19dy-20





佐藤 優悟(オリックス)外野手のルーキー回顧へ







 佐藤 優悟(仙台大4年)右翼 182/90 右/右 (柴田出身)





 「振りは速い」





 試合でもヘッドスピードの速さと、思いっきりの良さが目立つ 佐藤 優悟 。しかしこの春のオープン戦で生で見ているはずだが、正直記憶に残っていなくメモに特に何か記したということはありませんでした。ドラフト指名後に幾つかの映像を見直して、今回はレポートを作成してみました。





(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、右打席から4.4秒強ぐらいで到達します。これを左打者に換算すると、4.15秒強ぐらいに相当。このタイムだけみれば、ドラフト指名される野手の走力としては平均的です。リーグ戦では4年春に6盗塁、秋には5盗塁を記録するなど適度に盗塁を決めてくる。プロで足を売りにするほどかには疑問は残るが、中~中の上 ぐらいの走力はあるとみて良さそう。ただし大学に入ってウエートを増したせいなのか? 塁間はやや重苦しく見えました。

 もっとわからなかったのが、守備力の部分。高校時代は、1.8秒台の送球をする強肩捕手として知られていた言います。しかし大学に入ってからは、外野にコンバート。試合前練習の模様なども映像にありましたが、しっかり追えておらず良くわかりませんでした。幾つかリーグ戦でライトフライなどの映像を観ると、フェンスにぶち当たってホームランボールを追ったり、しっかりカバーリングに入っているなど、けして動けない選手ではなさそう。送球もはっきりは映っていませんでしたが、三塁に投げたボールには勢いがあり、守備位置からも肩もそれなりの強さはありそうです。守備に関しても肩に関しても、中~上の下 ぐらいはあるのではないかと感じはしました。

 ハッキリとは守備力も走力も掴めない部分はあったのですが、けして動けない選手でもなさそうですし、肩も悪くなさそうです。守備や走塁がプロでも売りにできるかまではわかりませんでしたが、そこで見劣る選手ではなさそうです。





(打撃内容)

 打球が上がるタイプではありませんが、強烈なスイングでパワフルな打者といった感じがします。この秋は、
11試合 1本 6点 5盗 打率.237厘 。4年春には.342厘を残しましたが、対応力に課題があるような実績です。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 前の足を軽く引いてカカトを浮かして構え、グリップは高めに添えた強打者スタイル。腰の据わりは良くどっしりしており、両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスも取れていて、打席での集中力と威圧感を感じます。

<仕掛け> 遅め

 投手の重心が下る時にベース側につま先立ちしますが、本格的な始動は前に重心移動する段階で「遅めの仕掛け」になります。ボールできるだけ引きつけてから打ちに行くタイプで、長距離打者や生粋の2番打者に多く見られる始動です。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足を小さくステップさせ、真っ直ぐ踏み出します。始動~着地までの「間」が取れず、いわゆる 点 の打撃だと言えます。それだけ狙い球を絞り、その球を逃さに「鋭さ」が求められます。そういった打撃を使いこなすだけの、打席での集中力は感じられましたが。

 真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプ。踏み込んだ前の足はしっかり止まっており、逃げて行く球や低めの球には食らいつくことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れません。気になるのは、ボールを呼び込む際に前の肩が中に入り込むため、内角の球にバットが出にくい感じがすること。バットの振り出しは少し遠回りに出てきますが、バットの先端であるヘッドは下がっていないので、それほど神経質にならなくても良さそう。最後まで大きな弧で、しっかりフルスイングできる振る力があります。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は小さい。身体の「開き」も我慢できていますが、少し足元が窮屈なので内角のさばきはどうなのか?と思える部分はあります。

(打撃のまとめ)

 捉えた時の打球はパワフルで強烈ですが、ボールを捉える技術に課題があります。特に内角の球に対し、いかにスムーズにバットが出てくる形が作れるようになるかがポイントではないのでしょうか。元々強引に引っ張るのは、嫌いでは無さそうなので。逆に右方向には、無理なく飛ばせる技術はありそうです。


(最後に)

 ブリブリの強打者ですが、肩・走力などで見劣る心配は無さそう。プレーを見ていても、気持ちが伝わって来るファイターという感じはします。打席に入るときにも、足場をしっかり馴らし自分なりのこだわりを持っているのが伝わってきました。

 課題も多そうですが、見ていて好感が持てるタイプです。しかし春先の観戦では何とも思わなかったので、きっと私の感性には引っかからなかったのだと思います。通常ならばデータ不足で評価付けはできないとしたいところですが、実際に生で見ているので指名リストには載せないという評価になることはご了承くださいませ。私の見方が浅かったことを、ぜひプロ入り後反省させて欲しいと思います。


(2019年 春季オープン戦)