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山野辺 翔(西武)内野手のルーキー回顧へ








山野辺 翔(24歳・三菱自動車岡崎)二塁 170/72 右/右 (桐蔭学園-桜美林大出身) 
 




 「セカンド専が欲しいなら」





 右打ちの二塁手が欲しいという明確な補強ポイントが決まっているならば、この 山野辺 翔 は面白い存在ではないのだろうか。桐蔭学園時代は9番打者で記憶にはないが、桜美林大では首都リーグで4度のベストナインを獲得。特に二塁守備が際立つ、好選手だったと記憶している。三菱自動車岡崎に進んでからは、一年目から中軸で活躍するなど、打撃でも存在感を増してきた。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、右打席から4.35秒前後ぐらい。そのため左打者に換算すると、4.1秒ぐらいとドラフト指名される右打者としては平均的。それでも今年の都市対抗・東京ガス戦では、初球から走って盗塁を決めている。大学時代は、毎シーズン2~4個の盗塁を決めており、中~中の上ぐらいの脚力と見て好いのではないのだろうか。

 守備に関しては、球際に強い選手。凄いプレーで魅了するというよりも、堅実な固い守りが印象的。ショートとしての融通性は不明だが、高校からひたすら二塁を守ってきた生粋の二塁手。ことセカンドに関しては、プロでも充分に通用する守備力だと見て好いだろう。右打ちの二塁手が欲しい という球団にとっては、目をつけている球団も少なくないのでは?





(打撃内容)

 首都リーグ通算.323厘という成績で、2年秋に.377厘とハイアベレージをマーク。しかし突出数字はこのぐらいで、おおよそ3割前後をマークするといったところで安定しており、対応力はそれほど高いわけではない。通算本塁打も4本で、オーバー・フェンスするというよりも、右に左にきっちりはじき返すタイプの打者ではないのだろうか。3年秋のシーズンでは、12打点と勝負強さも魅せていた。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは下げて構えている。腰の据わり具合、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスとまずまずで、理には適っている。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきったときに動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントヒッターに多く見られる仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足をしっかり引き上げて、ベース側に踏み込むインステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。ベース側に踏み込むように、外角を強く意識したスタイル。踏み込んだ前の足が、インパクトの際にはしっかり止まってブレない。そのため逃げてゆく球や低めの球についてゆくことができ、右方向への鋭い打球を可能にしている。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」をしっかり作れないで振り出すために、タイミングがうまく図れないことが少なくない。バットの振り出しも、右方向を意識が強いせいもあるが、少し遠回りに出てくる。それでもバットの先端であるヘッドは下がらないので、タイミングさえ合えば打ち損じは少ないしドアスイングというほどには酷くはならない。ボールを遠くに運ぶスイングではなく、最後まで振り切り鋭い打球を連発する。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げの割に、目線の上下動は小さく安定している。球筋を、錯覚を起こすことなく的確に追いやすい。身体の「開き」は我慢できており、軸足も粘りが感じられ逃げてゆく球や低めの球にも食いていて行ける。

(打撃のまとめ)

 「トップ」が作れないことでタイミングがうまく図れない脆さと、スイング軌道がインパクトまで遠回りに出てくることでの確実性の低さは感じてしまう。このへんがドラフト候補の野手としては、打撃は並だよなと思えてしまうところ。

 非常に意識・集中力には優れて選手であり、派手さはなくても常に安定して自分の能力を常に出せる職人肌的なタイプ。堅実に仕事をしてくれる選手で、プロでは二番あたりが右打ちがうまいだけに好いのではないのだろうか。


(最後に)

 二番・セカンド・右打ちといった、かなりピンポイントの補強ポイントのあるチームの需要と合致するようだと指名があっても不思議ではない。しかしこういった選手はプロでも需要が高そうなだけに、数少ない社会人では指名を意識できる選手ではないのだろうか。順位としては下位指名(6位以降)になってしまう可能性もあるが、それでもプロでやってみたいという高いプロ志向があるのならば、有力な指名候補となりそうだ。大卒社会人選手だけあって、大人のプレーヤーといったプロフェッショナルな選手である。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2018年 都市対抗)