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中村 宜聖(ソフトバンク)外野手のルーキー回顧へ







中村 宜聖(西日本短大付3年)中堅 183/88 右/右 
 




「雰囲気はあった」 





 昨夏の福岡大会では準決勝まで勝ち上がり、8番・中堅手として出場していた 中村 宜聖 。当時から、非常に雰囲気を持った大型野手だった。最終学年では、3回戦で敗退。期待されるなか挑んだ夏の大会では、8打数1安打に終わっている。残念ながら最終学年でのプレーぶりは確認できなかったが、下級生の模様からどんな選手だったのかご紹介してみたい。


守備・走塁面

 その当時も、一塁までの到達タイムは計測できず。しかしベースランニングを見る限り、走力はそれなり速そう。守備も落下点までのボールの入り方に迷いはなく、けして下手な外野手ではないだろう。肩もまずまず強く、走力・守備力などの身体能力を評価されての指名だと考えられる。


(打撃内容)

 初球からガンガン振って来る積極性のある打者で、右方向にもきっちり打ち返す。むしろ長距離打者というよりも、しっかり振り切ってはじき返す打撃が持ち味といった感じがした。しかし最終学年ではホームランを連発できるようになり、打球を飛ばすコツを身につけてきたのかもしれない。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。背筋をしっかり伸ばし、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしてもまずまず。打撃での集中力も感じさせる選手で、理に適っているのではないのでしょうか。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる始動です。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足を引き上げて、ベース側に踏み込んで来るインステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応できます。インステップしてくるように、外角を意識したスタイル。

 気になるのは、踏み込んだ前の足がインパクトの際にブレてしまっていて、「開き」を充分我慢できないところが2年夏の時点ではありました。外角に逃げて行く球や、低めの球に対しては厳しいのでしょうが、それでも右方向にきっちり打ち返すことはできていました。この辺を、この一年間で改善できているのかは気になる部分です。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールは呼び込めています。バットの振り出しは内からバットが出てくるわけではないので、内角の捌きは窮屈な印象。外の球に対しては、少し遠回りにバットは出てくるものの、バットの先端であるヘッドが下がらずに外の球を拾いやすいスイングをしています。

 2年夏の時点では、それほどスイングの弧が大きいとか、フォロースルーを使うような長打を打つようなタイプにはあまり見えませんでした。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げはそれなりで、目線の上下動も並ぐらい。身体の「開き」が充分には我慢できないところはあったものの、軸足は地面からまっすぐ伸びて、軸回転ではスイングできていました。

(打撃のまとめ)

 当時から雰囲気はありましたが、下級生とはいえ8番打者だったので突出した存在ではありませんでした。この一年で長打力も増し、だいぶスケールをつけたのでしょう。問題は、身体の「開き」を我慢できるような、上半身と下半身のバランスのとれたスイングができるようになったのかという部分ではないのでしょうか。


(最後に)

 守備や走力など、身体能力の高い外野手といった感じがします。打撃がどのレベルまで伸びているのかわかりませんが、注目されるなか結果を残せなかった最後の夏。そのへんの最後の大舞台に調子を合わせられなかったことや、高校生レベルでも圧倒できないところが、育成枠に留まった要因ではないのでしょうか。

 長打で魅了する感じの強打者ではないように思いますが、秘めたるポテンシャルは高そうな選手なので、ソフトバンクの育成力で何処までの選手になれるのか注目したいと思います。最終学年でのプレーは確認できませんでしたので、評価づけできないことはご了承くださいませ。


(2017年夏 福岡大会)