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近本 光司(阪神)外野手のルーキー回顧へ







近本 光司(24歳・大阪ガス)中堅 170/70 左/左 (社-関西学院大出身) 





「左方向に強く叩く!」 





 彼の打撃は、この一点に集約されているのではないかと思う。同じようなバッティングをアマ時代していたのが、大島 洋平(中日)の日本生命時代を思い出す。何か強いこだわりを、自分の中に秘めた選手のようだ。


走塁面:
☆☆☆☆ 4.0

 一塁までの塁間は、コンスタントに左打席から3.8秒台を記録する快速選手。この脚力は、プロでもトップクラスだと言えよう。ただし関学大時代に1シーズン10盗塁を記録したこともあったのだが、全く走らないシーズンがあったりとバラツキが大きい。モチベーションが高い時はガンガン走ってくるが、そうでない時があるのか? それとも足の状態などが悪い時があり、脚力はあるけれどもいつも走れるとは限らないということなのかは定かではない。しかし潜在能力としては、プロでも足を売りにしても不思議ではない走力は持っている。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 この脚力を活かした守備範囲は、非常に広いものがある。しかし打球勘などをみていると、それほどうまくないのでは?という印象は受けた。また返球を見ていると、肩もけして強くなさそう。そういった意味では、走力はあってもうまい外野手かと言われると疑問は残る。


(打撃内容)

 ボールを引き付けるだけ手元に引きつけてから叩くスイングで、打球を徹底的に三遊間・レフト方向にはじき返すことに主眼が置かれています。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 前の足を軽く引いて、カカトを浮かして構えます。グリップの高さは平均的で、背筋を伸ばして両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスもそれなりといった構えです。それほど嫌らしさは感じませんが、鋭い眼光で球筋を追い打席での高い集中力は感じられます。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がりはじめたら動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多く見られる始動です。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を大きく引き上げて、ベース側に踏み込んでくるインステップ。始動~着地までの「間」は充分あるのですが、しっかりタイミングを合わせるというよりも、強く踏み込むことに主眼が置かれているように感じます。ベース側に踏み出すように、外角を強く意識していることがわかります。

 踏み込んだ前の足が、インパクトの際にしっかり止まってブレません。外に逃げてゆく球や、低めの球にも食らいつくことができます。足を売りにする選手の割に踏み込んで打つので、一塁までの走り出しは遅れやすいはず。それでもこれだけのタイムが出せる脚力は凄いし、左打者がインステップすると率が残り難いなか実績をのこしている潜在能力は高いとみる。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 早めにバットは引いており、速い球に立ち遅れる心配は薄い。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではなく、外の球をしなりを活かして捌くスタイル。もっと当てにゆくスイングかと思っていたが、強く振ることに主眼が置かれている。しかしまだこのスイングに身体がついて行けないのか? まだヘッドスピードや打球の強さという意味では、プロでは物足りないものはある。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げが大きい割には、目線の上下動は小さいので錯覚を起こし難い。身体の「開き」は我慢できており、軸足にも左方向の打撃を得意にしているだけあって粘り強さが感じられる。

(打撃のまとめ)

 確実性よりも、強くきっちりした打球を飛ばそうという意志が感じられる。まだその割に、スイングの鋭さ・打球の速さを感じると物足りないところがある。そういった意味では当てる能力はあるけれど、プロの球に対応するのには少し時間がかかりそうだ。


(最後に)

 純粋に走力自体は、間違いなくプロでもトップクラス。その走力を、盗塁に結び付けられるかには多少不安な部分は残る。またこの手の巧打者タイプにしては、守備が思ったほどではないのはどうだろうか?

 打撃で非凡なのは、前の腕が最後まで後ろに引かれた形を長くキープし、ギリギリまで引きつけてからスイングできているというプロの一流打者に共通する形ができている。まだ振り自体にプロとしては物足りないものがあることを考えると、即戦力というよりも2年後、3年後にどのぐらいの選手になって来るかで真価が問われそうだ。

 藤原(大阪桐蔭)や辰己(立命館大)などの選手を上位指名できなかったチーム、あるいは欲しかったけれど獲得できなかったチームが、少し下の順位で狙ってくるのではないのだろうか。しかし個人的には、本当の意味で三拍子揃っている選手なのかには疑問を持っている。そういった部分も含めても、大卒社会人ではあるが一年ぐらいファームで漬ける覚悟のある球団に指名して頂きたい。ドラフト順位としては、中位(3位~5位)ぐらいになるのではないのだろうか。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2018年 都市対抗)


 








 さてこの試合で気になったのは、 関西学院大の3番打者・近本 光司(社出身・3年)中堅手。勢いのあった序盤の桜井のボールに対応して、第一打席では綺麗にレフト前に。そして右中間にもツーベースを放つなど、長短交えた活躍を。

 更に塁に出ればすかさず盗塁を決めるなど、俊足ぶりもかなりのもの。今日の試合でも、3打点の活躍で勝利に大きく貢献したようです。170/66 と小柄な左打者でしたが、ピリリと光る好選手。