18ky-42
松井 義弥(福岡・折尾愛真)三塁 191/90 右/左 | |
当たったときの飛距離は破格であり、それでいて身体能力も高いと評判だった 松井 義弥 。しかし、なかなかバットにボールが当たらない。果たしてこの粗さというか脆さを、将来的に改善して行けるのだろうか? 走塁面:☆☆★ 2.5 一塁までの到達タイムは、左打席から4.2秒を記録。このタイムは、ドラフト指名される左打者としては 中の下 ぐらいの脚力だといえる。191センチの破格の体格の割には動ける選手だが、福岡予選の6試合や甲子園での1試合でも、盗塁は0個。現状は、プロで盗塁をバシバシ仕掛けてくるタイプとは思えない。 守備面:☆☆☆ 3.0 この破格の体格ながら、打球への反応は俊敏で守備範囲は広い。むしろ気になるのはスローイングの方で、肩は弱くないのだがコントロールが不安定な印象を受けた。夏の予選の6試合で失策は1個程度だったが、将来的にスローイングの精度が安定するかにかかっているだろう。キャッチング・反応、守備範囲等は、高校生の三塁手としては、良い方ではないのだろうか。 (打撃内容) まともに捉えたときの飛距離は圧巻らしいのだが、いかんせん空振りが多い。夏の予選では打率.320厘と極端には低くはないものの、打てる球が限られるとか、一定レベル以上の投手の球に対応できるかは疑問が残る。 <構え> ☆☆☆ 3.0 前の足を引いて、グリップは下げ気味に構えている。腰の据わり、全体のバランスとしては並ぐらいだが、両眼で前を見据える姿勢は良い。球筋を、錯覚を起こすことなく追うことができている。打席において、力み無く構えられているところは良いところ。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心下がる時にベース側につま先立ちし、本格的に動き出すのはリリーフ直前の「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人のパワーとヘッドスピードを考えると、ここまで遅いタイミングでプロレベルの投手の球に対応するのは厳しい。 <足の運び> ☆☆★ 2.5 小さくステップして、真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの「間」が短いので、狙い球を絞ってその球を逃さないことが求められる。しかし実際は、空振りも多く甘い球を確実に仕留めてくることはできていない。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプ。 踏み出した足元はブレないので、逃げて行く球や低めの球にも喰らいつくことはできている。しかしステップが狭いので、軸足から踏み出す足へと体重移動ができておらず、どうしても上半身だけで対応する手打ちになってしまっている。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、ボールを呼び込む時に力みは感じられない。バットの振り出しも、上からミートポイントまでのロスは少ない。ただし腕が長いので遠くの球には届くか内角寄りの球には窮屈になりがち。インパクトの際に、バットの先端であるヘッドは下がらないで振り抜けている。下半身は使えないものの、上半身の振りには癖がないのが特徴。ボールを遠くに運ぶような、フォロースルーを活かしたスイングではない。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げがほとんどないので、目線の上下動はほとんど観られない。したがって球筋を、錯覚を起こすことなく追うことができている。その割に空振りが多いのは、気になる部分。 身体の「開き」は抑えられているが、軸足が前に体重移動してゆかないので、どうしても足元が窮屈になりがちだ。こうなると、捌ける球も限られたものになってしまうだろう。 (打撃のまとめ) 始動の遅すぎと下半身が使えないフォームに課題があるが、ボールを錯覚を起こすことなく追えるという姿勢には非常に優れている。またスイング自体には癖がないので、その点は評価できるポイント。いずれにしてもプロレベルの投手の球に対応するのには、相当な苦労が予想される。 足は見た目ほど遅くはないといった程度であり、三塁守備のうごきは良いものの、送球に不安を残す。いずれにしてもかなりの素材型であり、将来プロで使えるようにするのは厳しいのではないかとみている。そのため、指名リストに名前を残すことはできなかった。これだけの素材型をプロが育成できるようだと、日本の野球界の未来も明るくなるだろう。 (2018年 甲子園) |