18ky-7
増田 陸(明秀日立3年)遊撃 178/72 右/右 | |
センバツではスリーベースを放ったのに、ホームにも突っ込んで先制のチャンスを潰す暴走。また守備では、ホームへの送球を逸して失点に。また二塁ランナーの際には、ショートゴロのの際に三塁に向かいアウトに。良いところを見せようと空回りして、多くのボンヘッドを繰り返した選抜の舞台。 私がこの選手を高く評価していたのは、派手に見せようというプレースタイルでも、抑えるべきポイントはしっかり抑えた上でのパフォーマンスだったからだ。選抜のプレーでは、単なるスタンドプレーヤーでしかなく私をがっくりとさせた。 走塁面:? 残念ながら、一塁までの到達タイムは計測できず。もし2回戦以降の試合で、正確なタイムを図れる機会があったら加筆しておきたい。チームの1番打者を担うが、新チーム結成以来の33試合では4盗塁と少なめ。けして足の遅い選手ではないが、走力よりもアグレッシブなプレースタイルで、チームに勢いを与える意味合いが強い一番打者なのではないのだろうか。上記にあげたような判断ミスも目立ち、走塁自体が上手い選手ではけしてない。 守備面:☆☆★ 2.5 ダイナミックな動きが目立ち、守備範囲自体は狭くなさそう。ただしミスも多そうなタイプで、秋以降の33試合で10失策という数字が残っている。またセンバツの舞台でも、無理な体勢から投げてしまい送球ミスが目立っていた。また本当の地肩はないようで、思ったほど肩は強くないのではないかという気がする。現状は、動きは良いものの上手い遊撃手ではない。将来的には、二塁・三塁・外野あたりを担うことになるのではないのだろうか。 (打撃内容) 思いっきりバット振れる選手で、それでいてバットの芯でボールを捉えることができている。そのため思いのほか打球は、フェンスギリギリのところまで飛んでゆくことが多い。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を軽く引き、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合がよく、全体のバランスが取れている。両眼で前を見据える姿勢は、平均的だろうか。それほど昨秋とは変わっていないと思うが、印象としては秋の方が重厚感を感じる構えだった気はする。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が沈みきったときに動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離ヒッターやポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。この部分は、秋と変わっていません。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足をしっかり引き上げて、真っ直ぐから少しベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。踏み込んだ前の足もしっかり止まって、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができています。秋にはよくわからなかった、右方向への打球も観られました。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、感性が生きる打ち方。バットの振り出しも、インパクトまで大きなロスはない。インパクトの際にもバットの先端であるヘッドは下がっておらず、打ち損じも少ないのではないのだろうか。ボールを捉えてからは、大きな孤を描きつつ最後までしっかり振り切ります。フォロースルーを使って、ボールを乗せて運ぶといったスイングではありません。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げが大きな割には、目線の上下動は抑えられています。身体の「開き」も我慢できていますが、軸足の内モモに強さが感じられません。この辺がまだ、4番の芳賀大成あたりに比べるとスイングの強さに物足りなさを感じる理由ではないのでしょうか。秋は、もう少し内モモの筋肉に強さが感じられたのですが・・・。 (打撃のまとめ) 真ん中~内角寄りの球を引っ張ったり、センター方向への打撃には優れているように感じます。その一方で、外角への対応には少し弱さが感じられます。しかし瀬戸内戦での最終打席には、ライト前にヒットを放つなど試合の中で修正が観られた点は好感。また秋観戦したときにはよくわからなかった、右方向への打球も多く確認できました。 対応力自体が特別高いとは思わないのですが、ボールを捉えたときにバットの芯で捉えられる確率が高く、フェエンス前後にまで打球を飛ばすこともしばしばあり、長打が多い理由だと考えられます。これにもう少し筋力などが備わって来ると、そういった打球が高い確率でオーバー・フェンスするようになるかもしれません。 (最後に) 何よりもアグレッシブなプレースタイルは、この選手の最大の魅力。しかしそれは、しっかり抑えるべき抑えてこそのプレーだということ。そういったことを心がけて、普段からプレーして欲しいと思います。 そのため彼の評価は、意見が割れるかもしれません。個人的には、こういったプレーヤーは嫌いではありません。しかしそれは、プレーが雑にならないということが条件となります。そこをけしっかり見直して夏に向かえれば、高校からのプロ入りも夢ではないでしょう。現時点では高い評価はできませんが、下位指名ならば加えてみたいと思う球団が出てきても不思議ではないでしょう。今後の、人間的に成長した姿を期待してやみません。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2018年 センバツ) |
