19dp-5
伊勢 大夢(明治大4年)投手 181/87 右/右 (九州学院出身) | |
3年春のシーズンでは、3勝をあげ規定投球回数に達した 伊勢 大夢 。しかし秋のシーズンでは、僅か1試合の登板に留まった。しかし今春のリーグ戦前に行われた社会人との対抗戦では、MAX148キロの速球を投げ込むなど復活を印象づけた。しかしリーグ戦に入っても、なかなか登板して来ない。ようやく4月も終わりの、早大2回戦でのリリーフで初のマウンドを踏む。 (投球内容) スリークォーターから、勢い良く足を引き上げて来る速球派です。 ストレート 常時140~MAX150キロ ☆☆☆★ 3.5 早大戦での登板を見る限り、常時145キロ前後~最速で150キロに到達。ボールの勢いは、取り戻しているとみて良いだろう。代わりっぱなバラついていたが、四死球で自滅するタイプではない。全体的にボールが高めに集まる傾向は見られるものの、ボールに勢いがあり空振が取れる球質なので、勢いがあるうちは心配ない。むしろ球威・球速が落ちてきたときの140キロ強ぐらいでも、コントロール重視で投げているときの方が投球内容は安定しているようにも見えぐらいだ。 左打者に対して多少アバウトになる傾向があり、右打者内角へはナチュラルシュートするクセ球に特徴がある。早大戦では内角を厳しく突く場面は少なかったが、元来はそういったピッチングもできるということ。力を入れるとアバウトになってカウントが悪くなっても力を抜いてカウントが整えられるので、四死球は思いのほか少ない。 変化球 スライダー・シンカー ☆☆☆ 3.0 スリークォーターでも、大きく横滑りスライダーではなくカットボール気味に140キロ前後で手元で小さく変化する。そのほかシンカーなどを使って来るのだが、変化球が高めに抜けたり甘く入ることが多く、そういった球を痛打されることが多い。特に打者の空振りを誘うような絶対的な球種はないのだが、右打者に対しては外角低めにスライダーを集めるのが得意な組み立て。 その他 牽制は、一塁走者を刺すぐらいに鋭く上手い。またクィックも、1.0秒前後と高速。それだけに、この選手から盗塁を仕掛けるのは難しい。 (投球のまとめ) ストレートの勢いや球速は、まさにドラフト級の素材。また速球派ではあるが、四死球で自滅するような危うさがないところは良いところ。その一方で変化球に特徴がなく、甘く入った球を痛打されるケースが目立つのは気になる。また昨秋もほとんど投げられなかった上に、今春も開幕前までは順調だったのに中々登板ができなかった。 何処か故障を抱えていて状態が安定しないのか? 元来調子の波が激しいタイプで、好調を維持できない波があるタイプなのか原因があるのかもしれない。プロの長く険しいシーズンを想定すると、そのへんは不安要素となる。 (投球フォーム) オフシーズンに作成した「本当に凄いやつ」でもフォーム分析をしているので、昨秋からの変化を中心にみてみたい。ノーワインドアップから勢い良く足を上げてくるので、「間」を活かした先発型というよりもリリーフタイプに見える。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 お尻はバッテリーライン上に残るので、体を捻り出すスペースが確保されず、カーブで緩急を効かせたりフォークのような縦に鋭く落ちる球種の習得には適していません。まして肘を下げて出てくるので、余計にその傾向は強いはず。 「着地」までの粘りも悪くはないのですが、平均的。したがって体を捻り出す時間もそこそこで、キレや曲がりな大きな変化球の習得は難しいかもしれません。そのためカットボール・ツーシームなど、小さな変化で投球を広げてゆくスタイルになりそうと書いたのですが、この春の投球を見ているとカットボールを多めに使ってくるようになりました。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブはしっかり内に抱えられており、両サイドへのブレは少ないフォーム。気になったのは、足の甲の地面への押しつけが、昨秋よりも浮きがちだということ。浮き上がろうとする力を抑えこめず、ボールが上吊りやすくなっているのではないのでしょうか? 良くなっている点は、ボールをしっかり前で放せるようになっている点。ただしその割にボールが暴れるのは、リリースが横振りになってしまっていて、コントロールがつけ難かったり抜けやすいのではないかと。サイド気味のスリークォーターでも、手首を立てる意識でボールが投げられると球筋が安定し、低めに集まってくるのではないのだろうか。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻を落とせないフォームではあるものの、カーブやフォークといった球種は使って来ないので、肘への負担は少ないだろうと考えられる。 腕の送り出しにも無理は感じられないので、肩への負担も少ないのでは? それほど力投派でも無さそうなので、疲労を溜めてフォームを乱すリスクも少ないのでは? しかしサイド・スリークォーター系は、上手投げとは違うところに負担がかかるので、何か慢性的な故障を抱えている可能性も否定できない。