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浅田 将汰(DeNA)投手のルーキー回顧へ







浅田 将汰(有明3年)投手 181/85 右/右 
 




 「大成するのは野手かも」





 将来155キロ級のボールを投げても不思議ではない 浅田 将汰 。確かにその馬力も魅力なのだが、将来プロで大成するのならば野手なのではないかと思える部分も大きい。というのは、かなり荒っぽいピッチングスタイルであり、投手としてはプロで通用するような繊細さが正直感じられない。プロの打者を力で圧倒するまでになれれば良いが、そうじゃないときは打者に転向させても面白いのではないかと思っている。


(守備・走塁面)

 U-18の日本代表では、投げない時にDHで出場していたこともある。ただ実際のところ、どの程度の守備力があるのかは想像の粋を脱っしない。しかし投手としては、牽制の鋭さはそれなり。クィックやフィールディングの動きもまずまずで、鍛えようによっては外野のみならずサードあたりまでこなせるかもと思わせてくれるものはあった。走力に関しては正確なタイムは計測できなかったが、プレースタイルを観る限りプロに混ぜても 中~中の上ぐらいはありそうに見える。


(打撃内容)

 まだまだ荒削りなのですが、非常にバットを振れる選手とのイメージがあります。投手として鍛え上げられた体幹は確かで、まともに捉えさえすれば遠くに飛ばせる能力もあり、チームの4番打者として高校通算28本塁打を記録。けして捉えるセンスが悪いとは思わないが、やはり確実性が今後の課題と見て間違いないでしょう。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えてバットを立てて構えます。腰の据わり・両眼で前を見据える姿勢はそれほどでもないが、打席ではリラックスして構えられているところは良いところ。

<仕掛け> 早すぎ

 投手の重心が下がり始める前から動き出す、「早すぎる仕掛け」をしています。この段階で動き出してしまうと、投手が投げるタイミングをまだ変えられるので、フォームによって崩される危険性があります。投手の重心が下がり始めるまで、動き出しを待てると良いのですが・・・。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足を長く引き上げたまま、真っ直ぐから若干アウトステップ気味に踏み出してきます。始動~着地までの時間は充分あるので、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいタイプ。ややベースから離れ方向に踏み出すことがあるので、内角への意識が若干強いように思います。

 気になるのは、踏み込んだ前の足がブレて動いてしまうことが多いこと。強烈な上半身の力に対し、下半身が上手く受け止められていないアンバランスさを感じます。このへんは、打者に専念にした時に改善してゆかないと行けないでしょう。


<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力み無くボールを呼び込めるところは良いところ。ただしバット引くのが遅くなりがちで、速い球に遅れる場面を何度かみました。いくぶん早めに、トップを作る意識を持ちたいところです。

 バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではありません。それでも外の球を捉えるまでに大きなロスは感じられないので、比較的癖のないスイングができています。若干内角のさばきが窮屈になることを考慮して、軽くアウトステップさせることがあるのかもしれません。

 インパクトの際には、それほどヘッドも下がってはいません。スイングの弧も大きめで、フォローまでしっかり振り切れています。技術でボールを運ぶことはできませんが、体幹の強さ・スイングの弧の大きさ・強振できる筋力と備わっているので、まともに捉えたときには打球も遠くに飛んでゆくと考えられます。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 非凡なのは、足の上げ下げはあるものの目線の上下動が小さいこと。身体の開きはまだ充分我慢できていないのと、軸足が前に傾くこともあるので身体が突っ込むことに気をつけたいです。

(打撃のまとめ)

 技術的には粗いのですが、スイング軌道に癖がないのと、頭が安定しているところは非凡です。バットを振る力もありますし、根本的な当て勘は悪くないと思います。しっかりバットを振り込み、技術的なことを指導されれば、どんどん伸びて行ける可能性はあります。また性格的には、繊細さが求められる投手よりも攻撃的な野手の方が向いているように感じます。


(最後に)

 
まずは投手として数年やってみて、適正を確認することになると思います。3年ぐらいで目処がつかないのならば、野手にコンバートさせるのは充分ありではないかと。適正は外野手だと思いますが、サードあたりならばこなしても不思議ではありません。強肩であるのは間違いないので、そのへんはチーム状況にも左右されるかもしれませんが。 いずれにしても投手としても野手としても、化けたら上位指名級のリターンが期待できそうなので、少し長い目で見守ってゆきたい選手です。


蔵の評価:
☆☆☆ (上位指名級)


(2019年 U-18ワールドカップ)










浅田 将汰(有明3年)投手 181/85 右/右 





 「相変わらずアバウト」





 球威・球速という意味では、九州屈指のものがある 浅田 将汰 。しかしボールが高めに抜けることもあるなど、細かいコントロールがない。そういった意味では、昨年からあまり変わっていないのではないかという気さえする。


(投球内容)