増田 陸(明秀日立2年)遊撃 178/78 右/右 | |
とかく世の中では、DeNAで活躍している 細川成也 の弟である 拓哉 の注目度が高い明秀日立。しかし拓哉は140キロ台こそ出せるが、高校からプロに入るほどの選手には見えてこない。むしろこのチームの看板は、1番を打つキャプテンの 増田 陸 なのだとひと目見ればわかるのだ。グランドにいれば、ひときわ目立つ派手なパフォーマンス。しかしこの男、ただの目立ちたがり屋とは一味ちがう。 (守備・走塁面) チームの1番打者を担っているので足も速いのだろうが、ホームラン性のフライが多いので正直走力についてはよくわからなかった。しかし遊撃手としては、思いのほか想像以上に上手かった。派手な動きを魅せる選手ではあるが、けして雑なわけでも下手なわけでもない。上のレベルでショートとなると少し心配だが、その攻撃的なプレースタイルから将来は三塁あたりならば面白い存在だろう。とにかく深いところから刺せる強肩もであり、サードならばなおさら強肩が活きるだろうから。 (打撃内容) 打席に入る前には、バットをぐるぐるまわして派手なアクションで打席に入ってくる。あわやホームランという打球を連発するように、ボールを芯で捉えるセンスと打球に角度をつけるコツを掴んでいるのかもしれない。私が見た次の試合となった決勝戦の中央学院戦では、左中間スタンドに見事叩き込んでいた。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前足を軽く引いて、グリップは高めに添えながらもバットを倒して構えます。腰もどしっと据わり、両眼で前を見据える姿勢もよく、全体のバランスも優れ、いかにも強打者らしい重厚感のある構えです。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が沈みきった時に動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を大きく引き上げて、真っ直ぐ踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも打ちたいタイプなのでしょう。それでも踏み込んだ足元はピタッと止まっており、体の開きがインパクトまで我慢できています。そのため外に逃げる球や低めの球にも食らいつけそうですが、現時点で右方向への意識があるのかはわかりません。メカニズム的には、そういった打撃も充分可能なはずです。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配はないでしょう。素晴らしいのは、バットの振り出しでインパクトまでロスなく振り抜ける点。いわゆるインサイドアウトのスイング軌道なので、真ん中~内角寄りの球を巻き込むのに優れます。そのぶん外の球をバットのしなりを活かしてスイングできるのかには疑問が残りますが、その辺はこれから必要に応じて木製バットを扱うようになってから修正すれば良いポイント。 ボールを捉えてからは、大きな弧を描いて明秋日立の選手らしく思いっきり振り抜きます。けしてフォロースルーをうまく使えているわけではないのですが、バットを潜り込ませるポイントを心得ているのか、ホームラン性の打球を連発します。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げがあるので、目線の上下動はそれなり。しかし体の開きは抑えられており、何より軸足が地面から真っ直ぐ伸びてキレイに安定しています。そのため、軸を起点にキレイに振れるわけです。またその軸足の内モモの筋肉が発達しており、強烈な打球を生み出せる原動力になっています。 (打撃のまとめ) 非常に技術的には、すでに高いものを持っています。一見荒々しい選手に見えるのですが、抑えるポイントはしっかりおさえた上でのプレーだということ。これは、守備にも言えることだと言えるでしょう。とくに強打者ですが、脆さみたいなものは感じませんでした。 (最後に) 間違いなく、今年のドラフト候補として注目される存在です。高校生の遊撃手としては基準レベルありますし、肩も非常に強い。打撃は言うに及ばずですし、マインド的には完全にプロ向きです。間違っても、大学などに進んだら潰されそうなタイプです。ぜひこの個性を活かして、高校からプロに突き進んできて欲しい1人です。センバツでは、ぜひ注目して頂きたい。 (2017年 秋季関東大会) |