19kp-45
池田 陽佑(智弁和歌山3年)投手 183/84 右/右 | |
選抜の時点では、130キロ台の球がほとんどだった 池田 陽佑 。特に気になる存在ではなかった彼が、センバツ以後大きく成長した。夏の大会では、MAXで150キロに到達。その活躍も認められ、∪18の日本代表にも選出された。まさに、劇的なな成長ぶりだと言わざるえない。 (投球内容) ストレート 常時140~MAX150キロ ☆☆☆★ 3.5 先発をしていても常時140キロ台を記録するようになり、適度な勢いと球威が感じられる球になってきました。ボールもある程度両サイドにコントロールできていますし、元々の良さを残しつつ素直にパワーアップを図れたことがわかります。この夏の甲子園でも3試合に登板し、20回1/3イニングで3四死球と余計な四死球は出しません。何か投球に訴えて来るような迫力はないので、高校からプロいうよりも大学などで実績を残してからといった匂いがぷんぷんとしてきます。 変化球 スライダー・フォークなど ☆☆☆ 3.0 身体の近くで小さくキュッと曲がるスライダーで、カウントを整えます。時々縦の変化球も投げるのですが、割合見極められて手を出してもらえないことが多いです。まだ縦の変化球の精度には課題がありますし、他にチェンジアップなどを織り混ぜ投球を組み立てています。縦の変化球が効果的になると変わってくると思いますが、現状はそれほど三振をバシバシ奪ってくるわけではありません。それでも甲子園では、20回1/3イニングで16奪三振でした。 その他 クィックは、1.05~1.15秒ぐらいとまずまず。牽制等の技術はよくわからなかったのですが、適度に試合をまとめられる野球センスの高いタイプではないのでしょうか。 (投球のまとめ) なんとなくプロ志望届けを出さないのだろうなという選手は観ているだけでわかるものですが、この選手も大学にゆくのだろうなといった感じがします。元々好投手タイプだっただけに、あまり投球に凄みみたいな訴えかけてくるものがありません。ただしすでにかなりのレベルまで来ているので、大学でも下級生の頃からの活躍が期待できます。そこでも志しを高く持って精進し続ければ、4年後は計算できる即戦力候補として上位指名も狙える素材ではないのでしょうか。 (投球フォーム) セットポジションから、足をスッと引き上げて投げ込んできます。 <広がる可能性> ☆☆☆☆ 4.0 お尻は適度に一塁側に落とせており、甘さは残しているもののカーブで緩急をつけたりフォークを投げるのには問題は無さそう。「着地」までの粘りも前に大きく前にステップさせることで、「着地」までの時間は稼げている。したがって将来的には、キレや曲がりの大きな変化球を習得できる可能性は高い。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは内に抱えられているわけではないが、最後まで身体の近くにはある。したがって、両サイドへのコントロールはつけやすい。しかし足の甲の押しつけが浮きがちなので、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい。それでも「球持ち」はよく、前でボールを放せている。そのため、指先の感覚も悪くないのだろう。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0 お尻の落としも悪くないので、窮屈さを感じずらく肘への負担は少なそう。また現時点では、ほとんどカーブは観られず、フォークなどもそれほど頻度が高いわけではない。今後の縦の変化を多投するようになれば、多少肘への負担も増すだろうが。 腕の送り出しをみても、肩への負担も少なそう。けして力投派でもないので、疲労を溜めやすいというタイプでもないのではないのだろうか。そういった意味では、故障のリスクの少ないフォームだと言えよう。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りを適度に作れている上に、ボールの出どころも隠せている。そのため、けして合わせやすいといったフォームでもない。 振り下ろした腕も適度に身体に絡んでおり、体重もある程度乗せて投げられている。したがって、打者の手元まで球威のある球が行っている。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち「開き」「体重移動」では、どれもまずまずでレベルが高い。制球を司る動作・故障のリスクも低ければ、将来的にも武器になる変化球を習得できる可能性も感じられる。けして見た目はそんなに理想的には見えないのだが、大きな欠点のない実戦的なフォームとして高く評価できる。 (最後に) こういった投手が、リーグ戦でどのぐらいの実績を残せるのかは大変興味があります。総合力的には、今プロ入りしても全く通用しないということはないとは思います。ただこういったタイプは、アマでよりレベルの高い野球を経験することで、段階的に能力を伸ばしてくるタイプ。そのため能力的にはドラフトにかかるレベルにはあると思いますが、あえて指名リストには名前を残さず、アマでの成長を促してみたいものです。 (2019年夏 甲子園) |