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鎌田 光津希(ロッテ)投手のルーキー回顧へ







鎌田 光津希(23歳・徳島ID)投手 178/80 右/右 (横芝敬愛-敬愛大出身) 





「ほとんどが真っスラ」 





 投球のほとんどが、少しカットボールのようにズレる癖のある真っ直ぐ。今年も行われた、四国アイランドリーグ選抜の関東遠征。その中で最もスカウトの目を惹いたのが、この 鎌田 光津希 の投球だった。


(投球内容)

ワインドアップで、振りかぶって投げ込んできます。

ストレート 常時140キロ台~MAX146キロ 
☆☆☆ 3.0

 コンスタントに140キロ台を刻んできて、MAXでは鎌ヶ谷のガンで146キロに到達。マイガンでも、89マイル・143キロを記録しました。上記にも記載した通り、この球がカットボールのようにナチュラルにスライドするのが特徴で両サイドに散らせてきます。特に左打者には食い込んで来るような感覚に陥り、少々厄介な感じです。

 しかしリーグ戦では、25回2/3イニングで27本と、投球回数以上の被安打を浴びます。一つは、右打者には軽く逃げてゆく感じの球で、甘く入ると痛打を浴びやすい傾向にあること。もう一つは、縫い目の山が普段使っているボールよりも高く、いつもよりも良く変化していたというのもあったようです。また動く癖球投手に多く観られる、あまり空振りが誘えない球質でもあります。

変化球 スライダー・フォークなど 
☆☆ 2.0

 ほとんどは、この真っスラしか投げてきません。たまに明らかに球速が落ちるスライダーや、ほとんど落ちないフォークのような球がありました。25回2/3イニングで18奪三振ということで、1イニングあたり0.70個(基準は0.8個以上)とアイランドリーグでも目立つ数字ではありません。

(投球のまとめ)

 投球を観ている限り、あまり細かいコントロールは無さそうです。実際25j回2/3イニングで13四死球ですから、四死球率は50.8%(基準は投球回数の1/3以下)とかなり悪い。ある程度の球速とクセ球は面白いと思うが、今のままではNPBの一軍は見えてきません。





(投球フォーム)

 そのためにも今後、さらなる上積みが望めそうなのかが指名の別れ目になりそうです。そこで今回も、フォームを分析することで可能性を模索したいと思います。

<広がる可能性> 
☆☆☆☆ 4.0

 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばしており、お尻は一塁側に落とせています。そういった意味では、身体をひねり出すスペースは確保されており、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化球を投げるのにも無理はありません。

 「着地」までの粘りも悪くなくて、適度に身体をひねり出す時間も確保。カーブやフォークだけでなく、今後いろいろな変化球を投げて投球の幅を広げて行ける可能性は感じます。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブが抱えられず、最後後ろに解けてしまっているのは気になります。そのため上半身が暴れて、コントロールがつけ難くなるわけです。足の甲では適度に地面を捉えているようで、ボールが上吊るような球はあまり観られません。「球持ち」も悪く無さそうですが、指先の感覚に優れているようには見えません。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻は落とせているので、カーブやフォークを投げても肘への負担は少ないでしょうし、実際そういった球はほとんど観られません。

 腕の送り出し際の時に、多少グラブを持っている肩が下がり、ボールを持っている肩が上がり気味。しかし極端というほどではないですし、力投派ではありますが消耗が激しいといったほどではないようにも思えます。そのため、故障のリスクも高くはないと考えられます。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆ 4.0

 「着地」までの粘りも適度に感じますし、身体の「開き」も抑えられていることから、コントロールを間違わなければそれほど痛手食らい難いかと。腕も結構振れて勢いはあるので、変化球も空振りを誘えるはず。ボールにも適度に体重は乗せられており、球威不足は感じられません。ただしクセ球で回転が悪いのか? 打者の手元までボールが来ている感じがありません。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」でも、特に大きな欠点は見当たりません。両サイドのアバウトさを中心に制球の不安定さは多少感じますが、故障のリスクも高くありません。これからまだまだいろいろな球種を覚えて、ピッチングの幅を広げて行けそうな印象は受けました。


(最後に)

 真っスラ一辺倒の投球ではありますが、将来的にはその投球に改善が期待できそうな素材だということ。大卒選手ではありますが、まだまだ発展途上の選手であり、本格的な野球環境や指導により、良くなって行ける可能性は充分に感じられます。そういった意味では、クセ球&将来性を加味して、育成枠あたりならば指名して来る球団があっても不思議ではないのではないのでしょうか。


(2018年 四国アイランドリーグ関東遠征)