18ky-38
蛭間 拓哉(早稲田大4年)中堅 176/87 左/左 (浦和学院出身) | |
浦和学院時代からU-18でも中心的な活躍をしてきた 蛭間 拓哉 。早大進学後も、1年春からリーグ戦に出場し活躍してきた。ただし、高校時代を知るものからすると、六大学で残してきた実績はやや物足りないものがある。一体彼の能力は何処にあるのか? 検証してみたい。 走塁面:☆☆☆★ 3.5 左打席から4.2~速い時で4.05秒前後で一塁まで到達するものの、そのタイムはドラフト候補としては平均的。この春も13試合で2盗塁と、それほど走力でガンガンアピールして来るタイプではない。それでも全日本の合宿では、50メートル走で5秒台を叩き出すなど、走塁に意識を傾ければもっとやれても好いはずと思わせるものはある。それでも現状の走力は、中~中の上 ぐらいと認識しておくのが無難ではないのだろうか。 守備面:☆☆☆★ 3.5 打球への反応・落下点までの入り方、ボールの追い方なども悪くありません。物凄く守備範囲が広いとは思わないものの、球際では強さを発揮します。高校時代はかなりの強肩に見えたのですが、最近の送球を見ていると、 中の上 ぐらいかなと、際立って強いとは思わなくなりました。そのため、総合力な守備力も、中の上 ぐらいではないかと。 現状は、守備や走力は売りにするほどではないけれど、足を引っ張るような醜さはないのだろうということ。 (打撃内容) 3年生までの通算打率は、.275厘 。この春のリーグ戦成績は、13試合 2本 4点 2盗 打率.279厘 と、今までのリーグ戦の成績をそのまま踏襲する感じでした。特に可も不可もなしといった内容だったのですが、ドラフト上位を目指すには物足ります。これまでも、規定打席に乗らない打席数での、打率.364厘 というシーズンが一度あるだけで、あとは3割前後の成績でしかありません。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を引いた左オープンスタンスで、カカトを浮かせて構えます。グリップの高さは平均的で、腰の据わり具合や全体のバランスは並ぐらいですが、両眼で前を見据える姿勢はいい感じ。打席では、それなりに高い集中力は感じます。 <仕掛け> 早すぎ 投手の重心が下がり始める前から動き出す、「早すぎる仕掛け」を採用。このタイミングで動き出すと、投手に投げるタイミングを変えられ、微妙に狂わされる恐れがあります。ただし、始動がかなり早いので、対応力重視の打撃をしていることが伺われます。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く上げて回し込み、ベースから少し離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は充分に取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広くは対応できそうです。アウトステップを採用しているように、内角への意識が強いのではないのかと。 それでもインパクトの際に、少し足元が動く傾向にあります。これは、引っ張りを重視しているからではなく、単なるパワーロスだと考えられ、打ち損じの原因になっている可能性があります。そのため逃げてゆく球や低めの球にはあまり強くなく、外角の球を素直にレフト方向に飛ばすのは上手いものの、高めの球が多いのではないかと考えられます。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは早めに作れており、速い球には立ち遅れません。ただし、ボールを呼び込む際にバットのヘッドが投手側に結構倒れ込むので、バットの出はスムーズとは言えません。おそらく内角を意識しているのは、あまり内角のさばきが得意ではないからではないのでしょうか。 それでもインサイドアウトではないものの、外角の球を捉えるまでに大きなロスは感じません。またインパクトの際にもヘッドが下がらないで広い面で捉えられていますし、流した時にボールに角度をつけてレフトスタンドに叩き込ませる技術は一級品です。特にスイングの孤が大きく、最後までしっかり振り切れています。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動は小さめ。体の開きが充分我慢できているとは言えないのですが、軸足の内モモの筋肉はとても強く発達しています。強烈な打球を生み出す、原動力になっています。 (打撃のまとめ) 気になるのは、インパクト際の微妙な足元のブレ。そして、ボールを呼び込む際の投手側へのヘッドの倒れ込みです。それほど改善は難しいポイントではないと思うので、プロ入り後の修正は期待できるのでは? 大きな孤のスイングと内モモの筋肉発達には非凡なものは感じます。 ただし、物凄くボールを捉えるのが上手いという対応力よりも、現在は流してもしっかり本塁打できるといった破壊力の部分に魅力を感じます。3割打者というよりも、20本ぐらい打てそうな長打力の方に魅力を感じます。 (最後に) 2割8分前後で、15本~20本 ぐらい打てる将来のレギュラー候補といっ可能性は感じます。ただし、そういった選手をどうしても欲しいと球団でなければ、1位指名でどうしてもとか、そういった特別なものは感じません。プロに混ぜればもっと潜在能力が引き出されるタイプなのか? 個人的には、半信半疑な部分は残ります。現状は、凄みや特別な鋭さまでは感じられないので、バリバリの1位候補というよりも、上位候補の一人といった感じでしょうか。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2022年 春季リーグ戦) |
