19kp-2









奥川 恭伸(星稜3年)投手の最終寸評へ







奥川 恭伸(星稜3年)投手の選抜寸評へ







奥川 恭伸(星稜2年)投手 183/82 右/右 





                    「松坂大輔に匹敵する」





 奥川 恭伸 が、明治神宮大会を制したピッチングをみていると、同じく神宮大会から翌年の春・夏連覇を果たした時の、松坂 大輔 の横浜高校時代を思い出す。高卒一年目から16勝をあげ、メジャーリーグでも 18勝3敗 という圧倒的なパフォーマンスを魅せた、彼と比べることができるレベルに奥川はある。


(投球内容)

 ノーワインドアップから投げ込むフォームで、上半身主導であまり下半身が使えないフォームなのも高校時代松坂とダブるものがある。

ストレート 常時145キロ~150キロ 
☆☆☆☆ 4.0

 先発でもコンスタントに、145キロ~150キロ級の球速を無理なく叩き出す馬力があります。球筋は、真ん中~高めのゾーンに多く集まり、打者の外角中心に決めてきます。まだボールの質という意味ではまだ高校生の球質だが、球威は一定ものがある。この秋の成績は、60回1/3イニングで四死球は僅か5個。それほど細かいコースの投げ分けは見られないが、四死球で自滅するような危うさはない。このへんが、全国大会で結果を残せる要因だろう。

変化球 スライダー・フォーク・ツーシーム? 
☆☆☆☆ 4.0

 曲がりながら沈むカーブのようなスライダーのキレは一級品で、それでいて120キロ台の縦スラのような沈む球も持っている。また130キロ台中盤は出ているような、フォークボールの落差や精度も悪くない。その他にも140キロ台前半でツーシーム的な球も、時々使ってきているように見える。むしろ現時点では、ストレート以上に変化球レベルが高いことに驚かされる。そのためこの秋は、60回1/3イニングで実に82個の三振を奪えている。

(投球のまとめ)

 ツーアウトだと、走者を気にせず投球に集中する。そのためクィックも1.3秒台と遅く、簡単に盗塁を許すような場面も見られた。それでも、走者を返さない自信があるのだろう。1つ1つのボールの威力もさることながら、ランナーを背負えばじっくりボールを持ってなかなか投げないなど、間を使って走者や打者を焦らすような術も持ち合わせている。

 そして松坂との最大の違いは、すでにこの時期からスライダーのみならず縦の変化球の精度・落差がかなり高いということ。それでいて、スライダーの曲がりも凄いのだから、ある意味松坂以上に的を絞らせない投球ができているとも言えるのではないのだろうか。2年秋の時点では、同時期の松坂以上の完成度・ボールの威力を持っていると評価しても過言ではないのかもしれない。


(投球フォーム)

今度は、投球フォームの観点から将来像を考えてみたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばしており、お尻は一塁側への落とせません。したがって体を捻り出すスペースが確保できず、カーブやフォークといった球種を投げようとすると無理があり適しません。

 しかし前に足を大きくステップさせることで、「着地」までの時間はある程度確保。カーブやフォークといった捻り出して投げる球種以外ならば、好い変化球を習得できる可能性はあります。実際には、スライダーのキレは一級品です。


<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで体の近くにはあり、両サイドへの投げ分けは安定しやすいはず。足の甲の押し付けは浅いので、ボールは真ん中~高めに集まりやすい。「球持ち」も現状は並ぐらいであり、それほどボールを押し込めておらず低めには集まって来ない。四死球を出すような不安定さはないが、それほど細かいコントロールはないように思われる。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻は落とせない割にフォークを使っても来るので、肘への負担は心配。しかし現状ぐらいの頻度での使用ならば、それほどナーバスになるほどではないのかもしれない。

 腕の送り出しには無理は感じないので、肩への負担は少なめ。腕の振り自体は強いものの、けして力投派でもないので疲労は貯め難いのではないのだろうか。今後フォークへの依存度が大きくなって、フォークばかりを投げなるようにならない限りは、それほど心配しなくても好いとみている。


<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは悪くないので、それほど合わされやすいということは無さそう。体の「開き」も平均的であり、コントロールミスをしなければ痛手は少ないだろう。

 腕は強く振れており、勢いがあるので空振りは誘いやすい。しかしボールへの体重乗せができる前にリリースを迎えているので、まだグッと打者の手元まで来るような勢いは感じられない。このへんが一冬超えてできてくると、手がつけられなくなりそうだ。


(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」「開き」は並で「体重移動」には課題があると言える。このへんは、今後股関節の柔軟性を養いつつ下半身を強化して、良くしてゆくことが求められる。動作自体には、「着地」以外にそれほど粘りは感じられない発展途上の段階。

 お尻が落とせないことでのフォークの使用による肘への負担、足の甲の押し付けの浅さから来る球筋が高い点、カーブやフォークといった球種に不向きなフォームなだけに、緩急と縦の変化をいかにして生み出して行けるのかがポイントとなりそうだ。



(最後に)

 2年秋の時点では、ボールの力、変化球レベル、投球術、野球センスなど、かなりハイレベルなところまで来ている。とは言ってもまだまだ高校生レベルであり、この一冬の間にどのぐらい資質を伸ばすことができるかだろう。過去の一流選手たちは、やはり2年秋~3年夏までの成長力がみな素晴らしかった。

 神宮大会の時点では、松坂大輔と匹敵するレベルにあると言える。このまま順調に資質を伸ばして行ければ、久々に高卒1年目から、一軍で二桁勝てるような高校生が誕生するのではないかとみている。佐々木朗希(大船渡)と共に、このまま行ければ1位で競合するレベルになることを充分期待して好いだろう。「素材の佐々木・実戦力の奥川」、この関係は藤浪晋太郎(阪神)と大谷翔平(エンゼルス)のライバル関係と良く似ている。果たして今年一年、彼らがどんな成長を遂げてゆくのか歴史的目撃者となる。


(2018年秋 神宮大会)