ノーワインドアップから、静かに足を上げて投げ込んできます。

ストレート 135~140キロ台後半 
☆☆☆★ 3.5

 普段は145キロ前後で、必要な時に力を入れて140キロ台後半のボールを投げ込んできます。それほど細かいコントロールはないものの、両サイドに散らせつつ高めに抜ける球が少なくはありません。ただし力を抜いて投げてもある程度の球威もありますし、力を入れた時の高めのストレートには思わずバットがまわってしまう勢いと球威があります。確かに本当の意味でのコントロールがないのは気になるものの、ボールの力は全国でも指折りのものがあると言えるでしょう。

変化球 チェンジアップ・スライダー・カーブ・フォークなど 
☆☆☆ 3.0

 スライダーでカウントを整えつつ、ブレーキの効いたチェンジアップでタイミングを狂わせます。また余裕が出てくると緩いカーブを投げたり、フォークなのか縦スラなのかわかりませんが縦の変化球を投げてきます。まだこの球は、相手から見極められて手を出してもらえないことも少なくありません。現状は、チェンジアップが一番好い変化球といった感じがします。そのため打者の空振りを刺そうというよりも、球威で詰まらせるチェンジアップで狂わせるといった打たせてとるピッチングが彼の持ち味なのではと。

その他

 クィックは1.1~1.2秒ぐらいと平均的で、牽制はそれなりに鋭いです。フィールディングの動きや判断力も悪くなく、サードあたりならやれるかもと思わせてくれるものがあります。さらに体幹の強さを生かした長打力も魅力で、U-18のワールドカップではDHでスタメン出場していたほどです。

(投球のまとめ)

 本当の意味での制球力がないところが、プロでどう出るかは微妙でしょう。しかし多彩な変化球を操ったり、力を抜いて投げてカウントを整えるなど、けして不器用な投手ではありません。また力を入れた時のボールの球威・勢いは確かで、その点では高く評価して好いと思います。必ずものになる素材とは言い難いのですが、ポテンシャルは高いだけに充分に高い評価はされそうです。


(投球フォーム)

 今度はフォームの観点から、将来像を考えてゆきます。昨年はもっと背中を後ろに傾けていて、PL学園時代の桑田真澄(巨人)のようなフォームでした。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の一塁側への落としは、甘さは残すもののある程度は落とせている。したがってカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化球を投げることは不可能ではないだろう。

 「着地」までの粘りもそこそこで、身体を捻り出す時間はそれなりに確保。武器になるような決め球を習得できるかは微妙だが、多彩な球種を操るだけの下地は持っている。昨夏よりは、少し「着地」までの粘りも作れるようにはなってきた。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑え込めている。したがって、両サイドへのコントロールはつけやすそう。昨年はグラブは最後後ろに解けてしまっていたのを、最後まで抱えられるようになっている。

 足の甲の地面への押しつけは浅いので、相変わらず力を入れるとボールが上吊りやすい。「球持ち」もそれほどではなくボールを押し込めてはいないので、低めに決まることは少ない。この投手の球威・球速で膝下に集まり出したら、手がつけられなくなる。

<故障のリスク> 
☆☆★ 2.5

 お尻の落としに甘さは残すものの、カーブやフォークといった球種の割合もそれほど多くはない。現在の頻度ならば、それほど肘への負担は気にしなくても好いのでは。

 むしろボールを持っている肩が上がりグラブを持っている方の肩が下がるほど投げ下ろしてくるフォームなので、肩への負担は少なくないだろう。それでも昨夏は背中を後ろに反らしてまで角度をつけていたのに比べると、幾分緩和されているようには見える。出だしは静かなフォームではあるが、フィニッシュに向けては結構な力投派。登板過多になった時に、フォームを乱して故障につながらないと好いのだが。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りはそこそこでボールにも角度があるので、合わせやすいといったことはなさそう。球の出どころも並ぐらいだし、コントロールミスをしなければ痛手は喰らい難いのでは? ただしコントロールミスが、けして少なくはないタイプ。

 腕は強く振れていて勢いがあるので、打者の空振りを誘い難いわけではないようには見える。それでも縦の変化が、結構見極められていたのは気になる材料。ボールへの体重の乗せも充分とは言えないので、もっとボールに体重を乗せてから投げられるようになると、打者の手元まで活きた球が投げられるようになるのではないのだろうか。このへんは、まだまだ良くなる余地を残している。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」「体重移動」には課題を残すので、この辺が良くなると更にストレートに磨きがかかりそう。足の甲の押し付けの浅さからボールが上吊り、執拗に上から投げ下ろそうとするので肩への負担も心配になる。球種は多彩であるが、将来的に武器になる変化球を習得できるのかは微妙ではないのだろうか。まだ良くなる余地が残されているので、うまく改善できれば155キロ級も近い将来望めるかもしれない。


(最後に)

 荒削りでも、こういったボールに力がある投手が好きな球団は高く評価してきそう。しかしここからプロで使えるようにするには、かなりの育成力と本人の意識の高さが求められる。むしろ私なんかは、将来は野手としての方が大成するかもという思いも強い。もし投手として芽が出なそうだったら、野手として挑戦してみるのも手ではないのだろうか。いずれにしても現状は投手での入団となるだろうが、指名は2,3位ぐらいになるとみているがどうだろうか。


蔵の評価:
☆☆☆ (上位指名級)


(2019年 U-18ワールドカップ) 









