18sy-10
内山 太嗣(22歳・BC栃木)捕手 172/77 右/右 (八戸工大一-トヨタ自動車東日本出身) | |
ドシッと重厚感溢れる捕手という感じではなく、足回りがよく実にフットワークが素軽い動ける捕手といった感じの 内山 太嗣 。打者としても、右打席から4.35(左打者換算で4.1秒)と脚力も基準レベル。身のこなしだけみていたら、ニ遊間の選手ではないかと思えてしまう。そう、高校時代は捕手だけでなく内野手も兼任していたセンスの持ち主なのだ。 (ディフェンス面) ミットを投手に示し、グラブ地面に下げるような癖はない。フットワークは身軽で反応も良いのだが、コースから逸れたボールに対し手を延ばすだけで捕球しようとする傾向にあり、そのへんは若干雑に見える部分も。反射神経やフットワークから止められる自信があるのかもしれないが、キャッチング全体でみると少し気になる部分ではある。また座ったまま返球するのでテンポの良いボールまわしではあるのだが、投手への返球も乱れるなど細かい配慮という意味ではどうだろうか? 捕ってから素早く、二塁までの送球タイムは1.9秒前後。めっぽう強肩ではないが、動きの良さ補うことができている。ただし送球がショート方向に逸れたりもするので、これは捕手として一番避けたいこと。セカンド側に逸れても走者の滑り込んで来る方向なのでアウトにできる可能性があるが、ショート方向だと遅れてしまう。これは、スローイングのときに最も注意したい。 全体的に動きの良さは感じられるものの、プレー1つ1つにあまり繊細さが感じられないところは気になる。しっかり投手などに指示も出せる選手なのだが、どうも捕手というよりも内野手をみているような感覚に陥る。 (打撃内容) 今シーズンの成績は、64試合(195打席) 0本 25打点 0盗塁 打率.292厘 。捕手としてはけして打てない選手ではないが、チームは8番など下位打線を担っていた。ちなみに昨年BC滋賀から入団した 山本 祐大(DeNA)捕手は、前年打率.294厘でプロ入り。一年目の今年は、二軍で .193厘 だった。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えられた強打者スタイル。背筋を伸ばし、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスもそれなりで悪くない。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が下るときにベース側につま先立ちして、本格的に動き出すのはリリース前後という「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人のヘッドスピードや筋力を考えると、このタイミングでNPBの球に対応するのは厳しい。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 地面からほんの少しだけ足を浮かし、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」がないので、狙い球を絞って逃さない「鋭さ」がより求められる。アウトステップするように、内角への意識が強いのだろう。 踏み出した足元はインパクトの際にもブレないで止まっているので、アウトステップでも甘めの外角球や高めの球ならば充分対応はできる。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で力みは感じられないのだが、バットを引くのが遅れがちで速い球に立ち遅れないようにしたい。バットの振り出しは、少しアウトステップで腰が引け気味に出てくるぶん、多少外の球に対しては遠回り。それでもバットの先端であるヘッドは下がらないので、ドアスイングといったことにはならない。打球が上がるタイプではなく、野手の間を抜けてはじき返す感じの打球が多いのではないのだろうか。そのへんは今年64試合に出場し、本塁打0本からも伺われる。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げがほとんどないので、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢できているのだが、軸足が気になる。ステップの幅が狭すぎるので、打ちにゆくときに軸足の位置が移動し、適正な場所へと移ってゆくのだ。右方向に打ち返そうとすると致し方ない部分もあるのだが、これは無駄な動きだと言えよう。 (打撃のまとめ) 技術的には課題も多く、NPBレベルのスピードに対応するのには苦労するかもしれない。しかし当て勘は悪くないので、正しいスイングを身につければ対応できる可能性は秘めている。修正するのに数年はかかる可能性があるが、そのときにどのぐらい打てるようになるかではないのだろうか。 (最後に) 身体能力に優れた選手ではあるが、捕手としての細かい洞察力や投手への気遣いなどの適正の部分で疑問が残る。打撃もチームの下位を担っていたように、NPBレベルでは際立つものはない。現状は二軍要員の指名といった印象は否めないが、そこから何を掴み成長して行けるかだろう。個人的には、捕手いうよりも打撃が伸びたら他のポジションへコンバートされるのではないかという気がしているがどうだろうか? (2018年 リーグ戦) |