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りも並な上に、サイド・スリークォーターの宿命とも言うべき「開き」の早さがつきまとう。そのぶん「球持ち」を良くすることで、打ちやすいを緩和している点は買えるのだが。 腕の振り自体は悪いとは思わないが、変化球のキレ・精度が低くあまり空振りが誘えない。それでも今シーズン投球回数と同じ数の三振が奪えるのは、質の良い真っ直ぐによるところが大きいからだろう。 「球持ち」が良くなることで、ボールにしっかり体重が乗るようになってきた。あとは、手首を立てる意識を持てればもっとパフォーマンスは向上して来るのではないのだろうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」が良くなることで「体重移動」も良くなってきたのは成長した部分。「着地」までの粘りが並なのと、フォームの構造上「開き」が早めなのをいかに改善して行けるのかが課題ではないのだろうか。 足の甲の押し付けが甘くなって、高めの球が多くなってしまっていること。故障のリスクは高くないように見えるが、フォームの構造上、何か慢性的な故障を抱えている可能性も否定できない。将来的に、いかにピッチングの幅を広げて行けるかは大いなる課題としてつきまといそうだ。 (最後に) ストレートの勢いだけならば、充分に中位(3位~5位)ぐらいには指名されそうな勢いはある。その一方で、変化球の精度・キレの問題。そして年間を通しての、安定したパフォーマンスが望めるのか?といった不安も残る。そういった意味では、秋がよほど良くないと、ランクとしては下位指名ぐらいの評価になってしまうかもしれない。それでもプロ入りを望むのか? 強豪・名門社会人で2年後を目指すなのか? そのへんの判断を、どう考えて来るかで今後も変わってきそうだ。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2019年 春季リーグ戦) |
伊勢 大夢(明治大4年)投手 181/87 右/右 (九州学院出身) | |
3年春のシーズンでは、3勝をあげ規定投球回数に達した 伊勢 大夢 。しかし秋のシーズンでは、僅か1試合の登板に留まった。しかし今春のリーグ戦前に行われた社会人との対抗戦では、MAX148キロの速球を投げ込むなど復活を印象づけた。しかしリーグ戦に入っても、なかなか登板して来ない。ようやく4月も終わりの、早大2回戦でのリリーフで初のマウンドを踏む。 (投球内容) スリークォーターから、勢い良く足を引き上げて来る速球派です。 ストレート 常時140~MAX150キロ ☆☆☆★ 3.5 早大戦での登板を見る限り、常時145キロ前後~最速で150キロに到達。ボールの勢いは、取り戻しているとみて良いだろう。代わりっぱなバラついていたが、四死球で自滅するタイプではない。全体的にボールが高めに集まる傾向は見られるものの、ボールに勢いがあり空振が取れる球質なので、勢いがあるうちは心配ない。むしろ球威・球速が落ちてきたときの140キロ強ぐらいでも、コントロール重視で投げているときの方が投球内容は安定しているようにも見えぐらいだ。 左打者に対して多少アバウトになる傾向があり、右打者内角へはナチュラルシュートするクセ球に特徴がある。早大戦では内角を厳しく突く場面は少なかったが、元来はそういったピッチングもできるということ。力を入れるとアバウトになってカウントが悪くなっても力を抜いてカウントが整えられるので、四死球は思いのほか少ない。 変化球 スライダー・シンカー ☆☆☆ 3.0 スリークォーターでも、大きく横滑りスライダーではなくカットボール気味に140キロ前後で手元で小さく変化する。そのほかシンカーなどを使って来るのだが、変化球が高めに抜けたり甘く入ることが多く、そういった球を痛打されることが多い。特に打者の空振りを誘うような絶対的な球種はないのだが、右打者に対しては外角低めにスライダーを集めるのが得意な組み立て。 その他 牽制は、一塁走者を刺すぐらいに鋭く上手い。またクィックも、1.0秒前後と高速。それだけに、この選手から盗塁を仕掛けるのは難しい。 (投球のまとめ) ストレートの勢いや球速は、まさにドラフト級の素材。また速球派ではあるが、四死球で自滅するような危うさがないところは良いところ。その一方で変化球に特徴がなく、甘く入った球を痛打されるケースが目立つのは気になる。また昨秋もほとんど投げられなかった上に、今春も開幕前までは順調だったのに中々登板ができなかった。 何処か故障を抱えていて状態が安定しないのか? 元来調子の波が激しいタイプで、好調を維持できない波があるタイプなのか原因があるのかもしれない。プロの長く険しいシーズンを想定すると、そのへんは不安要素となる。 (投球フォーム) オフシーズンに作成した「本当に凄いやつ」でもフォーム分析をしているので、昨秋からの変化を中心にみてみたい。ノーワインドアップから勢い良く足を上げてくるので、「間」を活かした先発型というよりもリリーフタイプに見える。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 お尻はバッテリーライン上に残るので、体を捻り出すスペースが確保されず、カーブで緩急を効かせたりフォークのような縦に鋭く落ちる球種の習得には適していません。まして肘を下げて出てくるので、余計にその傾向は強いはず。 「着地」までの粘りも悪くはないのですが、平均的。したがって体を捻り出す時間もそこそこで、キレや曲がりな大きな変化球の習得は難しいかもしれません。そのためカットボール・ツーシームなど、小さな変化で投球を広げてゆくスタイルになりそうと書いたのですが、この春の投球を見ているとカットボールを多めに使ってくるようになりました。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブはしっかり内に抱えられており、両サイドへのブレは少ないフォーム。気になったのは、足の甲の地面への押しつけが、昨秋よりも浮きがちだということ。浮き上がろうとする力を抑えこめず、ボールが上吊りやすくなっているのではないのでしょうか? 良くなっている点は、ボールをしっかり前で放せるようになっている点。ただしその割にボールが暴れるのは、リリースが横振りになってしまっていて、コントロールがつけ難かったり抜けやすいのではないかと。サイド気味のスリークォーターでも、手首を立てる意識でボールが投げられると球筋が安定し、低めに集まってくるのではないのだろうか。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻を落とせないフォームではあるものの、カーブやフォークといった球種は使って来ないので、肘への負担は少ないだろうと考えられる。 腕の送り出しにも無理は感じられないので、肩への負担も少ないのでは? それほど力投派でも無さそうなので、疲労を溜めてフォームを乱すリスクも少ないのでは? しかしサイド・スリークォーター系は、上手投げとは違うところに負担がかかるので、何か慢性的な故障を抱えている可能性も否定できない。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りも並な上に、サイド・スリークォーターの宿命とも言うべき「開き」の早さがつきまとう。そのぶん「球持ち」を良くすることで、打ちやすいを緩和している点は買えるのだが。 腕の振り 自体は悪いとは思わないが、変化球のキレ・精度が低くあまり空振りが誘えない。それでも今シーズン投球回数と同じ数の三振が奪えるのは、質の良い真っ直ぐによるところが大きいからだろう。 「球持ち」が良くなることで、ボールにしっかり体重が乗るようになってきた。あとは、手首を立てる意識を持てればもっとパフォーマンスは向上して来るのではないのだろうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」が良くなることで「体重移動」も良くなってきたのは成長した部分。「着地」までの粘りが並なのと、フォームの構造上「開き」が早めなのをいかに改善して行けるのかが課題ではないのだろうか。 足の甲の押し付けが甘くなって、高めの球が多くなってしまっていること。故障のリスクは高くないように見えるが、フォームの構造上、何か慢性的な故障を抱えている可能性も否定できない。将来的に、いかにピッチングの幅を広げて行けるかは大いなる課題としてつきまといそうだ。 (最後に) ストレートの勢いだけならば、充分に中位(3位~5位)ぐらいには指名されそうな勢いはある。その一方で、変化球の精度・キレの問題。そして年間を通しての、安定したパフォーマンスが望めるのか?といった不安も残る。そういった意味では、秋がよほど良くないと、ランクとしては下位指名ぐらいの評価になってしまうかもしれない。それでもプロ入りを望むのか? 強豪・名門社会人で2年後を目指すなのか? そのへんの判断を、どう考えて来るかで今後も変わってきそうだ。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2019年 春季リーグ戦) |
伊勢 大夢(明治大3年)投手 181/83 右/右 (九州学院出身) | |
