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羽月 隆太郎(広島)内野手のルーキー回顧へ






羽月 隆太郎(神村学園3年)遊撃 167/70 右/左 





「快速が売り」 





 2年夏の甲子園・明豊戦では3安打を放つなど、存在感を示していた 羽月 隆太郎 。しかし3年夏は、初戦で破れてしまい確認できずに終わってしまった。そのため今回は、昨夏の模様と今年の一部動画を元に、レポートを作成してみた。


守備・走塁面 

 この選手の売りは、一塁までの到達タイムが3.9秒前後を記録する快速にあります。脚力に関してはプロでも上位レベルにあり、足を売りにしたプレーが何より持ち味だと言えます。しかし甲子園での2試合では盗塁0個で、夏の鹿児島予選でも6試合で僅か2個。快速ではあっても、盗塁技術に長けているのかは疑問で、最終学年の一年間でどのぐらいその辺が進化してきたのか気になります。

 遊撃手としては、スピード感を感じさせる選手。ただしまだキャッチングなどにはぎこちない部分も2年時にはあり、そこまで上手いショートではありませんでした。また地肩も送球に強さが感じられなかったり乱れたりしており、どちからというセカンド向きのプレーヤーではないのかという気がします。細かい動きやスピード感はあるので、セカンドの候補として獲得したのではないかとみています。





(打撃内容)

 快速ではありますが、転がして内野安打をというタイプではありません。鋭く振り抜き、野手の間を抜けて行くのが持ち味。逆にランナーがいてもフライをあげてしまうなど、進塁打が打てないのは気になりました。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を引いた左オープンスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり・全体のバランスとしては並ですが、両眼でしっかり前を見据えることはできています。球筋を、錯覚を起こすことなく追うことができます。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が下がりきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られるスタイル。しかし彼の打撃スタンスを考えると、若干大きな打撃を狙い過ぎかなと思える部分はあります。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を軽く浮かし、地面をなぞるようにして真っ直ぐ踏み出します。始動~着地までの「間はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプです。

 踏み込んだ前の足がインパクトの際にもブレずに止まっており、逃げて行く球や低めの球にも喰らいつくことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体なのですが、バットを引くのが遅れないように注意したいところ。バットを寝せて、脇を締めて振り出します。そのため、それほどインサイド・アウトの軌道ではない割に、内角寄りの球をスパンと強く振り抜けます。

 その一方で、外の球にヘッドが下がらずロスは感じないのですが、強く叩け無いひ弱さが下級生のときはありました。典型的な右投げ左打ちの作られた左打者に観られる、ひ弱さがあった選手です。そのため外角に強い球を投げると、フライを上げてしまうことも少なくありませんでした。今年の映像をみると、スイング自体は変わっていないのですが、上手くヘッドを残しレフト方向へ流すことができていました。この辺は、この一年の成長かもしれません。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げがほとんどないので、目線の上下動は少なめ。しかし自分からボールを追いかけてしまうところがあり、結構頭は動いてしまっています。身体の開きは我慢できており、軸足にも粘りも感じられます。

(打撃のまとめ)

 技術的には2年時から高かったのですが、それを扱うだけの筋力・体力が足りていませんでした。最終学年になり、そのへんはだいぶ変わってきているのかもしれません。

 内角の球は強く振り抜くことができ、外角の球も上手く流せるようになってきています。しかしまだまだ木製バットを握り、プロレベルの球を叩くのには、時間がかかるかもしれません。





(最後に)

 脚力は間違いなくありますが、それを活かす術が何処まで磨かれたのか? 遊撃手として平凡だった守備を、この一年で何処まで引き上げて来られたのかは気になります。小回りの効く二塁手あたりで、カープの中でも異彩を放つまでになるのか注目したいと思います。最終学年のプレーはじっくり見れていませんので、評価付けはできないことをご了承くださいませ。


(2017年夏 甲子園)