18ky-40
牧野 翔矢(遊学館3年)捕手 177/77 右/左 | |
ドラフト直前になって、阪神がリストアップしていると掲載された 牧野 翔矢 。私自身知らない選手であり、夏の大会の中継から慌てて彼の試合を探し出した。ほとんどこれまで雑誌などでも大きく取り上げられることはなかった選手だと思うのだが、思いのほか好い選手だった。 (ディフェンス面) 重心を低くして、ミットしっかり投手に示してビシッと構える。グラブを地面に下げるような癖もなく、少々上から捕球しにゆくことはあるが、低めの球には素早くミットを下から出せる。ボールの押し込み等も悪くなく、グラブ捌き・足回りにも鈍さは感じられず大きな欠点は見当たらない。残念ながら試合で確認できた送球では、投げ遅れてしまって慌てて送球を乱すものであった。それでも塁間2.0秒ぐらいで到達しており、地肩は結構強そう。一年時の試合前練習の送球などの映像を観ていても、中の上ぐらいのスローイング能力はあるのではないのだろうか。A級の素材とは言えないが、高校からプロに入るだけの総合力を持った捕手ではないのだろうか。 (打撃内容) チームでも4番を担っており、なかなか振り抜きの好いスイングをしてくる。むしろ打撃に関しては、想像以上の選手だった。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 左オープンスタンスで構え、やや後ろ足に体重を預けた構えになっている。グリップの高さは平均的で、脇を閉じて構えている。腰の据わり具合、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスと平均的だが、アゴを引いて打席では高い集中力が感じられる。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下がる時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多く観られるもの。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたい万能型。踏み出した前の足は、インパクトの際にもしっかり止まってブレないでいる。そのため逃げてゆく球や、低めの球にも食らいつくことができる。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 早めに打撃の準備である「トップ」の形を作れており、速い球に立ち遅れない。バットの振り出しも、外の球に対してはロスなくボールを捉えることができている。それでいて内角の球にも、全く開かずに見事に振り抜くことができる。インパクトの際にも、バットの先端であるヘッドが下がらず、広い面でボールを捉えている。打ち損じが少ない、確実性の高いスイングだ。 さらにボールを捉えてからも大きな弧を描き、フォローまでしっかり使えてバットが振れている。確実性だけでなくなく、スパンと振り抜き強烈な打球を生み出している。現状はそれほど打球が上がるスイングではなく、高校通算15本程度に留まっているが。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足は引き上げるものの、静かで目線の上下動は少なめ。身体の「開き」は我慢でき、軸足も内モモの筋肉が発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっている。 (打撃のまとめ) 技術的にも高いものを持っており、捉えたときのスイングも潔い。ひ弱さはなく、それでいてミート能力も悪くない。プロの指導者の元指導を受ければ、打てる捕手として存在感を示せても不思議ではないだろう。プロのスピード・キレに慣れてくれば、打撃でも期待できるのではないのだろうか。 (最後に) 捕手としては基準レベルを満たすぐらいの素材だが、打者としては想像以上に好い選手だと思う。攻守両方で指名レベルに到達していそうで、バランスが取れている。今年は有力な高校生捕手が多かったのだが、その殆どがプロ志望届けを提出しなかった。そういった中では、数少ない指名を意識できる捕手だと言えるのではないのだろうか。希少価値も相まって、ドラフトでは中位(3位~5位)ぐらいで指名されても全然不思議ではない。隠し玉的存在だが、非常に興味深い選手だった。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2018年夏 石川大会) |