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森脇 亮介(西武)投手のルーキー回顧へ






 森脇 亮介(26歳・セガサミー)投手 173/66 右/右 (塔南-日大出身)
 




「今年は指名されるかも」 





 塔南高校時代には、京都屈指の好投手と注目された。日大進学後も、第二戦あたりの先発を担うことが多かった主戦投手。セガサミーに進んでからも、140キロ台後半の切れ味鋭いストレートで話題にはなったが、結局ドラフト指名されることなく今年4年目を迎えている。しかしドラフト適齢期を過ぎて余計な力みが消えたのか、ストレートに依存しすぎないピッチングスタイルに変わりつつ。今ならば、プロでも即戦力になりえるかもしれない。


(投球内容)

 ランナーがいなくてもセットポジションから投げ込んできて、独特のギッコンバッタンとしたフォーム。

 以前は快速球で抑え込もうという意志が強く、球速・キレはあるものの、球威がないぶん甘く入った球を痛打されることが多かった。しかし今は、かなり脱力して投げられるようになり、ストレートで仕留めようという色気はなくなりつつある。

ストレート 常時145キロ前後~149キロ 
☆☆☆★ 3.5

 相変わらずキレ型の球質なので、空振りは誘えても甘く入ると長打を浴びやすい。それでも丁寧に、両サイドに散らせてゆこうという意志が感じられるようになってきた。ストレートで仕留めようといったピッチングスタイルから、ストレートを魅せておいて変化球で仕留める。そういった割り切りが、自分の中で出来るようになったのが好循環を生んでいるとみる。

変化球 スライダー・チェンジアップ(フォーク?)・カットボールなど 
☆☆☆★ 3.5

 どれか一つの球に頼るといった投球ではなく、ストレートも含めて縦横幅広くいろいろな球種を使い、的を絞らせないピッチングに終始している。そのため、この球を投げれば仕留められるといった絶対的な球種は持ち得てはいない。しかし縦の変化球が相手にとっては厄介であり、なかなか狙いを定め難くなっている。以前ならば速い球を投げる割合が多かったので、その球に狙いを済ませて単調になったところを打ち崩すことができたののだが。

その他

 牽制は鋭く、フィールディングのうまさも一級品。クィックも1.05秒~1.15秒前後と基準以上のものを持っている。運動神経、野球センスに優れ、投球以外の能力も高い。

(投球のまとめ)

 ストレートで抑えこもうという意識が薄れ、ストレートを活かすピッチングにモデルチェンジできている。このことが余計な力みを減らし、的の絞り難い投球へと変化することができた理由だろう。まだ絶対的に相手を抑え込むことができるかと言われると疑問だが、なんとなくピッチングの感じも セガサミーからプロ入りした 浦野 博司(日ハム)投手に、似た感じになってきた。


(投球フォーム)

今度は、実際どのぐらい実戦的なフォームなのか? 技術的に検証してみたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を地面に向けて、まるで地面で一度立つような感じのフォームため、お尻は一塁側には落とせません、そのため身体を捻り出すスペースは覚悟できず、カーブやフォークといった球には適さないフォームです。

 しかし地面に着きそうなところまで足を降ろしたあと、そこから前に大きくステップするので、身体を捻り出す時間は確保できています。そのためカーブやフォークといった球種以外ならば、キレや曲がりの鋭い変化球を習得できる可能性が広がります。


<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分け安定。足の甲の押し付けが少し浅いので、力を入れて投げるとボールが上吊りやすいかもしれません。それでも肘を立てて腕が振れており、「球持ち」も好いのでボールが浮くのを抑えられています。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻が落とせく窮屈なフォームなので、縦に沈む変化球がチェンジアップではなくフォークだと肘への負担は気になるところです。腕の送り出しは、腕をしっかり上から叩いている割に肩への負担は少なそう。けして今は力投派ではないので、疲れも溜め難いのではないのでしょうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 以前はキレイな球筋、球威に欠ける球だったせいか? 合わされ難くするために「着地」のタイミングを極力遅くするフォームにしました。「イチ・ニ~のサン」の 「ニ~の」のタメが尋常でないわけです。ただしフォームが直線的なぶん、球の出どころは見やすく「開き」自体は遅くなっていません。そのせいかか? 縦の変化を投げる割に空振りが誘えません。

 しっかり腕は身体に絡んでくるなど勢いがあるので悪くなく、「球持ち」も好いので適度にボールに体重が乗せられるようになってきました。さらにしっかり体重が乗せられてくると、球質がキレから球威の伴ったものに変わってきそうです。


(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「球持ち」は好いのですが、「開き」と「体重移動」にはまだ改善の余地はありそう。コントロールを司る動作は、足の甲の抑えの浅さから高めに集まりやすい。故障のリスクは、お尻が落とせないことでの縦の変化を多く投げることでの肘への負担は気になります。カーブで緩急を、フォークで空振りをといった投球が期待し難いので、他のボールでいかにその代わりをさせることができるかがポイントではないのでしょうか。


(最後に)

 肉体的には26歳ということで充実期に入ってきたと思いますが、技術的にはまだ改善の余地は残されています。しかし非常に特殊なメカニズムであり、なかなかコーチが指導しきれない可能性はあります。よほど慎重に取り組まないと、フォームがバラバラになる危険性すらあります。

 今ならば、順位にこだらわらなければ指名される力はあると思います。しかし今やセガサミーのエース格なわけで、26歳とはいえ下位指名で安く買い叩けるのかと言われると疑問です。よほど本人のプロ志向が高く、何位でも好いのでプロに入りたいという希望がなければ、いまさら指名しずらい状況ではないのでしょうか。そのため実力はあっても、指名されずに終わる可能性があります。プロ入りしたいのであれば、明確にその意志を示す必要がありそうです。



蔵の評価:
 (下位指名級)


(2018年 都市対抗)