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落合 秀市(和歌山東3年)投手の寸評へ







 落合 秀市(和歌山東2年)投手 185/90 右/左
 




                  「上位候補と素材はヒケをとらない」





と多くのスカウトから、春季大会で評価された 落合 秀市 。残念ながら今春の投球は確認できなかったが、2年夏の投球は確認済み。ぜひ夏の予選では見てみたい投手として、寸評を作成してみた。


(投球内容)

 昨夏の和歌山大会・準々決勝・向陽戦での登板を確認してみました。フォームは、かなりサイドに近いスリークォーターといった感じで、パワー型の投手です。

ストレート 常時130キロ台後半~140キロ台前半ぐらいか 
☆☆☆★ 3.5

 非常にズシリと重い、140キロ前後のボールを投げ込んでいました。勢い・球威があるので、並の高校生ではなかなかヒットできない印象です。今春には、球速を147キロまで伸ばしたといいます。さらに重いボールに、磨きがかかっているようなので期待が持てます。しかしこの投手、かなりコントロールはアバウトな印象。夏の予選でも、49イニングで27四死球といった数字が残っています。そのへんが、何処までこの半年で改善されているのか気になるところです。

変化球 スライダー・カーブ 
☆☆★ 2.5

 速球中心の投球でしたが、時々スライダーを投げてカウントを整えることはできていました。たまに緩いカーブもあるのですが、スライダーが主な変化球。他にもスプリット系の沈む球もあるそうですが、2年夏の投球ではよくわからず。

その他

 牽制はまずまず鋭く、クィックは1.2秒前後と右投手としては少し遅めです。しかしマウンド度胸はよく、淡々とボールを投げ込んできます。

(投球のまとめ)

 特に絶妙なコントロールがあるとか、微妙な駆け引きができるといった感じではありませんでした。ただし淡々と、力のあるボールをストライクゾーンの枠の中に投げ込んでくるといったタイプ。その辺が、この1年でどのぐらい投球に奥行きをもたせられるようになったのかは気になるところです。


(投球フォーム)

2年夏のフォームではありますが、彼の将来性を探る意味でも分析してみましょう。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 お尻はバッテリーライン上に落ちており、カーブで緩急をつけたりフォークのような捻り出して投げる球には適していません。腕の振りもサイドに近いので、余計にそうなるでしょう。

 「着地」までは、前に大きくステップさせることで身体を捻り出す時間を確保。カーブやフォークといった球種は厳しいですが、キレや曲がりの大きな変化球を習得できる可能性は感じます。

<ボールの支配> 
☆☆★ 2.5

 グラブは比較的最後まで身体の近くにあり、両サイドへの制球はつけやすい。足の甲の地面への押しつけは浮きがちで、ボールが上吊りやすいし、実際に高めに抜ける球も少なくはなかった。球離れも早く、身体の外からブンと腕を振って来るので、細かいコントロールがつけ難い。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻は落とせないフォームではあるが、カーブの頻度も少なくフォークも見られない。肘への負担の少ないスプリットをどの程度投げているかにもよるが、それほど気にしなくても好いのでは。

 腕の送り出しにも無理はなく、肩への負担も少ないだろう。ただし腕が身体遠回りしてブンと振るサイドなので、想像以上に身体への負担は大きい可能性も考えられる。サイド気味のフォームは、上手投げとは違う負担がかかってくるので。

<実戦的な術> 
☆☆ 2.0

 「着地」までの粘りはあrるので、打者としてはそれほど合わせやすいわけではなさそう。それでも開きが早く、球の出処がみやすいのは気になるところ。コースを突いた球でも、いち早く球筋を読まれて打たれやすい。

 「球離れ」が早いせいなのか? 投げ終わったあと腕が身体に絡んでくることはない。重いボールを投げているが、まだ充分体重を乗せられている感じではなかった。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」と「開き」に課題を残している。足の甲の甘さや指先の感覚の悪さから制球を乱しやすく、故障のリスクや今後投球の幅を広げて行けるかは微妙といったところでしょうか。


(最後に)

 かなりコントロールは粗っぽい、素材型のスリークォーターといった感じはする。そのためこの1年で、何処まで実戦的になっているだろうか? しかし2年夏の時点では、充分なぐらいの球威と勢いは感じる球を投げており、スケールアップしているとなると楽しみな素材。イメージ的には、高校の先輩であり今年のドラフト候補でもある 津森 宥紀(東北福祉大4年)右腕に似たタイプで、少し肘をあげて投げている感じだろうか。それでも最後の夏には、ぜひ成長したその姿を確認してみたいと思わせるものがあった。


(2018年夏 和歌山大会)