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木浪 聖也(阪神)遊撃手のルーキー回顧へ







木浪 聖也(24歳・HONDA)遊撃 178/80 右/左 (青森山田-亜大出身) 
 




 「大学時代は目立たなかった」





 亜細亜大時代は、1年春からリーグ戦出場するなど期待されていた。しかしその後も試合に出たり出なかったりで、ポジションも一塁を守ることが多いなど、けしてドラフト候補といった選手ではなかったと記憶している。その才能が開花したのは、HONDAに進んでからだった。


走塁面:
☆☆☆ 3.0

 一塁までの塁間は、左打席から4.1秒強ぐらいと平均的。今年の都市対抗予選の3試合でも、盗塁は0。けして、足でかきまわすようなプレーヤーではありません。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 3月のスポニチ大会のときにも触れましたが、地肩が強いというよりは小さなモーションでピュッと投げ込めるスナップの強さが目立つ選手です。守備の安定感はあるのですが、難しい打球をアウトにするとか、守備範囲が凄く広いとかいうことはありません。確かにショートも守れますが、プロだと年間を通してレギュラー遊撃手としてはちょっと厳しいかなといった印象です。あくまでも北條の刺激剤としては良いですが、もしレギュラーとなるとセカンドの方が持ち味が発揮されるのではないかとみています。


(打撃内容)

 良いときは爆発的に打つ選手なのですが、今年の都市対抗・日本選手権の大舞台では無安打に終わりました。そういった調子にムラがある選手で、プロのように長いシーズンで安定して能力を発揮するのにはどうなのかな?という不安は残ります。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰がしっかり据わり、両眼で前を見据える姿勢も良いです。全体的なバランスもまずまずで、理に適った構えとなっています。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が下がりきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を、ほどよく兼ね備えた中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。また追い込まれると、一度ベース側につま先立ちしてから動き出す「遅すぎる仕掛け」に切り替えてきます。これは、追い込まれるとノーステップ打法に切り替える論理と同じだと考えられます。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 軽く足を上げて回し込み、真っ直ぐ~ややアウトステップ気味に踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でも緩急にはそれなりに対応。真っ直ぐ~軽くベースから離れた方向に踏み出すように、やや内角寄りに意識があるスイングなのではないのでしょうか。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際になんとか我慢してブレません。そういった意味では、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができます。実際追い込まれても、ファールで粘るだけの技術はあります。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るまでが、少し遅いのが気になります。そのため速い球には、差し込まれやすい危険性があります。バットの振り出しは、インサイド・アウトではなく、バットのしなりを活かした外角の球をきっちり叩くスイング。木製バットでプロの球を打ち返すには、こういったしなりを活かしたスイングはプロ仕様だと言えます。

 少し気になるのは、外の球を捉えるまでに大きなロスは感じないものの、バットの先端であるヘッドが少し下り気味なところ。そのため気持ちヘッドを立てるような意識でスイングしたら、打ち損じも減るのではないかと感じます。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 素晴らしいのは、目線の上下動が静かで極めて錯覚を起こすことなくボールを追えること。身体の「開き」も我慢でき、軸足にも適度な粘りは感じられます。

(打撃のまとめ)

 鋭くはじき返すというよりも、バットをブンと振って遠心力を活かした大きなスイングをして来るタイプ。そのため、けして巧打者ではなく強打者風のスイングをします。そのため確実性・安定感は思ったほどではないものの、捉えたときの打球は想像以上に飛んでゆきます。それでいてどの打席でも、かなりの確率でボールをしっかり捉えてきますので、ミート力は大きなスイングの割に高いことのに驚かされます。


(最後に)

 「トップ」の形成が遅れたり、若干ヘッドが下り気味な部分を修正できれば、一気に打撃の確実性が上がるかもしれません。根本的なミート力はあるので、当ててから打ち損じしない形を作れたときは面白いかもしれません。

 走力は並で、守備もショートこそ守れますがプロとしては並の守備力。あくまでも北條や植田との競争を煽る刺激剤的な存在であり、本来はセカンドの方が向いているように思います。即戦力は即戦力なのでしょうが、本当の意味で真価を発揮するのは数年後ではないかと思います。その時に、どんな打者になっているのか? 近い将来、手がつけられないような打者に変貌するかもしれません。現状の能力はあまり買いませんが、将来性ではちょっと面白い打者かなとはみています。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2018年 都市対抗)