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大下 誠一郎(オリックス)内野手のルーキー回顧へ







大下 誠一郎(白鴎大4年)左翼 171/89 右/右 (白鴎大足利出身) 





 「ハマれば面白い」





 白鴎大足利時代から、非凡な打撃能力を示してきた 大下 誠一郎 。 白鴎大進学後も、一年春から不動のレギュラーとして君臨。すでに2年生からはキャプテンも任されるようになるなど、チームの精神的な柱へと成長した。入学以来毎年見てきた印象では、良い意味でも悪い意味でも変わっていないということ。本人のプレースタイル同様に、一本筋の通ったプレーヤーなのだ。


走塁面:
☆☆☆ 3.0

 豆タンクのような体型からも、けして足が速そうには見えない。実際純粋な脚力は、身体能力の化け物が揃うプロの世界では 中~中の下 ぐらいではないのだろうか。一塁までの塁間でも参考になるようなタイムは出さないが、必要に迫られれば全力で走りベースランニングなども遅くない。4年春のシーズンには、5盗塁を記録した。この選手は見た目から受けるイメージとは違い、かなり動ける選手なのだ。

守備面:
☆☆★ 2.5

 チーム事情で左翼を守っているが、高校時代はショートやサードを守るなど守備も下手な内野手ではなかった。けして守備範囲が広い外野手ではないが、キャッチングも下手ではない。肩も高校時代投手としてもマウンドに上がり、140キロ台中盤を叩き出していたように悪くない。レフトへ飛ぶとチャンスとばかりに相手三塁コーチャーは腕をまわすが、ホームでアウトにする場面を何度も目の当たりにした。プロの右翼手としては厳しそうだが、打撃優先の左翼手ならば許容範囲のレベルにはあるだろう。またプロでは、三塁あたりの可能性も検討して頂きたい選手でもある。


(打撃内容)

 思っきりが良く、広角にパワフルな打撃をする選手です。打撃の潜在能力は高いと思うのですが、リーグ戦の成績が平凡なのが前から気になっていました。そこで今回は、1年春からレギュラーとして出場してきた、4年間の通算成績から考えて行きたいと思います。

95試合 313打数 81安 9本 58点 39振 58四死 打率.259厘

1,三振比率は、10%台 ◯

 三振比率は、12.5% 。強振して来る強打者ながら、三振比率を地方リーグとはいえ15%以下ならば合格ラインのミート力だろう。この選手の潜在能力が高いと思うのは、やはり集中している時には高いレベルの相手でも対応できてしまうところにある。そういった時の打撃能力は、先輩である 大山悠輔(阪神)よりも上なのではないかと思える時がある。

2,四死球率は15%以上 ◯

 四死球率は、18.5% 。アマの地方リーグでプロに入るような圧倒的な存在ならば15%以上の四死球率は欲しいところ。警戒されるなか、しっかりボールを見極める目を持っていること。そして、けして自分が自分がとスタンドプレーに走っていないことも伺うことができる。

3,ホームランと打点の割合は

 4年間の通算ホームランは9本。4年間の打数である318を、プロのレギュラークラス並みの500打数で換算すると、年間14本ペースで本塁打を放っていたことになる。ここからもこの選手は、けしてホームランで魅了するタイプではないことがおわかりだろうか。

 打点に関しては58点なので同様に換算すると、1シーズンで91点ペースで叩き出していたことがわかる。勝負強さを売りにする、ポイントゲッターであることがよくわかる数字となっている。もちろんプロレベルが相手ならば、本塁打も打点も同様のペースで打ち続けられるわけではないのだろうが。

(成績からわかること)

 4年間の通算打率は.259厘と思ったほどではないのだが、こと出塁率に直すと.376厘と低くないことがわかる。それだけ警戒されるなか無理に打ちには行かず、出塁してでも後の打者に繋ぐという意識が強い打者だったのだろうと推測できる。現状はホームラン連発という打者ではなく、典型的なポイントゲッターだと捉えたい。

 私がいう潜在能力の片鱗は、三振比率の少なさと四死球率の高さからも現れており、プロのファームレベルならば見劣りせずに自分の打撃を示せるのではないかとみている。


(最後に)

 プロでレギュラーというよりは、対左投手の時の起用だとか、ここぞの場面での代打とか、そういった局面局面や短期的な起用の方が持ち味が発揮されるタイプなのではないかと観ています。良い時と悪い時の浮き沈みがある選手だと思うので、どうしてもプロの長いシーズンを想定すると、成績が残り難いのではないかと。そういった彼を活かせる環境を用意してあげられれば、この選手は想像以上の働きを爆発させてくれるのではないかと観ています。活かし方次第では、非常にハマると面白い人材だと評価し、☆ を付けてみようと判断します。オリックスが、彼にとってそういう球団であることを願ってやみません。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2019年 秋季リーグ戦) 









大下 誠一郎(白鴎大3年)左翼 172/87 右/右 (白鴎大足利出身) 
 




 「白鴎大の精神的柱」





 上下関係の厳しい体育会系の部活の中で、2年生ながらチームの主将を務めていた 大下 誠一郎 。その存在は、チームの中で絶大なものがある。またそういった存在感だけでなく、こと打つことに関しては、大学時代の 大山 悠輔(阪神1位)以上ではないかと思わせる潜在能力を秘めている。果たして最終学年を迎え、どのような活躍を魅せてくれるのか期待せずにはいられない。


