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知野 直人(19歳・BC新潟)遊撃 181/81 右/右 (第一学院出身) 





「一年で着実に成長」 





 高卒1年目で存在感を示していた 知野 直人 は、BCリーグの野手でも際立つ才能の持ち主だった。しかしいかんせん出場試合数は僅か 28試合(103打席) 程度。素材としての良さは感じられたものの、まだまだポカも多く意識の点でプロ入りにはリスクが大きすぎる印象があった。そのへんはプロも同様に感じていたのか? 昨年は指名漏れすることになる。しかし今年は 69試合(233打席)を経験し、一年間プレーし続けた。身のこなしや体つきにも成長が感じられ、ドラフト指名に相応しい選手へと変貌を遂げた。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 一塁までの塁間は、右打席から4.25秒強ぐらい。これを左打者に換算すると、4.0秒強ぐらいで 中の上~上の下レベルの脚力 はありそうだ。BCリーグでは28盗塁を記録し、この数字はリーグ3位の好成績。まだまだ高い身体能力に頼った部分はあるが、走る勇気と積極性を持った攻撃的なプレースタイルの持ち主であることがわかる。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 身体能力が高く、キビキビしした動きで守備範囲は広い。深いところからの送球でも、勢いが落ちずダイレクト返球できるなど地肩も相当強い。守備範囲・地肩・足回りなどの部分では、充分にプロでニ遊間を担うだけの身体能力を持っている。

 ただし今年も69試合で19失策(昨年は28試合で11失策)しているように、昨年に比べれば遥かに良くはなっているものの、まだまだ安定感という意味では物足りない。凄いプレーを魅せる反面、ミスが多いことからも、将来的には三塁・二塁・外野などにゆくゆくはなってゆくのではないかと危惧する。昨年もなんでもないショートゴロで内野安打を許すような緩慢なプレーも観られ、どうしてもニ遊間に必要な繊細さというものに欠ける性格をしているのは気になる材料ではある。






(打撃内容)

 今シーズンは、69試合 7本 45打点 打率.278厘 。ツボにハマればスタンドインのパンチ力はあるものの、まだまだ脆い部分、粗いところは見え隠れしている。しかしプロの指導次第では、まだまだ伸びて行ける伸び代は秘められているように感じる。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 ほぼスクエアスタンス立っているが、若干クローズ気味。グリップの高さは平均的で、腰の据わりは悪くない。両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては並ぐらいで、若干窮屈な構えをしているので、もう少しゆったりと奥行きのある構えができるとボールを呼び込めるようになって良いのではないかという気がする。ただしこの辺は、本人が試行錯誤したり今後の指導次第で幾らでも変えて行くことは可能のだろう。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が下がりきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を上げてベースから離れ方向に踏み出す、軽いアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応できるはず。それほどタイミングを合わせるのは上手い方ではなさそうなので、率を残せるようになるのかが今後の課題となりそう。

 アウトステップしているように、内角を意識したスイング。特に長打は、引っ張った時に多いのが特徴。それでも踏み込んだ前の足はしっかり止まっており、甘めの外角球や高めの外角球ならば、充分に喰らいつくことができるはず。

<リストワーク> ☆☆★ 2.5

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れないようにしている。バットの振り出しもインパクトまで遠回り出てくる感じで、インパクトの際にもバットの先端であるヘッドが下り気味で打ち損じが多そう。このへんが、もう少し内からバットが出てくるように、プロで修正されるだろう。ボールを捉えてからは、最後までしっかり振り切れている。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げは並で、目線の上下動も平均的。身体の「開き」はある程度のところで我慢できており、軸足の内モモの筋肉にも適度な強さが感じられる。軸足の形などが崩れがちで、打撃の安定感という意味では不安定なことが予想される。

(打撃のまとめ)

 まだまだ感性だけでスイングしている感じはするが、昨年よりもスイング・打球に強さが感じられるようになってきた。技術的なことに関しては、プロの指導でしっかり基礎から教わることになるだろう。それでもバットを振る勇気を持っており、内角の球を迷いなく振り切れるところに、この選手の可能性が秘められている。良い指導者がつけば、まだまだワンランクもツーランクも打撃の資質を伸ばす伸び代は残っている。そここそが、この選手の最大の魅力ではないのだろうか。


(最後に)

 まさに荒削りな高校生の、プロ入り2年目のプレーヤーといった感じはします。心身の安定感、攻守における技術的な粗さは否めませんが、非常に観ていてワクワクさせられるところがあります。。独立出身の野手としては、こういったポテンシャル型はなかなかいませんので。即戦力ということはなく、2,3年後にどのぐらいの選手に育っているのか、その将来性を期待しての指名あることは間違いないでしょう。必ずものになる素材ではありませんが、面白味のある指名ではないのでしょうか。ひょっとしたら、もの凄い選手になれるかもしれません。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2018年 リーグ戦)