浅田 将汰(有明2年)投手 181/85 右/右 





                      「九州屈指の速球派」





 背中を後ろに傾け腕を真上から振り下ろして来る 浅田 将汰 。 その球威・勢いは、秋の時点では九州では屈指の速球派だったのではないのだろうか。


(投球内容)

 夏の熊本大会序盤の模様を見たときは、球速・勢いはかなりのものがあった。しかし破れた準々決勝では、かなりお疲れといった様子で、要所で140キロを超えるのがやっとという感じだった。

ストレート 常時135~MAX148キロ 
☆☆☆★ 3.5

 夏の準々決勝で、常時135キロ出るか出ないかぐらいに見えた。ランナーを得点圏に進めると、なんとか力を入れて140キロを越えてくる程度。しかしリフレッシュした秋の熊本大会・秀岳館戦では、MAX148キロを記録し勢いを取り戻していた。元来あまり細かいコントロールはなく、ボールの勢いで押してくるタイプ。そのためボールが走っていないと、甘い球を狙い打たれることも少なくない。しかし勢いのあるときの、高めのストレートには思わずバットがまわってしまうものがある。

変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップなど 
☆☆☆ 3.0

 変化球は、スライダーも緩いカーブもチェンジアップも同じような割合で織り交ぜてくる。打者の空振りを誘うといった絶対的なボールはなく、あくまでも変化球を交えてカウントを整えてくる。しいて言えば、チェンジアップのブレーキはよく、この球は上のレベルで通用しそうな球種ではあった。

その他

 クィックは、0.95~1.0秒ぐらいと高速。フィールディングの反応・動きは、あまり緊張感がないというか鋭さが見られない。細かい駆け引きや奥深い投球術があるわけではないが、投げっぷりは良い投手なのでリリーフ向きなのかもしれない。

(投球のまとめ)

 現状は粗っぽさが残る選手であり、夏の予選を勝ち上がり全国大会へといった洗練さは感じられない。それだけにもし見るのならば、春季大会で見るか夏の予選の早い段階で元気なとこを見てみたい選手ではある。一冬越えて、粗さの角が取れてくるのか? あるいは勢いを増して球威・球速で圧倒して行くのか注目したい。





(投球フォーム)

今度は、フォームの観点から将来像を考えてみる。

<広がる可能性> 
☆☆★ 2.5

 お尻の一塁側への落としは、甘さは残すもののある程度は落とせている。したがってカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化球を投げるのにも無理はなさそう。

 むしろ気になるのは、「着地」までの粘りがなく地面を捉えてしまっていること。すなわち体を捻り出す時間を確保できないので、キレや曲がりの大きな変化球が習得し難い。そのため、武器になるほどの変化球を身につけられるかは疑問です。

<ボールの支配> 
☆☆★ 2.5

 グラブは投げ終わったあとに、体の後ろに行ってしまっている。したがって両サイドへのコントロールは、乱れやすい傾向にある。しかし足の甲の地面への押しつけはできているので、浮き上がろうとする力を抑えることはできており、ボールの上吊りは少ないのではないのだろうか。腕が体から離れてブンと振られて外旋しているので、こういった投手はコントロールが定まり難い。

<故障のリスク> 
☆☆★ 2.5

 お尻はある程度落とせているので、体を捻り出して投げるカーブやフォークを投げても肘への負担は少ないのでは?ただしフォークなどを多投するような配球になってきたときには、多少注意が必要だろう。しかし現状は、フォークは投げていないようだ。
 
 気になるのは、背中を後ろに傾けて腕を真上から振り下ろす肩への負担が大きなフォーム。また力投派なので、疲れも溜めやすくフォームの乱れからも故障のリスクは高まりそうだ。

<実戦的な術> 
☆☆★ 2.5

 「着地」までの粘りに欠けるのタイミングがとりやすい上に、ボールの出処も見やすい。したがって打者としては、コースを突いた球でも踏み込みやすく、フォークなどの縦の変化球にも手を出してくれない危険性が出てくる。

 腕の振りには勢いはあり強く振れているのだが、開きが早いことで空振りを誘い難くなってしまっている。ボールに体重を乗せれているようには見えるのだが、実際には地面の蹴り上げに乏しくエネルギーをロスしていることがわかる。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」以外は課題を抱えているように見えた。また制球を司る動作は腕の外旋とグラブの抱えによりコントロールを乱しやすく、腕の執拗な角度をつけて投げるので肩への負担を誘発するように見える。多彩な球種は投げられるものの、将来的に武器になるほどの球を習得できるのも微妙。フォームとしては、かなりリスクな高いフォームなのではないかとみている。


(最後に)

 実際の投球でも、フォームの技術にしても課題は多い素材型。問題は、技術的な改善を行い欠点を減らしてゆくか、圧倒的なスピード能力である長所で圧倒するのか? いずれの方向性に走って自分の投球を確立してゆくのか見極めてゆきたい。スピード能力は確かなものがあるが、上のレベルで使えるタイプかと言われると、今の時点ではリスクの方が高いなというのが、現時点での私の感想だった。


(2018年秋 熊本大会)