19dy-18





蝦名 達夫(DeNA)外野手のルーキー回顧へ







蝦名 達夫(青森大4年)中堅 185/88 右/右 (青森商出身) 





「よく覚えていない」 





 この春、関東に遠征してきた青森大の試合を2度ほど観戦していた。そのときのお目当ては、DeNAにドラフト指名された 蝦名 達夫 ではなく、村上 竜斗 という本格派投手だった。その投手が目当てであり、正直あまり野手の方は真剣に見ていなかったというのはある。しかしそれでも試合を見ていて気になれば、メモなりしたと思うのだ。しかし私の感性には引っかからなかったのか? 蝦名のことで特にメモしたことはなかった。名前こそ訊いていた選手なのでなんとなくは覚えているが、大型の割に結構動ける選手で肩も悪くなかったような記憶がなんとなく残っている程度だった。


(守備・走塁面)

 一塁までの到達タイムは、右打席から4.3~4.0秒前後と極めて速い。これを左打者換算すると、4.05~3.80秒前後に相当するので、プロ球界でも 上位の部類の走力 があることがわかる。ただしチームの中軸を打つ選手で、ガンガン盗塁でアピールして来る感じではないようだ。リーグ戦でも2,3個程度の盗塁数なので、めっぽう走力を全面に出してくるプレースタイルではないようだ。それでもプロ入り後は、自分をアピールするために走力を全面に出してくる可能性はあるだろう。

 外野の動きを観る限り、無難に守っている感じがする。打球勘が良いとか守備範囲が広いとかそこまでは、ちょっと幾つかの映像確認したがよくわからなかった。春のオープン戦で見たときも、肩もそれなりに強かったような記憶はなんとなくはあるのだが、メモにしっかり記していないので本当にそうだったかの確信は持てない。遠投100メートルを誇り、肩もかなり良いという話ではあるのだが・・・。

 残念ながら私の見方が悪かったので、映像で走力・守備力を改めて確認した程度。そのため細かい部分はわからず、自信を持って守備・走力がどうだとは言い切れるないことをご了承ください。





(打撃内容)

 追い込まれるまでは、結構思いっきり振ってレフト方向にホームランを放つなど長打が目立ちます。追い込まれると右方向への打撃に切り替えて、しぶとく対応してくるイメージです。3年秋のシーズンのみ打率.200厘と低迷しましたが、あとのシーズンでは3割5分前後と高い打率を残しています。4年春のリーグ戦で3本塁打を放ち本塁打王、秋には打率.406厘で首位打者を獲得。大砲という感じではありませんが、大型でも脆さを感じさせるような打者ではありません。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 前の足を軽く引いて、グリップを下げ気味に構えます。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとして平均的ですが、打席では力むことなくリラックスして構えられているところは良いところ。

<仕掛け> 早すぎ

 投手の重心が下がり始める前から、足を引き上げて来る「早すぎる仕掛け」を採用。通常このタイミングで動き出すと、投手によって投げるタイミングを崩されてしまう恐れがある。しかしこの選手は、その都度足を降ろしタイミングを取り直すので、この点に関しては気にしなくても良いのではないのだろうか。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を早めに引き上げ、ややベース側に踏み込んできます。始動~着地までの間は充分取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいはず。ベース側に踏み出すように、外角への意識が強いと考えられます。

 踏み込んだ前の足はしっかり止まっており、逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができます。足で上手くタイミングを図れる選手なので、合わせるのも上手いと考えられます。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 あらかじめグリップをトップに近い位置まで引いているのですが、若干「トップ」の形を作るのは遅れ気味です。ここでもタイミングを図っている感じがするのであまり言いたくはありませんが、プロの速い球に対応するには少し戸惑う危険性はあります。

 バットの振り出しには癖がなく、かなりコンパクトに振り抜いてきます。バットの先端であるヘッドも良く残っていますし、広い面でボールを捉えられるタイプ。そのため打球が、フェアゾーンの中に飛びやすくなります。また内角の球に対しても肘をうまくたたみ、さばくのは下手でないと思います。

 インパクトまではコンパクトで、けしてスイングの弧が大きいというイメージはありません。しかしフォロースルーの段階でグリップが高い位置まで引き上がっているので、しっかり捉えた打球を運ぶ技術があるのでしょう。そのため、打球が良く伸びてゆく可能性があります。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足は結構上げるのですが、比較的静かなので目線の上下動は激しくありません。身体の開きも我慢できていますし、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。軸が安定して、調子の波は少ないタイプだと感じます。

(打撃のまとめ)

 技術的には、かなり高いレベルにあります。長打よりもむしろ対応力に秀でた打者であり、本質的にはスラッガーというよりも中距離タイプの打者なのではないのでしょうか。ボールに合わせるのがうまく、追い込まれてもしぶとく食らいつくことができるなど、打撃には良いものを感じました。


(最後に)

 細かく見てみると、技術的にもなかなか興味深いものがあります。また打席に入るときも、軸足の足場をしっかり固める入るなどこだわりが感じられました。またボールの見逃し方を見ていても、1球1球に集中力が感じられてプレースタイルにも好感が持てます。

 ただしこの春、巨人とのプロ・アマ交流戦や横浜商科大戦を生で見ましたが、私自身何も感じなかった感覚を信じるならば、個人的にはピンと来るものはなかったのでしょう。細かい考察をしていなかったことは反省すべきですが、そのときの感覚に従うならば指名リストには名前を残さないという評価になってしまいます。果たしてそう感じた選手が、プロ入り後どのような結果になるのか?私自身、大変興味があります。


(2019年 春季オープン戦)