18ky-5
浜田 太貴(明豊3年)右翼 177/77 右/右 | |
昨夏の甲子園で、今まで高校生でこんな腕っぷしの強いスイングをする選手を見たことがなかった 浜田 太貴 。ぜひ一度、生でこの選手を見ておかなければと春季九州大会に足を運んでみた。確かに振れるスイングは魅力だし、打席での堂々とした態度も強打者らしい性格の持ち主。ただし177センチの体格のせいか? 他の選手に混じってしまうと、どれが 浜田 なのかわからなくなってしまう。高校からドラフト指名されるような選手は、他の選手に混ざってもひと目でわかってしまうもの。しかし彼からは、そういった存在感を感じられなかったことが、私には何か引っかかるのだ。 (守備・走塁面) 今回の観戦ではタイムは計測できず。昨夏の大会で計測した時は、右打席から4.5秒前後(左打者換算で4.25秒前後)と平凡だった。しかし試合を見ていると守備の状況をよく見ており、隙あらば次の塁を狙おうという積極な姿勢は垣間見られた。プレーを見る限り、盗塁を仕掛けて来るような走力はない。しかしある程度動ける身体能力はあり、実戦に即した走力は兼ねそなている。 昨夏の甲子園では、左翼を守っていた。しかし秋季大会や春季大会では、背番号5を付けながらの右翼手として出場。守備を見ていると、めっぽう上手いわけではないが、ドラフト候補の右翼手としては基準レベルぐらいの守備力はあると見て良いだろう。肩も結構強く、ドラフト候補として中の上~上の下レベルはあり、送球は強い。プロでも鍛えれば、右翼手としては平均的なレベルまでいけるかもしれない。問題は、背番号のとうりサードをしっかり守れるかどうかではないのだろうか? 夏の大会では、サードを守るのか右翼を引き続き守るのか注視したいポイント。 (打撃内容) あの豪快なスイングは健在で、まともに捉えれば軽くオーバー・フェンスできるぐらいの長打力があります。また右方向にきっちり打ち返せる技量があり、広角に打ち分ける強打者といった感じがします。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を軽く引いて、グリップを高めに添えます。背筋を伸ばし、両眼でもしっかり前を見据えられ、バランスよくかつ緊張感を感じさせる構えです。それでいて妙なみ力が感じられないところも、この選手の良さではないのでしょうか。昨夏よりも、全体的に良くなっている感じがします。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が沈みきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。昨夏は「遅すぎる仕掛け」だったのに比べると、かなり余裕のある始動に変わっている。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多くみられる仕掛けとなっている。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足をほとんど上げず、地面をなぞるようにして真っ直ぐ踏み出します。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいといったタイプなのでしょう。 踏み込んだ前の足はしっかり止まるので、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつき右方向にしっかり飛ばすことができています。元々腕っぷしの強さを生かして豪快に引っ張る良さがあるので、真ん中~内角寄りの球に対しては前の足を開放してあげて、豪快な引っ張りも忘れないで欲しいところです。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 バットを引くのが遅れがちだったのも、今は「トップ」の形を作るまでは自然体で力みなくボールを呼び込めています。肘が下がってバットが出てくるので、腰は早く開いてしまうのは昨夏も同様でした。そうした「開き」を、踏み込んだ前の足がしっかり受け止めることで、右方向への打撃を可能にしていた点は変わっていません。 インパクトの際にはバットの先端であるヘッドも下がっていませんし、大きな弧を描いてスイングできています。バットをボールの下に潜らせて角度を付けるのではなく、水平でインパクトしたボールを上に引き上げるような独特の上げ方をする特殊なスイングをしてきます。高校生でこういった打球の上げ方をする選手を、未だかつて見た記憶がありません。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げほとんどないので、目線の上下動は非常に小さいのが特徴。腰は早く逃げますが、足元が止めることである程度のところで抑えることができています。軸足は地面からまっすぐ伸びて安定していますし、内モモの筋肉にも強さが感じられ、この体格でも強靭な打球を飛ばせる原動力になっていると言えるでしょう。 (打撃のまとめ) 右に左に叩き込めるパワーの持ち主で、何より強靭なスイングは圧巻です。それでいてこの選手、当て勘も悪くなく率もある程度残せるところも魅力ではないのでしょうか。スケール感溢れる体格ではないのですが、やはり一種独特のものを持っています。こういった感性は、高く評価したいところ。昨夏からも、だいぶ欠点を改善しようという意識が感じられました。 (最後に) 右の大物打ちという意味では、やはり各球団の関心は高そうでした。ネクストで相手投手にタイミングを合わせるというよりは、自分のペースで準備をするマイペースな性格。強打者らしく、それほどラインの存在を気にするといったきめ細やかさはありません。しかし足場に関しては、自分なりのものを持っている感じで、そういったこだわりはあるようです。物凄く意識が高いとかいう感じはしませんが、自分というものを持ってプレーをしている印象は受けました。 上位指名でという迫力はありませんでしたが、中位ぐらいならば指名して来る球団もあるのではないかと思います。とにかく振れる力は持っていますし、当てる能力にも大きな欠点が見当たらない。サードあたりが鍛えればいけると判断されたら、夏のアピール次第では上位に行ってしまうかもしれません。夏までの、さらなる進化を期待してやみません。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2018年 春季九州大会) |
