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津留崎 大成(楽天)投手のルーキー回顧へ







津留崎 大成(慶応大4年)投手 177/85 右/右 (慶應義塾出身) 





「投げっぷりはいいけれど」 





(投球内容)

 テイクバックを小さめにとって、ボールを担いで投げるようなオールドスタイルのフォームです。

ストレート 常時145キロ前後~後半 
☆☆☆★ 3.5

 確かにコンスタントに145キロ前後~後半ぐらい出るスピード能力はあるものの、球速ほどボールが手元まで来ない。またボールも結構ばらついていて、四死球こそ少なくなったが、ストライクゾーンの枠の中でのコントロールはアバウト。現状は、ストライクゾーンの枠の中に思いっきり投げ込むといったピッチングスタイルに終始している。

変化球 スライダー・シンカー? 
☆☆☆★ 3.5

 ストレートが暴れても四死球が少なく済んでいるのは、スライダーでしっかりカウントを整えることができるから。他にもシンカーだかフォークだか? 縦に落ちる変化球で的を絞らせない。ただしこの縦の変化球が、意外に見極められてしまうことが多く三振を奪えていないのは気になった。

その他

 クィックは、1.2秒台とやや遅いのはリリーフタイプだけに気になる。ベースカバーは、素早く一塁に入れていたので問題はないようには見えた。ランナーを背負っても、牽制は確認できなかった。

(投球のまとめ)

 細かい理屈を抜きにガンガン投げ込んでくるマウンドさばきこそ、この投手の一番の魅力。以前はコントロールに課題があったが、最終学年に入り極端に四死球は減ってきた。ただしストライクゾーンの枠内でのコントロールはイマイチで、そのへんのアバウトさがプロ入り後どう出るだろうか? それでもスライダーでしっかりカウントを整え、縦の変化球を交えることで的は絞られ難くくなった。


(投球フォーム)

今度は技術的に、プロ世界で通用するだけのものがあるのか考えてみたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 比較的引き上げた足をピンと高い位置で伸ばせており、お尻の一塁側への落としは悪くない。したがって身体を捻り出すスペースはかる程度確保できており、カーブで緩急を効かせたりフォークのような縦の変化球を投げるのにも無理は感じない。

 「着地」までの粘りは平均的、身体を捻り出す時間は並。そのため多彩な変化球は投げられても、武器になる変化球を習得できるのかには疑問が残る。

<ボールの支配> 
☆☆★ 2.5

 グラブは最後まで内に抱えられているので、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができている。しかし実際には、ボールはかなりバラついている。

 足の甲の地面への押しつけは浅く、浮き上がろうとする力は抑え込めていない。また「球持ち」もそれほどではなく、ボールを低めに押し込めず高めに抜けてしまうことが多い。リリースが不安定で、再現性が低いことがバラツキを生んでいるのではないかと。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆ 4.0

 お尻はある程度一塁側に落とせており、フォークのような縦の変化球を結構使ってきますが、負担は少ないのではないかとみています。肘の再建手術から復帰してきた選手なので、そのへんは気になります。

 腕の送り出しをみても、肩に負担のかかっているようには見えません。力投派ではあるので消耗が激しい可能性はありますが、比較的身体への負担はかからないフォームに今はなっているかと。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは平均的で、ボールの出どころも並ぐらい。そういった意味では、極端に合わせやすいわけでも合わせ難いわけでもありません。ただしテイクバックを小さく固め、>通常と違う軌道で腕が出てくるので、微妙にタイミングを狂わすことができているのかもしれません。そのへんは、最終学年になり極端に被安打が少なくなりました。

 腕の振り自体は悪くなく、勢いがあるので空振りを誘いやすいのでは? またボールに体重を乗せて投げることはできているので、打者の手元まで勢いのある球は投げられています。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に大きな欠点はありません。これからまだ良くなる伸び代があるとも言えますが、未完成だという見方もできます。

 制球を司る動作はイマイチなのですが、心配された故障のリスクは低いのではないかと。将来的に、何か武器になる変化球が習得できるのかは微妙ではないのでしょうか。


(最後に)

 ボールの勢いと投げっぷりの良いマウンドさばきが自慢の投手でしたが、最終学年になり四死球と被安打が極端に減ったことは素直に評価できます。ただし指名となると、ボーダーレベルかなと思っていた選手なので、3位という順位には正直驚きました。

 ただし一年目からリリーフで投げてゆく選手だと思うので、そのバラツキのある投球と決め手に欠ける変化球で、何処までプロで活躍できるのかは微妙だといった感じはします。それでも上手くハマれば、一年目からリリーフで欠かせない存在になれるかもしれません。しかし粗い方が出てしまうと、それほど今後の上積みに期待してというタイプではないだけに、2年目以降も苦戦が予想されます。個人的には指名リストには名前を記しますが、もう少し下の順位で獲れたらなといった印象は残りました。


蔵の評価:
☆ (下位指名級)


(2019年 秋季リーグ戦) 








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