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大貫 晋一(DeNA)投手のルーキー回顧へ







 大貫 晋一(24歳・新日鉄住金鹿島)投手 179/68 右/右 (桐陽-日体大出身)





「的が絞り難い」





 オフシーズンに一度取り上げた選手ですが、社会人3年目を迎えても成長しているので再び取り上げてみたい。昨年は期待の若手といった位置づけでしたが、今年はチームの主戦に成長してきた。非常にゆったりとした、力みのないフォームから投げ込んでくる先発型です。


(投球内容)

 予選ではチーム最多の3試合・20回2/3イニングを投げて、防御率 3.48 といった成績。絶対的なものはありませんが、着実に力をつけてきました。

ストレート 常時140キロ台~MAX147キロ 
☆☆☆★ 3.5

 昨年は130キロ台後半~MAXで140キロ台中盤ぐらいでした。しかし今年の都市対抗では、コンスタントに140キロ台を越してきて、MAXで147キロまで記録。平均して2,3キロ速くなって勢いが出てきました。相変わらず高めに抜けたり、バラツキが顕著でストレートのコマンドはけして高いとは言えません。しかしこれが結果的に的を絞り難くさえ、打者としては厄介な感じに。特に低めに変化球を集められつつ高めのストレートを投げられると、とても対応しきれなくなります。

変化球 スライダー・ツーシーム・カーブ・スプリットなど 
☆☆☆★ 3.5

 右打者には外角低めのゾーンにスライダーを集めたり、投球に多くのツーシームを織り交ぜます。この球が、かなり打者としては邪魔になる球。他にも、さらに遅いカーブ。それに、スプリットのような明確に縦に沈む球もあるようです。変化球を低めに魅せておいての高めの速球と仕留めるという投球パターンが、この選手の持ち味。変化球を続けて、相手を仕留めきるほどの絶対的なキレや落差はありません。

その他

 クィックは、1.15~1.25秒前後と平均的。フィールディングもまずまずで、けして投球以外のレベルは低くありません。多彩ではありますが、凄くマウンド捌きが好いとか投球術が巧みといった感じはしません。しかし落ち着いていて、なかなか掴みどころがないところが、この選手の持ち味ではないかと思います。

(投球内容)

 昨年に比べると、ツーシームなどの縦の変化に特徴が出てきました。また勢いを増したストレートが、より効果的に使えるようになっています。完璧に相手をねじ伏せるような絶対的なものはありませんが、イニングを稼げる、6回2,3失点ぐらいで試合が作れるタイプだと思います。高い評価はできませんが、この内容ならば指名を意識できる領域に入ってきたのではないかと思います。


(最後に)

 一見粗っぽそうに見えるのですが、22回2/3イニングで四死球は僅かに3つと自滅するような危うさはありません。社会人3年目を迎えても、ジワジワ力量を伸ばしてきた点も買えます。チームの主力投手ですし、指名されるとしたら中位(3位~5位)ぐらいになるかと思います。個人的にはもう少し評価は低いのですが、指名される領域に入ってきたと評価します。本人のプロ志向が高いのであれば、それより下の順位でも入団するかもしれませんね。果たして指名されるのか、ドラフト当日を楽しみにしております。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2018年 都市対抗) 









 大貫 晋一(23歳・新日鉄住金鹿島)投手 179/68 右/右 (桐陽-日体大出身)





                          「良い投手」





 先日の野球太郎の座談会で、メンバーがオススメ選手にあげていたのが、この 大貫 晋一 。日体大時代には、2年春に最優秀防御率を獲得。しかしその後、肘の故障のため長く登板できず。迎えたラストシーズンで、リーグ3位の防御率1.22を記録し復調ぶりをアピールした。社会人の強豪・住友金属鹿島に進んだ。2年目の都市対抗予選では、日立製作所相手に4安打完封し注目される。都市対抗の西濃運輸戦でリリーフで登場するも、チームは緒戦で破れてしまった。3年目の今年、年間を通したアピールができれば、プロ入りも現実味を帯びてきそう。


