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井上 温大(前橋商3年)投手の個別寸評へ







井上 温大(前橋商2年)投手 174/68 左/左 





                     「センスが良い」





 しなやかなフォーム、滑らかな体重移動、洗練されたマウンド捌きなどを見ていると、センスの良さを感じずにはいられない 井上 温大 。昨夏投げていた時は、常時130前後~135キロぐらいといった感じだったが、今や最速で140キロ台中盤まで到達するという。センス型から、見事にパワーUPを遂げることに成功した。そのため今や、夏の大会に向けて密かにスカウトの間で評価急上昇中だと言われているサウスポー。

 
(投球内容)

 残念ながら今年の成長ぶりは確認できていないので、昨夏の投球の模様からレポートを作成してゆきたい。試合は、夏の高崎経済大付戦の模様で、試合の途中からの登板のものだった。

ストレート 常時130キロ台前後~135キロ 
☆☆★ 2.5

 昨夏の時点では、まだセンス型でストレートの球威・球速に際立つものはなかった。しかし時々力を入れて投げた球には、才能の片鱗は感じられる。ストレートに関しては、結構高めに抜けたりとバラツキが目立った。球威・球速・コマンドと、この時点では発展途上との印象を受ける。

変化球 カーブ・スライダー・ツーシーム系? 
☆☆☆★ 3.5

 むしろ光っていたのは、変化球のキレ・精度の方。曲がりながら沈むスライダーを中心に、この球でカウントを整えたり、低目に切れ込む球で空振りが奪える。他にはさらに緩いカーブもあるのだが、この球も左腕らしく大きな軌道で曲がりストライクがとれる。他に右打者に関しては、少しだけ逃げてゆくツーシーム系の球があるようだが、この球は沈まないのであまり空振りは誘えない。

 いずれにしてもストレートの粗さを、変化球で補いピッチングを作ることができている。下級生の時点では、変化球の割合が多い投手だった。

その他

 クィックは1.3秒前後と、一塁ランナーを見て投げられる左腕でも少し遅かった。しかしマウンド捌きは経験豊富という感じで、その所作1つ1つにも投手らしさが伝わってくる。

(投球のまとめ)

 この変化球がありながら、ストレートが常時140キロ前後は出せるようになっているとなると、なるほどスカウトが色めきたつのも頷けるところ。ぜひ、その成長を確認してみたいと思わせるものはある。問題は、どのぐらいストレートが制御できるようになっているのか? クィックなどの投球以外の部分も追求して来られているのか見てみたい。





(投球フォーム)

 今度は、フォームの観点から将来像を見てみたい。ノーワインドアップから、スッと足を上げて投げ込んでくる。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の沈み方自体は悪くないのだが、引き上げた足を二塁側に送り込み過ぎているので、お尻はバッテリーライン上に落ちがち。したがって身体を捻り出すスペースは、やや窮屈になりやすい。それでもお尻自体はある程度落ちていいるので、それほどカーブを投げるのにも負担は少なそう。

 「着地」までの粘りを感じさせるフォームで、身体を捻り出す時間は確保できている。そのためキレや曲がりの鋭い変化球は、習得しやすいと考えられる。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定しすい。むしろ足の甲の押し付けが浮き勝ちなので、ボールが高めに上吊りやすい。また「球持ち」も良くはないので、細かい制球をつけ難いという部分もある。その辺を、夏の大会ではどうなっているのか見てみたいポイント。

<故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5

 お尻はバッテリーライン上に残りがちだが、カーブをそれほど投げないのであれば現時点では悲観するほどでもないだろう。腕の送り出しにも無理は無さそうなので、肩に負担はかかり難い。けして力投派でもないので、疲労も貯め難いのではないのだろうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆ 4.0

 「着地」までの粘りもまずまずで、けして合わされやすいフォームではない。まして球の出どころも隠せており、見えないところからピュッと出てくる感じで、打者としては差し込まれやすいはず。

 降り下ろした腕も身体に絡んできており、腕の振りに強さが出てくれば勢いで空振りを誘いやすいはず。「体重移動」もできており、ボールに体重を乗せて投げることができている。これならば、体重が増えれば効率的に球威・球速を増せるだろう。


(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」にもう少し粘りが出てくれば申し分がない。足の甲のが浮き勝ちなのと指先の感覚がどうなのか?という制球の部分は気になるが、故障のリスクも低く、将来的にもピッチングの幅を拡げて行ける可能性は秘めている。高校生ながら、実戦的なフォームをしていると評価できるのではないのだろうか。


(最後に)

 
センスやマウンド捌きは良いが、実は細かいコントロールがイマイチという左腕は結構多い。そういった部分が、この選手はどうなのか?ということを夏は注視してみたい。そしてストレートで、どのぐらい打者を圧倒できるようになっているのか? その成長ぶりを、最後の夏には、ぜひ見極めてみたいと思っている。


(2018年夏 群馬大会)