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太田 椋(天理3年)遊撃手の個別寸評へ







太田 椋(天理2年)遊撃 181/75 右/右 
 




                      「一番うまい」





 2018年度は、高校生ショートの豊作の年になりそうだ。そのなかでも守備では一番ではないかと思わせてくれるのが、この 太田 椋 。プロレベルでも、将来名手になれるのではないかと思わせる能力を持っている。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、右打席から4.35秒前後。これを左打者に換算すると、4.1秒前後に相当する。走力に関しては、ドラフトレベルとしては極平均的な走力といった感じがする。夏の奈良大会から甲子園で敗れるまでの9試合で、盗塁は1個も決められていない。チームの三番を担う打者だが、走力でガンガンアピールする選手ではないのだろう。
 
 打球の行方が変わっても、瞬時に対応して的確な送球ができてしまうところは素晴らしい。基本に忠実に正面にしっかり回るときもあれば、ダイナミックなプレーで魅せるときもある。状況に応じてプレーを使いわける機転の良さがあり、引き出しの多さを持っている。送球も安定しており、深いところからも刺せるなど肩も基準レベルを満たすだけのものはありそうだ。私が知る限り、全国で一番うまいショートのドラフト候補だろう。


(打撃内容)

 追い込まれるまでは、足を大きく引き上げて回しこんでくる。しかし追い込まれると、ノーステップの打撃に切り替えて来る。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 足を大きく引いた右オープンスタンスで、グリップは高めに添えられバットを倒して構える。背筋はスッと伸ばすも、全体のバランスとしては癖のある構え。それでも両眼で、しっかり前を見据えられているところは良いところ。球筋を、錯覚を起こすことなく追うことができる。

<仕掛け> 早め

 普段は投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。早めに動き出すことで、いろいろな球に対応しようとする、アベレージヒッターに多く観られる仕掛けとなっている。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を大きく引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの「間」は充分とれており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたい万能型。踏み出した足元は、インパクトの際にもピタッと止まっている。そのため身体の「開き」を抑えることができ、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができている。

 しいて気になるとすれば、足のアクションが大き過ぎて余計な動きが大きいということ。これをもう少しシンプルにしても、自分のタイミングでボールを叩けるようになると良いのだが。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を早めに作っており、非常に深くとっているのが特徴。「トップ」を早く作ることで、速い球に立ち後れないようにしている。また「トップ」を深くとることは、弓矢の弓を強く引くがごとく、強い反発力が期待できる。その半面、あらかじめ「トップ」の形を最初から作っていると、どうしてもリストワークに遊びがなくなり柔軟性を損なわれるきらいがある。特に彼の場合は、非常に独特の感性を持った打者なので、「トップ」を作るのも自然体で良いのではないかと思うのだが・・・。

 バットの振り出しも、それほどインパクトまで遠回りではなく癖はない。バットの先端であるヘッドも下がることはなく、インパクト後も非常に大きな弧を描きスイングできている。けして彼は巧打者でも非弱さな打者でもなく、まだ確実性が低いだけで捉えれば打球は強烈なのだ。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは大きいものの、目線の上下動は並ぐらい。身体の「開き」は抑えられており、軸足も地面から真っ直ぐ伸びてキレイな軸回転でスイングできている。

(打撃のまとめ)

 しっかり捉えた時の打球は鋭いものの、まだその精度が低い印象を受ける。大きく足をあげることでタイミングを図っている部分もあるのだろうが、もう少しシンプルでそれができるようになると良いのだが・・・。

 スイング軌道には癖がないし、動作が大きい過ぎる以外は、思ったほど悪い癖はなかった。上位指名を意識するのであれば、打撃が何処まで向上するかにかかっているだろう。


(最後に)

 プロでもショートをやって行ける可能性を秘めており、そういった選手は豊作の18年度組のなかでも貴重な存在であることは間違いない。これで打力も伴ってくると、いよいよ上位指名が見えてくるだろう。有力選手が揃う今年のショートのなかでも、個人的には一番気になる存在ではないのだろうか。


(2017年夏 甲子園)