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望月 大希(創価大)投手 187/85 右/右 (市立船橋出身) | |
真上から腕を振り下ろして来る力投派ですが、実はボールの威力で圧倒するというよりも、的を絞らせない投球が持ち味の 望月 大希 。そのへんのところを、今回は説明してゆきたい。 (投球内容) 今どき珍しいぐらい、腕を真上から振り下ろして来るフォームです。 ストレート 130キロ台後半~140キロ台中盤 ☆☆☆ 3.0 ストレートの球速・ボールの勢いだけ見れば、ドラフト指名された大学・社会人の投手の中では 中の下 ぐらいだと思います。しかしボールに角度があってバットの芯で捉え難いことを加味すると平均レベルかと。右打者にはしっかり外角にボールを集められるのですが、左打者には全体にアバウトでストライクゾーンの枠の中に投げ込んでくるだけといったレベルに留まります。 変化球 カーブ・フォーク・スライダーなど ☆☆☆ 3.0 春先のDeNA戦との交流戦の時に見た時は、スライダーとドロンとしたチェンジアップのようなフォークとのコンビネーションでした。しかし大学選手権では、緩いカーブが結構アクセントになって邪魔なボールといった感じがします。フォークは基本的に、打者から見極められて空振りはとれません。しかし低めにこういう球があるというのが気になって、的が絞り難いというのはあると思います。特に絶対的な球種はないのですが、縦・横・緩い球とあり、角度のある球筋も相まって対応するのに時間がかかるタイプなのではないのでしょうか。 その他 クィックは、1.05秒前後とまずまず。牽制は鋭く上手いですし、フィールディングも大型の体格の割に良いです。見た目以上に、投球以外の部分のレベルが高いのが特徴です。こういった運動神経の良い選手は、プロ入り後見違えるように化ける可能性は感じます。 (投球内容) 現状驚くような球はないのですが、何か相手としては的が絞り難く気持ちの悪いタイプといった印象を受けそうです。とくに対戦回数が少ないと、最初は戸惑うのではないのでしょうか。ただし何度か対戦してゆくうちに対応されてしまうぐらいの技量なので、確かな技術を身につけたいところではないのでしょうか。 (投球フォーム) 将来的にどんな投手になりそうなのか? フォームを分析する中で考えてゆきたいと思います。ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 お尻が一塁側に沈むのが遅いのですが、最後にはしっかり落とせています。そのため身体を捻り出すスペースは確保されており、カーブやフォークを投げても無理は感じません。 むしろ気になるのは、「着地」までの粘りに欠けアッサリ地面を捉えてしまうところ。そのため身体を捻り出す時間が確保できず、武器になるような変化球が習得し難い傾向にあります。球種は多彩で的を絞り難くすることはできますが、空振りを誘うような投球ができないのは、この部分が大きいかと。 <ボールの支配> ☆☆★ 2.5 グラブは最後まで内に抱えられていて、外に逃げようとする遠心力は抑え込めています。そのため、両サイドへのコントロールはつけやすいと考えられます。その一方で、足の甲での地面への押しつけが浅く、力を入れてしまうとボールが上吊りやすいこと。それ以上に球離れが早く、リリースが安定していないのが制球を乱しやすい要因ではないかと考えられます。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 お尻は落とせているので、カーブやフォークを投げても窮屈にはなり難いのでは?したがって、肘への負担はそれほど気になりません。それでもカーブやフォークを多く使う投球は、肘への負担が大きいのは確かです。 それ以上に気になるのは、彼の持ち味である腕の角度です。この角度を生み出すために、グラブを持っている肩は大きく下がり、ボールを持っている肩は極端に上がります。こういった無理な送り出しは、肩に大きな負担がかかっているのではないかと心配になります。 それほど力投派ではないので、消耗が激しいといったほどではないと思います。しかし将来的にリリーフなどを任された場合に、肩への負担は大きいので、故障に繋がらないかは心配ではあります。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りが淡白なため合わされやすいのですが、ボールの出処は平均的で角度を生み出すことで芯ずらすことで補えているのではないのでしょうか。 腕の振りに勢いがあまりないので、フォークなどの縦の変化球を見極められやすい。その一方で、思ったよりもボールにはある程度体重を乗せてからはリリースできているようには見えました。この辺も股関節の柔軟性を養いつつ下半身の強化を図れば、もっと打者の手元までグッ来るようなボールが行きそうな気はします。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、全てに関してもう少し我慢というか粘りが欲しいところです。制球を司る動作・故障のリスクも高く、将来的に武器になるほどの変化球を習得できるかも微妙です。そういった意味では、技術的にはまだまだといった感じがします。 (最後に) 縦の変化を多く織り混ぜて来る投手ですが、実は先発の方が持ち味が発揮できるタイプではないかとみています。空振りをバシバシ奪うというよりも、微妙に芯をズラしたり的を絞らせない配球が持ち味だからです。いずれにしてもまだ一軍に定着するには課題も多いので、ファームでの育成が求められることでしょう。そういった意味では、個人的にプロ入りには時期尚早といった印象で、指名リストには名前を残そうとは思いませんでした。果たしてこのタイミングでのプロ入りが、吉と出るか見届けてみたいと思います。 (2019年 大学選手権) |