高めに集まりやすくなるのだが、それほど抜け球が少なく済んでいるのでは、「球持ち」が比較的良くリリースできているからではないのだろうか。暴れる状態でもリリースが比較的安定しているので、最低限のボールの制御できていると考えられる。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻が落とせるので、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種を投げても窮屈になり難い。さらにほとんど現状ストレートなので、悲観する必要も無さそうなのだが。 腕の送り出しにも、無理は感じられない。荒っぽいフォームに見えるが、肩への負担は少なそう。ただし力投派で無駄な動きも多いので、疲労は溜めやすいのではないかと。そこからフォームを崩し、故障に繋がる危険性は否定できない。 <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 「着地」までの粘りは平凡で、けして合わせ難いフォームではありません。またボールの出どころも見やすいので、甘くない球でも打たれたり、フォークなど縦の変化球を見極められたりしがち。 腕は強く振れているので勢いは感じさせるのと、球持ちは良いのである程度体重を乗せてからリリースできてはいます。これも、もっと「着地」が粘れるようになれば、球威だけでなく打者の手元までグッと迫ってくるような勢いが生まれるのではないのでしょうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」などでは、「球持ち」以外に課題を抱えている。特に「開き」の早さが顕著で、ボールの出どころが見やすいのが課題。ただし「開き」を抑えようとすると無理が生じるので、下半身を強化したり股関節の柔軟性を養うことで、「着地」の粘りを作れ自然と「開き」は遅くなってゆく。動作とは、全てが相互に影響しあっているので。 コントロールを司る動作には課題があるが、故障のリスクは少ない。将来的に多彩な球種を操る土台はあるが、その中で武器になる球を身につけられるかが課題ではないのだろうか。腕の振りは良いので、チェンジアップなどは効果的な球を身につけられるかもしれない。技術的には問題も多いが、一つ一つ課題をクリアしていって欲しい。 (最後に) 20年ぐらい前ならば、こういった素材もスカウト受けして高く評価されていただろう。しかし今は、素材型は育てるのが難しく高い評価はされ難い。それでもその当時に比べれば、遥かにポテンシャルの高い選手の才能を開花させられる指導がなされてきている。入る球団によっては、規格外のレベルにまで到達するかもしれない。個人的には今の日本球界でも破格のスペックの持ち主でもあり、技量は育成枠レベルでも ☆ を付けてみたいと思わせるものがあった。一か八か感はあるが、指名リストに名前を残してみたい。指名があるとすれば、恐らく指名の最後の方から育成枠ではないのだろうか。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2019年夏 甲子園) |