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松本 友(ヤクルト)内野手のルーキー回顧へ







松本 友(23歳・BC福井)遊撃 180/82 右/左 (東福岡-明治学院大出身) 
 




 「バランスはとれている」





 なにか突出したものがあるのかと言われると困るが、走攻守適度にまとまりがある好選手なのが 松本 友 。慢性的な二軍の内野手不足のチーム事情には、内外野守れるユーティリティプレーヤーぶりは重宝されるだろう。果たして将来、一軍で通用する選手になれるのか検証してみたい。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、セカンドゴロのタイムで4.3秒ぐらいと正直遅かった。これはあらかじめセカンドゴロだとわかったので、多少緩めた(ようには見えなかったが)タイムだったのかもしれない。BCリーグでは、68試合(310打数)で20盗塁と、それなりに動ける脚力は持っていそうだ。NPBレベルだと、中~中の上 ぐらいの脚力は秘めているのではないかと思われる。

 試合を何試合かチェックしたが、それほど難しい打球がなかったので判断は難しい。非常に無難に捌いていた印象で、凄く守備が上手いとか肩が強いという感じではなかった。68試合で失策は14個という数からも、堅実さが売りでもないようだ。NPBレベルだとショートはできるものの、1シーズン通してショートを任せられるというほどのプレーヤーではないように思う。そのへんの事情もあって、守備の上手い 吉田 大成(明治安田生命)遊撃手も指名したのかもしれない。


(打撃内容)

 右にも左にも打ち返せる選手で、長打力も秘めた中距離ヒッターという印象を受けました。今年の成績は、68試合 7本 60打点 打率.326厘 と確実性と勝負強さを魅せていました。またチームでは、一番・遊撃手で出場しています。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 前足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり、全体のバランスも良く、両目で前を見据える姿勢も悪くない。アゴをグッと引いて、打席での高い集中力が感じられる。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が沈んで来るときに動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多く観られる仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいはず。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも幅広く対応したいという意思が感じられる。

 踏み込んだ前の脚はしっかり止まり、インパクトの際にもブレない。そのため逃げてゆく球や低めの球にも、喰らいつくことができている。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのも自然体で、無理なくボールを呼び込めている。「トップ」自体を深くとれているので、打球の反発力も強い。バットの振り出しも、脇を締めて内角の球を上手く捌く。外角の球を捌くのにも癖はなく、インパクトの際にもヘッドが下がらないので、レフト方向にシュアな打撃を魅せてくれる。

 しいて観ていて感じるのは、一定レベルの球速のある投手の外角球に少し弱いのかなという印象を受けた。この辺は馴れもあるとは思うのだが、NPBレベルの投手の球速やキレに少し苦労するかもしれない。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げも大きくはないので、目線の上下動もそれなり。身体の「開き」も我慢でき、軸足にも粘りと内ももの筋力の強さを感じる。強烈な打球を生み出す、大きな原動力になっているようだ。

(打撃のまとめ)

 技術的にはほぼ完成していて、大きくいじるところは無さそうです。むしろNPBのスピードへの馴れと、根本的な動体視力や反射が追いついて行ける素材なのかという部分。そこに、若干の不安は感じます。しかし今すぐ、二軍の試合に入って行けるだけの総合力はあるのではないのでしょうか。


(最後に)

 二軍にはすぐ入って行ける能力はありそうなものの、それが一軍の戦力になれるほどかと言われると微妙でしょう。何か大きな武器があるというわけではないので、打撃で突出しないと埋もれてしまう危険性もあります。特に今後大きな上積みが望めるのかという疑問もあるので、その点でどのぐらいやれるのか注目したいところです。好選手ではあると思いますが、やはり育成枠レベルの選手だと思うので、指名リストに残すほどの全体的なものは感じませんでした。


(2018年 リーグ戦)