高部　瑛斗（国士舘大）外野　１７８／７２　右／左　（東海大甲府出身）

「所作がいちいち格好いい」

　打席に入るまでのルーティンが決まっていて、強いこだわりと意識の高さを感じさせるイチローチックな好選手。三拍子バランスの取れたプレースタイルで、特にミート力に優れた打撃が光る。

走塁面：　☆☆☆★　3.5

　一塁までの到達タイムは、４．０５秒前後。この脚力は、プロに指名される選手としては　中の上　ぐらいの走力だと言える。実際生で見たときには、盗塁を試みるも失敗するなど、絶対的的な脚力があるようには見えなかった。それでもベースランニングなどは速く、スピード感を感じさせるプレーヤーだ。リーグ戦での盗塁数は、１個～８個　ぐらいと、時期によってもバラツキがある。

守備面：☆☆☆☆　4.0

　打球への反応や落下点までの入り方などを見ていると、けして下手選手ではありません。春は確かセンターを守っていたと思いますが、秋はライトを守ったりもしていたようです。地肩自体もまずまず強いのですが、少々投げる形が良くないのでコントロールなどはどうでしょうか？　守備も　中の上～上の下　ぐらいと捉えていて良いのではないのでしょうか。

（打撃内容）

　この秋は、打率．１５２厘と絶不調でしたが、東都二部通算121安打を放つなど素晴らしい実績の持ち主。たとえアウトになった打席でも、バットの芯のあたりでボールを捉えていることが多いアのは非凡です。

＜構え＞　☆☆☆★　3.5

　前の足を軽く引いて、カカトを浮かして構えます。グリップは高めに添えられ、バットを引き気味に添えます。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスなどは、まずまずではないのでしょうか。

＜仕掛け＞　早め

　投手の重心が下がり始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。早めに動き出すことで、いろいろな球に対応しようとするアベレージヒッターに多く見られる始動です。

＜足の運び＞　☆☆☆☆　4.0

　足を軽く上げて、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動～着地までの時間は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応しやすい。アウトステップを採用するように、内角を意識したスタイル。

　しかしこれは、内角の球を好むというよりも、内角のバットの出を良くためにスペースを空けるためではないかと考えられる。踏み込んだ前の足はしっかり止まっており、逃げてゆく球や低めの球には食らいつくことができます。基本的にこの選手は、真ん中～外角寄りの球をはじき返すのを得意にしているのではないかと感じました。

＜リストワーク＞　☆☆☆★　3.5

　打撃の準備である「トップ」の形は、早めにバットを引いて作れているので速い球には立ち遅れない。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではなく、外の球をきっちり捉えるためのもの。外の球に対しては、バットの先端であるヘッドも下がっておらず、フェアゾーンにはボールが飛びやすいスイングになっている。

　特にスイングが物凄く鋭いとかは思わないが、アウトの打席でもボールをバットの芯で捉えていることが多く、その点は非凡ではないかと思う。スイング軌道を観る限りは、典型的なアベレージヒッターという感じ。ただし４年春のシーズンでは、３本塁打放つなど年々飛距離を伸ばすことができてきた。

＜軸＞　☆☆☆☆　4.0

　足の上げ下げは小さく、目線の上下動は小さめ。それだけ、錯覚を起こすことなく球筋を追いやすい。身体の開きは我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定している。特に身体をうまく残し、おっつけて打つのが上手い。

（打撃のまとめ）

　右投げ左打ちの打者に良く見られる、引っ張っての長打や鋭い打球が一二塁間を抜けてゆくという印象は薄いです。むしろ上手く、センターからレフト方向へ飛ぶ打球が多いのではないのでしょうか。特に甘い球を逃さないとか、そういった凄みみたいなものは感じないのですが、常にバットの芯の周辺でボールを捉えられる能力は非凡だと思います。

（最後に）

　守備・走塁がそこまで突出している感じではなく、打撃も絶対的なものがあるのかは迷うところはあります。しかしどの打席でも、良い感じではボールを捉えられており、その点は素晴らしいと思います。ただし盗塁数がシーズンによってバラツキがあったり、天才的なバットコントロールの持ち主でありながら、この秋は１割台に低迷するなど、ルーティンを大事にしている割に調子の波は激しいタイプなのかもしれません。プロで毎年活躍するとか、長いシーズン好調を持続できるだけのものがあるのかは、ちょっと気になるところはあります。それでも四年間で、東都二部とはいえ１２０本以上のヒットを積み重ねてきた実績は素晴らしいのですが。

　またプロのレギュラーに昇りつめられるような素材なのか、特徴を見出だせずに埋もれてしまうのかの見極めは難しいのですが、私はプロで3割打つような打者になるのではないかという期待の方が大きいです。。特に左打者の才能を見抜くのに長けているロッテスカウト陣が、3位という高い順位で指名してきたことを考えると期待したくなります。ひょっとしたら、イチローのような　凄い天才打者　なのかもしれません。

蔵の評価：☆☆　（中位指名級）

（２０１９年　春季リーグ戦）