18ky-48
渡辺 陸(神村学園3年)捕手 184/80 右/左 | |
184センチの大型捕手ではあるが、ものすごく強肩だとか、飛距離を誇るとかポテンシャルが高いタイプの捕手ではない。彼が評価されるのは、捕手としてのセンスの良さにあるのではないのだろうか。 (ディフェンス面) 周りに細かく指示を飛ばす、まさに司令塔いったタイプ。柔らかいハンドリングを活かしたキャッチングで、ワンバウンドするような球にも素早く下からミットが出てくる。また打球にも機敏に反応したり、ベースカバーへの入りも早く大型でも重苦しさは感じない。 その一方で、ミットを一度地面に降ろしてしまう癖がある。ただしそれほど極端ではないので、このぐらいなら許容範囲だと思う。またキャッチングの際に柔らかい反面、ボールの押し込み・ミットがブレないなどの力強さはないので、プロの球威・球速のある球に対し、ミット負けしてしまうかもしれない。そういったところからプロでは、はじめないと行けのではないのだろうか。 一球一球のボールまわしにも心地よいリズムもあるし、キャッチング自体が雑ということはない。試合でのスローイングは確認できなかったが、イニング間での送球を見る限りは肩がめっぽう強いとかそういった風には見えなかった。とはいえ、送球までの流れや形に悪いクセはない。 個人的には筋の良さが感じられ、好みの捕手である。ただし肩や打撃が突出したA級の素材ということではなく、あくまでも捕手らしい捕手といったタイプ。投手からは信頼を得られやすいと思うが、わかりやすい武器がないところを、どうアピールしてゆくか。 しかしディフェンスだけみていれば、高校から指名されるだけのものは持っている。 (打撃内容) 確認したのは、2年秋の秋季大会の模様。そのため、3年時にどの程度変わっていたのかは定かではない。3年春はチームをベスト8まで導いていたが、不祥事で以後の試合を辞退。3年夏は、緒戦で破れてしまい充分なアピールができなかった。私自身も、3年時のプレーは確認できないまま終わっている。ちなみに神村学園は、彼が2年夏に甲子園に出場。しかし彼は、ベンチ外で試合にも出ていない。この辺はチームメイトの 羽月 隆太郎(広島7位)が中心選手として甲子園でプレーしたのとは対照的だった。 新チーム以後、5番・捕手として出場。ホームラン打者というよりは、右に左に打ち返す好打者タイプ。特に、左方向に流す打球が結構多い。ちなみに高校通算は10本塁打で、一塁までの塁間は左打席から4.2秒前後で到達する平均的な脚力。引っ張る打球は、ゴロになることが多い。参考にしたフォームは、2年秋の秋季大会のもの。最終学年でどのように変化していたとか、このときも審判の陰でよくわかrない部分もあることをご了承願いたい。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えられている。背筋を伸ばし両眼で前を見据える姿勢もよく、全体のバランスとしては良さそうだ。 <仕掛け> 平均~遅め つかみ難いのだが、投手の重心が下がりきったときに動き出す「平均的な仕掛け」~投手の重心が前に移動してから動き出す「遅めの仕掛け」の中間あたりに見えるのだが、たまたまだったのかもしれない。 いずれにしてもプレースタイルや打撃の型からは、中距離打者やポイントゲッタータイプに見える。 <足の運び> ちょっと審判の陰になって見難いのだが、軽く足をあげて回し込み、真っ直ぐ~インステップあたりで踏み出しているようには見える。始動~着地までの「間はそこそこで、速球でも変化球でも緩急にはそれなりに対応。 気になるのは、外角球を捌くときに踏み込んだ前の足がブレて動いてしまっている。逆に内角寄りの球の時は、前の足のつま先が閉じてブレていないように見える。これは通常逆で、外角の球を捌く時は「開き」をギリギリまで我慢する必要があるわけだが、内角は身体の回転を促す意味でも前の足を動かして解放してあげるからだ。その動きは偶然だったのかわからないが、全く逆だったのは気になる材料。こうなるとどうなるかというと、外角の球は打ち損じることが多く、内角は窮屈になって引っ掛けるこ打球が多発するということ。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、ボールを呼び込む際にも力みは感じられない。柔らかいハンドリングがあるのは良いのだが、ボールを捉えるまでにバット先端であるヘッドが外に外にまわって来るので遠回りなのだ。それでもインパクトの際にはヘッドはそれほど下がっておらず、ドアスイングというほど酷くはない。最後まで、バットはしっかり振り切って来る。そのため打球は、さほど上に上がるタイプなのではないのだろう。 <軸> 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は小さい。しかし身体の「開き」が外角球を捌くときに我慢できないので、打ち損じが少なくない。軸足は地面から真っ直ぐ伸びており、引っ張る時はキレイな軸回転で捌けてはいるが。 (打撃のまとめ) バックネット方向からの映像だったので、審判の陰に隠れてしまい詳細はよくわからない部分が出てしまった。しかし確認した試合では、ピッチャーゴロ・ファーストゴロ・四球・良い感じで捉えたライト犠牲フライといった内容。ドラフト指名される高校生としては、打撃は物足りないレベルであると評価せざるえない。 (最後に) この選手は、捕手としてのセンスの良さ・捕手的な性格を評価すべき選手だと思う。打席に入る時も捕手らしく、バッターボックスのラインを踏まない意識が染み付いている。また足場は入念に自分が打ちやすいに馴らす習慣があり、自分なりのこだわりを感じずにはいられない。高校生としてはきめ細やかさと意識の高さを感じさせる好選手で、プロ入り後いろいろなものを吸収して行けるのではないのだろうか。 ただし打撃に関しては平凡で、今後いかにプロで戦える最低レベルの水準まで引き上げられるかだろう。だからこそ、育成枠評価だったのだと考えられる。個人的には好み捕手ではあるが、最終学年でどのぐらい凄みを増していたのか? わからないことも多かった。その続きは、ぜひプロのグランドで確認してみたい。 (2017年 秋季鹿児島大会) |