(投球内容)

非常に線の細い体型ながら、キレイなフォームで投げ込む正統派。

ストレート 130キロ台後半~140キロ台中盤 
☆☆☆ 3.0

 ゆったりとした力みのないフォームから投げ込んでくるでの、ボールがイメージ以上にピュッとキレて、そのギャップで差し込まれやすい。球速は130キロ台後半~140キロ台中盤ぐらいと、ドラフト候補としては平均的。ボールが比較的高かったり、ストレート自体のコマンドはそこまで高くはない。またキレ型の球質で、あまり球威がないのも怖いところ。

変化球 スライダー・カーブ・フォークなど 
☆☆☆★ 3.5

 ストレートと変化球との、コンビネーションで抑えてくるタイプ。肘の使い方も柔らかいので、カーブのブレーキもフォーク落差も悪くない。カウントを整えるのはスライダーで、この球が結構甘く入ってくるのはプロレベルだと見逃さない気もする。絶対的な決め球はないものの、変化球の曲がりは悪くない。

その他

 クィックは、1.05秒前後とまずまず。フィールディングの動きもよく、野球センスに優れたタイプなのだろう。

(投球のまとめ)

 変化球とのコンビネーションが冴えると、相手も的を絞れなくなり翻弄されるのだろう。ただしプロを意識すると、若干球威の点・微妙なコントロール・決め手という部分で、これは!という決定打に欠ける印象はある。その辺が何か変わってくるようだと、社会人3年目ながら指名があっても不思議ではなさそうだ。本当に指名までは、あとひといきというところまで来ている。

(投球フォーム)

今度は技術的に、どのへんが物足りないのか考えてみたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足は高い位置では伸ばされており、甘さは残すもののお尻は一塁側にはそれなりに落とせている。そういった意味では身体を捻り出すスペースは適度に確保できており、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種にも無理はない。

 「着地」までの粘りがそれほどでもないので、身体を捻り出す時間が物足りない。カーブやフォーク含めて多彩な球種を投げられる下地はあるものの、今のような捻り出す時間が不十分だと、武器になるほどの変化球を修得できるのかには疑問が残る。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで身体の近くにはあるので、両サイドにはボールが散りやすいはず。しかしながら足の甲の地面への押しつけが浮いてしまい、ボールが高めに抜けてしまいがち。「球持ち」自体は悪くないので、ある程度指先でコントロールはできるものの、細かいコントロールまではつけられてはいない。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻はある程度落とせているので、カーブやフォークを投げても肘への負担は少なそうに見える。しかし大学時代長期低迷したのは、肘を手術した影響でその復帰に戸惑ったから。

 腕の送り出しは、角度がある割には無理は感じない。それほど力投派でもないので、疲労を貯めやすいということはなさそうだ。現在のフォームを見る限り、それほど身体に負担がかかるような感じはない。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りがさほど感じない上に、身体の「開き」もテイクバックが大きいので少し早く見える。そういった意味では、打者からは比較的合わせやすいフォームなのではないかという印象は受けた。

 それでも長い腕が身体に絡んで来るなどしなりを感じさせる腕の振りであり、打者としてはボールが見えてからもタイミングは図り難いのか? ボールへの体重の乗せ自体は悪くないので、もう少しウエートがついて来るとグ~ンと打者の手元まで球威のある球が投げられそうなのだが。


(最後に)

 何か1つという、決め手に欠ける部分がある。そして年間を通して、どのぐらい投げられるのか?という不安も残る。しかしいかにも投手らしい投手であり、ほんのちょっとのプラスαで投球全体が大きく変わっても不思議ではない。石川歩(東京ガス-ロッテ)投手も社会人2年目ぐらいまでは、このぐらいの投手だった。志を高く持って取り組めば、プロも現実味を帯びてきそうだ。その何かとは、おそらくボール自体のちから・球威ではないかと私は思う。


(2017年 都市対抗)