19dp-24
福森 耀真(九産大4年)投手 177/82 右/右 (北九州出身) | |
下級生の時にも大学選手権で投げたことがあった 福森 耀真 。その時も随分と粗っぽい素材だなと思ったが、どのぐらい成長しているのか楽しみだった。しか先発した 大商大 戦の投球を見る限り、本質的には変わっていないと強く実感させられた。 (投球内容) 中背のゴロンとした体格から、力強いボールを投げ込んできます。 ストレート 140~MAX149キロ ☆☆☆★ 3.5 立ち上がりから常時145キロ~MAX149キロの、球威のあるボールを投げ込んでいました。しかし力みからななのか?球筋が定まらず、四球などで余計なランナーを出します。ボールが球威型なので、打者の空振りを誘うというよりも詰まらせるタイプ。そのため球速ほどボールが来ている感じもしなければ、フォームも合わされやすい印象があります。セットになると140キロぐらいに大きく落ち込んだり、2回以降も結局立ち直れないまま序盤でマウンドを降りることになりました。 変化球 スライダー・カットボール・チェンジアップ? など ☆☆★ 2.5 速球以外だと、スライダーやカットボールなどでカウントを整えてきます。しかしこの球が抜けてしまうことが多く、ストライクがなかなか取れなかったことが苦しくなった要因かと。速球が暴れても、変化球でカウントが取れれば投球を組み立てることができます。しかしその両方がままらなければ、どうしても安定した投球は望めません。また他にもチェンジアップだかフォークのような縦の変化もあるのですが、その球の精度も不安定でスライダーのようには多く投げ込めません。 その他 クィックは、0.95~1.05秒前後と高速。牽制もなかなか鋭いが、フィールディング少々緩慢で危なっかしい。とりあえず細かかい駆け引きや投球術で勝負するタイプではなく、ストライクゾーンの枠の中に威力のある球が集められればといったタイプではないのだろうか。 (投球のまとめ) 速いボールを投げ込めるという馬力には秀でいているが、それを活かす術にはまだまだ課題が残る。今回は本人としても、かなり悪い部分が全面に出てしまい、不本意な投球だったのだろう。それでもそういった側面が顔を覗かせるということは、相手の技術が高ければ、よりこういった投球をすることが多くなるということ。よほどリーグ戦で圧倒的な投球を魅せていない限り、なかなか大学からプロとなると、プロ側も指名するのには勇気がいるのではないのだろうか。しかしこの春は、リーグ戦で 3勝0敗 防御率 0.69 で最優秀防御率に。アマでちまちまというよりは、育成でも資質を買ってプロ入りした方が良さそうなタイプには見える。 (投球フォーム) 実際の投球だけでは不安なので、フォームの観点から可能性を模索してみたい。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 お尻はバッテリーライン上に残り勝ちで、体を捻り出すスペースは充分とは言えない。したがってカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種の習得には適さないフォームなのではないかと。 前にステップさせるとことで、「着地」までの時間を稼ぎます。それでも体を捻り出す時間としては平均的で、将来的に武器になる変化球を習得できるかは微妙です。こうなると球速のある微妙な変化で芯をズラしつつ、武器であるフォーシームを全面に出したピッチングスタイルを模索して行くことになるのではないのでしょうか。 <ボールの支配> ☆☆★ 2.5 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドへのコントロールはつけやすい。実際ボールを見ていても、アバウトながらボールは左右に散っている。しかし足の甲の押し付けが地面から浮いてしまい、力を入れた球は高めに抜け制御できていなかった。リリースも浅くボールを押し込めないので、なかなか低目に集まって来ない。指先の感覚が、よろしいタイプには見えなかった。 <故障のリスク> ☆☆ 2.0 お尻は落とせないフォームなものの、カーブやフォークといった捻り出して投げるボールは見られない。縦の変化球が、チェンジアップであるならば、特に気にする必要は無さそうだ。 腕を真上からブンと振り下ろす強引なフォームなので、肩への負担大きいそう。さらに力投派でもあるので、疲労も溜めやすくフォームを崩して故障に繋がる危険性も秘めている。 <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 「着地」までの粘りも平均的で、球の出どころも平均的。そのためボールの割には、打者もそれほど苦になっている様子はない。ただそれ以上に、ストライクゾーンの枠の中でのボールの甘さや空振りを誘えないボールが高めに集まりやすいことが、より打たれる要因ではないかと考えられる。 腕を強く振れる点は彼の最大の魅力で、その勢いを活かせればもう少し変化球で空振りを誘えそうなもの。ボールにもしっかり体重が乗り切る前にリリースを迎えてしまっており、もう少し下半身の強化と股関節の柔軟性を養えれば体重の乗った凄みのあるボールが投げられるようになるのではないのだろうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、いずれも極端に悪いわけではないが発展途上だと言える。各動作に粘りが出てくるようだと、かなり内容も変わってきそう。 気になるのは、制球を司る動作も故障のリスクも高く、将来的にもピッチングの幅を拡げて行けるのかといった部分でも不安を残すこと。フォームとしては、かなりリスキーな素材だと言えるのではないのだろうか。 (最後に) 結果が求められる社会人に進むよりも、育成でも個性を尊重してくれるプロの方があっているタイプではあると思う。資質は高いので、そこをうまく引き出してあげられる環境でフィットすれば面白いかもしれない。なかなか怖くて食指が伸ばしずらい選手ではあるが、余裕のある球団ならば指名して来る可能性は否定できない。ただし常識的に見れば、大学からの指名は厳しいのではないのだろうか。 (2019年 大学選手権) |