則本　佳樹（２４歳・山岸ロジスターズ）投手　１７４／７６　右／左　（北大津-近畿大出身）

「こちらは厳しそう・・・」

　兄は、言わずとしれた楽天のエース・則本　昂大　。弟は北大津時代に甲子園で登板しｋ１３０キロぐらいのまとまった好投手だった。近大に進んだものの、４年間で登板したのは１試合（１イニング）の一回だけ。新設の　山岸ロジスターズ　の一員として現役を続けてきた。

（投球内容）

　中背の体格から躍動感のあるフォームは、兄を彷彿とさせるものがある。残念ながら、ちょっとした映像を幾つかみただけなので、正確なレポートは作成できないことをご了承願いたい。

ストレート　球速は１３０キロ台後半～１４０キロ前後ぐらい？

　球速は、１３０キロ台後半～１４０キロ台前半ぐらいだろうか？　勢いのあるボールは投げ込めているが、全体的に球筋も高くコマンドも高くはなさそうだ。都市対抗予選など公式戦の成績をみていても、投球回数の１．５倍程度の被安打を打たれる合わされやすさと、投球回数並の四死球を出しているなど、かなり厳しいと言わざるえない。

変化球　カーブ・スライダー・フォーク？　など

　変化球は、兄同様にスライダーが武器な印象。他に緩いカーブやフォークのような沈む球もあるようだが、絶対的な武器ににはなりえていないのではないかと。奪三振も少なく、基本は打たせてとるピッチングスタイルのようだ。

その他

　クィックは、１．０５～１．１０秒ぐらいで投げ込めるので、基準以上の素早さがある。気の強そうな顔立ちで、「兄を越えるのは当然として」と言ってのける強気な投球が持ち味のようだ。

（投球のまとめ）

　現状、プロに入るべきレベルに到達しているのかすら疑問が残るのは確か。プロの指導や環境で、いかに大化けできるかではないのだろうか？　詳細はハッキリ観られているわけではないので断定的には書けないが、すべての部分でレベルアップが望まれる。

（投球フォーム）

　実際の投球のサンプルが少ないので、フォーム分析をして今後の可能性を模索してみたい。

＜広がる可能性＞　☆☆☆　3.0

　引き上げた足を空中でピンと伸ばさないまま体重を落として来るので、お尻はバッテリーライン上に残りがち。したがってカーブやフォークといった球種を投げるのには、窮屈になって適しません。

　それでも前に上手く足を逃がすことはできているので、着地までの粘りは悪くありません。身体を捻り出す時間はある程度確保できているので、カーブやフォークといった球種以外ならば、うまくものにできる可能性はあります。

＜ボールの支配＞　☆☆☆☆　4.0

　グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドへの投げ分けはつけやすい。足の甲でも地面を捉えられており、ボールも低めに集まりやすいはずなのだが。「球持ち」も前で放せているし、押し込みもできていると思うのだが、その割にはボールが高いのは何故なのだろうか？動作的には悪くないように思うが、指先の感覚含めて何かしらに大きな原因があると思われる。

＜故障のリスク＞　☆☆☆　3.0

　お尻が落とせない割にカーブやフォークも混ぜてくるので、肘への負担は少なくはないのでは？　腕の送り出しにはさほど無理は感じられないものの、力投派なので疲労を溜めやすい可能性はある。疲労からフォームを崩して、故障に繋がらなければいいのだが。

＜実戦的な術＞　☆☆☆★　3.5

　「着地」までの粘りも悪くないし、球の出どころも適度に隠せている。そのわりに被安打が尋常じゃなく多いのは、何故なのだろうか？　根本的にボールの威力が足りないのか？　よほど甘いゾーンにボールが集まって来るからとしか考え難い。

　腕の振り自体は悪くないのだが、思ったほど投げ終わったあと身体に絡んでこない。もう少し身体に絡むぐらいの「球持ち」の良さが身について来ると、勢いだけなく嫌らしさも投球に出てくるのではないのだろうか。

　リリース時に適度に体重を乗せてから投げられているので、打者の手元までの勢いはそれなりにあるのではないのかと思われる。

（フォームのまとめ）

　フォームの４大動作である、「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に大きな欠点は見当たらない。お尻を落とせないことでの肘への負担は気になるものの、制球を司る動作にも優れ、投球の幅も広げて行けそうなフォームをしている。それなのに、それを実戦での投球にうまく結びつけていないところが課題か。

（最後に）

　現時点での投球内容は、かなりプロでも厳しいのではないかという印象は受けた。しかしその一方で、土台となるフォームは想像以上に良かった。そのへんをプロの指導者・プロの環境で、うまく引き出させられないのか気になるところ。育成枠でも２位の指名ということで、一か八か的な順位ではあるが、兄の背中をみて大いに刺激を受けてもらいたい。