(守備・走塁面)

 白鴎大2年秋のシーズンには3盗塁こそしているが、基本的に走力を全面に出したプレーヤーではない。その豆タンクのような体型のイメージどうり、走力はけしてある方ではないだろう。大学選手権の東北福祉大では、ショートゴロの際に 4.85秒前後。これは多少緩めてのタイムだったが、全力でも4.5~4.6秒ぐらいはかかりそうだ。これを左打者に換算すると、4.25~4.35秒ぐらいなので、頑張っても 中の下~下の上 ぐらいの脚力ではないかとみている。

 春の大学選手権では、一塁手として出場。秋は、左翼手として出場していた。けして守備範囲が広いとか、上手い外野手には見えない。しかし打力があれば左翼ならばアリなのではないかと思える無難さはあり、元々高校時代は145キロを記録するほどの投手だったので左翼からの返球には見るべきものがある。

 また白鴎大足利時代は、ショートやサードとしても出場していた選手。チーム事情で左翼をやっているが、上のレベルでも三塁が務まるのではないかという期待も抱く。そう考えると「強打の右の三塁手」という付加価値が生まれ、守備でも見るべきものがあるという評価に変わってくるはず。最終学年に、そういったアピールの場があるのかが1つポイントになりそうだ。


(打撃内容)

 ここまでの、3年間の通算本塁打は僅か6本。通算打率も2割台と、圧倒的な存在感を試合で示している割に、リーグ戦での実績が平凡なのは気になる。基本的にこの選手は、長距離打者というよりも 中距離打者・ポイントゲッター であり、勝負強さを売りにするタイプではないのでしょうか。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 前の足を大きく引いて構える、右のオープンスタンスでボール呼び込む。グリップの高さは平均的で、腰は深く沈めて立っている。かなり癖のある構えであり、全体のバランスや両眼で前を見据える姿勢は平均的と言えるのではないのだろうか。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下るときに動き出す、「早めの仕掛け」を採用。強打者のイメージが強いが、本質的には対応力を重視した打撃だということがわかる。実際見ているイメージでは、中距離ヒッターであり勝負強さを売りにするポイントゲッターといった感じがする。うまくボールを巻き込めると、スタンドインする長打力を秘めているような。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足をしっかり引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたい万能型。

 気になるのは、踏み込んだ足下が早くから地面離れるタイプ。すなわち打球の多くが、センターからレフト方向への引っ張りが中心だということ。タイミングの合わせ方は良くても、無理に引っ張ったりするので引っ掛けことも少なくないのだろう。特に外角へ逃げる球や、低めの球にはあまり強くないのではないのだろうか。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 また早めに「トップ」に近いところにグリップは添えられているのだが、ボールを呼び込むときにグリップを大幅に中に引き込む動作があること。これはヒッチする癖と同じで、立ち遅れる可能性が高くなりスカウティングでは気にするスカウトも多いのでは? 個人的には大幅に引き込むものの、早めに「トップ」の形を作れているので問題ないと見ているが。

 バットの振り出しは、インパクトまでのロスは少ない。内角もさばけるスイングだし、甘めの外角球ならばしっかり引っ張り込めるスイングになっている。ボールを捉えるときにも、バットの先端であるヘッドが下がらずにフェアゾーンに落としやすい。

 ボールを捉えてからのスイングの弧が大きく、フォロースルーも使えていて打球を運ぶ後押しはできている。ただしボールを捉えるときに角度をつけて捉えられないのか? あまりオーバー・フェンスしない理由なのではないかとみている。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはあるものの、目線の上下動は大きくはない。体の「開き」が充分我慢できているという感じはしないのだが、軸足は地面から真っ直ぐ伸びており内モモには強さが感じられる。このへんは、強烈な打球を生み出す原動力になっている。

(打撃のまとめ)

 センター方向には無理なくはじき返す打撃は見られるのだが、右方向への打球はあまり見られない。ボールを捉える感覚も、スイングの技術も悪くないのだが、この打球の方向が偏っているので、右方向への打撃も意識しないと打率は上がって気にくいのかもしれない。ただし意識さえ持てれば、打てそうなスイングの形にはなっている。

 また打球にあまり角度がつけられないのも、意識と指導次第では改善される可能性は秘めている。持っている打撃能力は確かなので、このへんはぜひプロの指導者に魅てみらいたい選手ではある。


(最後に)

 ただし現状の左翼だと、守備的なアピールに繋がらないこと。まして走力は期待できず思ったほどホームランが出るタイプではないという現状を考えると、大学から指名されるのか?と言われると、微妙なところにいる選手だという気はしている。

 ただし上記にも記載したとおり、持っている打撃の潜在能力は間違いないと思うので、そのへんが大山同様に最終学年でアピールできれば面白いのではないのだろうか。強打の三塁としてアピールできる&大山同様にモノの違いを最終学年に示せるということができれば、ドラフトへの指名も期待できるのではないのだろうか。


(2018年秋 横浜市長杯)









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