3年のリーグ戦では、3勝をあげ規定投球回数に到達した 伊勢 大夢 。しかし秋のリーグ戦では、僅か1試合の登板に留まった。スリークォーターから繰り出す、最速150キロのストレートが復活すれば、充分にドラフト候補へ入ってくる力量の持ち主だろう。 (投球内容) ノーワインドアップから、かなりサイドに近いスリークォーターで投げ込んでくる。 ストレート 常時145~150キロ ☆☆☆★ 3.5 ストレートは、先発でもコンスタントに145キロを越えてくる。そのボールの勢いは確かで、それでいて結構低めに集まる。ただし、左打者にはコントロールを甘くなる傾向が強い。それでも3年春のリーグ戦では、30回2/3イニングで9四死球と、四死球率は29.4%と基準である投球回数の1/3以下におさえることができている。何よりこの投手は、カウントが悪くなると130キロ台に球速を落としてカウントを整えることができる。そのため、けして四死球で自滅するような危うさはない。 球速、球質自体は良いのだが、合わされやすいフォームなのと、左打者へのコントロールがアバウトなのが欠点。そのため四死球は少なめでも、30回2/3イニングで29安打のほぼ投球回数と同数程度の被安打を浴びている。また右打者の内角には、ナチュラルシュートするような、癖のあるボールを投げ込める。 変化球 スライダー・シンカーなど ☆☆☆ 3.0 右打者には、外角低めにスライダーを集めるなどして投球を組み立てることができる。その一方で、左打者にはスライダーをうまく使えず投球に苦しむ。それでも追い込むとシンカー系の沈む球があり、この球もけして悪くはない。30回2/3イニングで30奪三振を奪えており、投球回数とほぼ同数の奪三振が奪えている。 その他 牽制は、走者を塁に釘付けにできるぐらいの鋭さがある。クィックも1.0~1.1秒で投げ込むなど、なかなか鋭い。そういった意味では、なかなか盗塁を仕掛けるのは難しい投手ではないのだろうか。 (投球のまとめ) 九州学院時代は、130~135キロぐらいの球速だった。それに比べると、大幅にパワーアップしているのは間違いない。あとは、3年春の勢いを取り戻しつつ、左打者への投球を改善できるかではないのだろうか? そこさえできれば、大学からのプロ入りも充分意識できる素材だろう。 (投球フォーム) 今度は、投球フォームの観点から問題を考えてゆきたい。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 お尻はバッテリーライン上に残るので、体を捻り出すスペースが確保されず、カーブで緩急を効かせたりフォークのような縦に鋭く落ちる球種の習得には適していません。まして肘を下げて出てくるので、なおさらでしょう。 「着地」までの粘りも悪くはないのですが、平均的。そのため体を捻り出す時間もそこそこで、キレや曲がりな大きな変化球の習得は難しいかもしれません。そのためカットボール・ツーシームなど、小さな変化で投球を広げてゆくスタイルになるかもしれません。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定しやすい。足の甲でも地面を押し付けることができており、ボールも低めに集まりやすい。指先の感覚は悪いように見えないのだが、「球持ち」が良いのかは微妙といった感じだろうか。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻を落とせないフォームではあるものの、カーブやフォークといった球種は使って来ないので、肘への負担は少ないだろうと考えられる。 腕の送り出しにも無理は感じられないので、肩への負担も少ないのでは? それほど力投派でも無さそうなので、疲労を溜めてフォームを乱すリスクも少ないのでは? 3年秋のリーグ戦で登板が少なかったのは、何処がおかしかったからなのだろうか? <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 「着地」までの粘りがさほどある方ではないので、打者としては苦になるフォームではありません。まして球の出どころが見やすく「開き」が早いので、打者としては球筋がいち早く読めてしまう。そういった意味では、コースを突いた球やボールになる変化球が見極められやすい可能性があります。 腕が短いのか?球離れが早いのかよくわからないのですが、振り下ろした腕が体に絡んできません。しかしボールにはある程度体重は乗せてからリリースができているので、打者の手元まで勢いのある球は投げられています。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「体重移動」以外に物足りなさを感じます。動作にもう少し粘りなり我慢ができないのと、合わされやすいリスクは改善できないかもしれません。 コントロールを司る動作や、故障のリスクが少ないことは買えます。ただし、3年秋の登板が少なかった理由がよくわかりません。それほど決め手となる変化球を習得できるのかは疑問で、そのへんで伸び悩む危険性はあります。 (最後に) まずは、ボールの勢いを取り戻すこと。そして、左打者への投球が改善されるかだと思います。その上で、フォーム全体に粘りと我慢が効くようになると、もっと被安打が少なくなるのではないのでしょうか。無理なく140キロ台後半を連発できる投手なので、復調すればドラフト候補へ浮上して来るでしょう。まずは、その時が来ることを楽しみに待っています。 (2018年 春季リーグ戦) |