浜田 太貴(明豊2年)外野 173/72 右/右 |
「こんな高校生見たことがない」 こんな腕っぷしの強いスイングをする高校生を、私は今まで見たことがなかった 浜田 太貴 。まるで助っ人外人のようなスイングで、遠心力を活かしてグワ~ンとバットを振ってボールを真上にかちあげる。こんなダイナミックなスイングをする高校生が、日本にも現れたのかと衝撃が走った。 (どんな選手?) 2年夏の大分大会では、3本のホームランを放った。続く甲子園でも、2本・9打点・打率.600厘 と打ちまくり、その打力が全国大会でも通用するものであることを印象づけた。荒削りではあるものの、けしてコンタクト能力が低い選手ではない。そういった意味では、将来的はある程度対応力も兼ね備えた強打者になるのではないのだろうか。 (守備・走塁面) 一塁までの塁間は、右打席から4.5秒前後。これを左打者に換算すると、4.25秒前後に相当する。全く動けない選手ではないが、さほど足を売りにするタイプではなさそう。夏の大分大会では、5試合で1盗塁。甲子園での3試合では盗塁0個だった。 左翼手としての守備を見る限りは、可も不可もなしといった感じだった。秋の大会では右翼を守っており、地肩自体は基準~それ以上には見える。元々三塁としての適性も試されており、肩は悪くないのだろう。サードあたりでアピールできれば大きいが、右翼手として強肩・かつそつのない守備でアピールできれば守備で評価が足を引っ張られることもなさそうだ。 (打撃内容) 腕っ節の強さを活かして、物怖じせずにバットを振って来る。大分大会決勝では、ことごとく外のスライダーを引っ張りにかかりサードゴロの山を築いていた。しかし甲子園では、右方向にも長打を、センターにも力みなくはじき返すなど、短期間で心境の変化が見られたのには驚かされた。 <構え> ☆☆☆ 3.0 前の足を少しだけ引いて、グリップを高めに添えます。腰はあまり据わっていませんが、背筋を伸ばし立ちます。両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスなどトータルでみると平均的な構えだと言えそうです。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が下る時にベース側につま先立ちし、投手のリリース前後に動き出す「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人の筋力やヘッドスピードを考えると、ここまで遅い仕掛けはどうでしょうか? <足の運び> ☆☆☆ 3.0 小さくステップして、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」が取れないので、どうしても狙い球を絞って叩く 点 のスイングになります。また真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプ。踏み込んだ足元はブレないでピタッと止まっているので、開きを我慢して逃げてゆく球や低めの球にも対応することができています。無理に引っ張るという意識を捨てれば、甲子園で魅せたような、センター方向や右方向への打撃も可能です。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 バットを引くのが少し遅れがちで、打撃の準備である「トップ」の形が立ち後れないか心配になります。またスイングの際に早く腰が開くのですが、それを足元を止めることである程度のところで抑え込むことができています。グリップを下げた位置から思いっきりブンと振るのですが、バットの先端であるヘッドは下がっておらず水平にスイングする感じ。 そのためボールの下にバットを潜り込ませて打球に角度をつけるという感じではなく、水平に捉えたボールを上にかちあげるような特殊なスイングをしています。日本人で言えば、平田良介(中日)のようなスイングから無理やり上に引き上げるようなスイングとなっています。スイングの弧の大きさ・フォロースルーの形などは、まるで外国人のそれです。技術よりも、腕っ節で無理やり持ってゆくような感じでしょうか・・。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げが小さいので、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢できており、軸足もそれなりに安定しています。特に空振りをしても、バランスを崩さないのは非凡なところかと。これだけ上半身でバットを振りながら、それを受け止める下半身がしっかりしている選手は稀だと言えるでしょう。 (打撃のまとめ) 先日ご紹介した、野村 佑希(花咲徳栄)と、途中までよく似たメカニズムでバッティングしています。野村は185センチという恵まれた体格があり、浜田は173センチと体格では大きな差があります。現時点での2人の技術の差には、2つあります。 1,ボールを捉えるまでのスイング軌道の差 2,強い上半身を受け止める下半身の差 この2つの部分では、大きく浜田が勝っているといえるでしょう。スペック的には野村の方が遥かに恵まれていますが、技術的には現時点では浜田が上なのがわかります。また2人のバットの振り出し以降の動作が全然違うのですが、これは個性の差でもあるので一概にどちらが良いとは単純には言えません。 (最後に) 現時点では、浜田 は、恐るべきスイングをすでに実践できているということ。そしてそれを、素直に結果にも繋げることができています。奇しくも、2人のポジションは同じライト。この2人が来夏までに、どのような成長曲線を描いてゆくのか大変興味深く見守って行きたいと思います。もう一人の野村こと、野村 大樹(早実2年)捕手も絡めて、高校ビッグ3のスラッガー達から目を離せそうもありません。 (2017年秋 秋季大分大会) |