蛭間 拓哉(早稲田大3年)右翼 176/87 左/左 (浦和学院出身) | |
蛭間 拓哉 の素晴らしいのは、左打者ながらレフト方向へスタンドインできる打者であるということ。通常右投げ左打ちの打者だと、引手が強く引っ張って巻き込んでの本塁打は多いが、彼の場合左投げ左打ちなので、左方向への長打も苦にしない特徴がある。 走塁面:☆☆☆ 3.0 一塁までの塁間は、左打席から4.2~速い時で4.05秒前後で走り抜けます。この脚力は、プロレベルとしては 平均~中の上 ぐらいといったタイムであり、際立って足が速いわけではありません。1年春からリーグ戦に6シーズン出ていて、通算の盗塁数は6個程度です。基本的に走力は遅くはありませんが、あまり期待しないほうが良いのかもしれません。 守備面:☆☆☆☆ 4.0 浦和学院時代は中堅手でしたが、早稲田では右翼を守っています。打球への反応・落下点までの入り・ボールの追い方も悪く有りません。またライトから返球にも目を見張るものがあり、プロに混ぜても守備で見劣ることはないと思いますし、肩も充分勝負して行けるレベルにあると言えます。こと守りに関しては、即混ざってもやって行けるとみています。 (打撃内容) 生粋のアベレージヒッターでも、天性の長距離打者でもありません。ただし、結構打球に角度を付けて、どの方向にもスタンドインできる能力を持っています。ただし、六大学でのキャリアハイは、2年秋の.364厘が最高で、通算では.275厘と成績としては平凡です。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を引いて、グリップの高さは平均的。背筋を伸ばしつつ、全体のバランスはそれなり。両眼で前を見据えることができており、打席でも高い集中力が感じられる。しいて言えば、体を動かすような揺らぎの動作が観られないため、少し固そうに見える点だろうか。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多く観られる始動のタイミングです。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を軽く浮かし地面をなぞるようにして、真っ直ぐから軽くアウトステップ気味に踏み込んで来る。始動~着地までの「間」はとれており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。また、内角でも外角でも幅広く対応したい万能型なのでは? 踏み込んだ前の足も、インパクトの際にはブレずに我慢。そのため逃げてゆく球や低めの球もにも、喰らいつくことができています。この辺も、高校時代は足元も止まらないこともあったのですが、だいぶそのへんは意識してあっているのかもしれません。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」を作るのも自然体で、力みなくボールを呼び込めている。バットの振り出しにもロスはなく、インパクトの時にもヘッドを下がらずに広い面ボールを捉えています。特にスイングの弧が大きいとかフォロースルーを使うのが上手いとかいう感じではないのですが、ボールに角度をつけて飛ばすのは上手いです。特に彼の最大の良さは、振り出しが鋭く潔いスイングができること。この点は、高校時代から一環して素晴らしいです。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げも静かなので、特に目線が動かないところが素晴らしい。体の開きも我慢できていますし、軸足も内もモモの筋肉が強く強烈な打球を生み出す原動力になっています。 (打撃のまとめ) 甘い球がくれば、迷いなく振り下ろしてくる潔さは素晴らしいです。基本的に高校時代とほとんど打撃は変えていない感じですが、どの方向にもスタンドインできる技術に優れています。けしてスラッガーという感じではないのですが、中距離ヒッターとして一定の割合でホームランも狙える素材ではないのでしょうか。 (最後に) 秘めたる能力は、成績的にこんなものではないだろうと言いたいところ。強さもありながら柔軟性も適度にあり、ここぞの時の集中力には守備でも打撃でも目をみはるものがあります。まだまだその資質はプロでも伸びそうですし、上位指名でプロ入りしてゆく選手ではないのでしょうか。左打ちの外野手ということで、何処まで需要がある球団があるかはわかりませんが、プロでレギュラーになって行く選手だとみています。最終学年では、印象的な活躍や突出した成績を見せつけて欲しいところです。 (2021年秋 六大学リーグ戦) |
蛭間 拓哉(浦和学院3年)中堅 174/81 左/左 | |
1年生の頃から、名門・浦和学院で4番を任されてきた 蛭間 拓哉 。けして長距離砲ではないが、長打力を秘めた三拍子そろった好選手だった。もしプロ志望届けを提出していれば、間違いなく指名されるであろう。 走塁面:☆☆☆★ 3.5 甲子園などで計測したときは、一塁までの到達タイムは4.2秒ぐらいと平凡なタイム。しかし夏の南埼玉大会では、6試合で実に9個の盗塁を決めている。秘めたる走力は、それよりはかなり速いのではないかと考えられる。絶対的なスピードではないが、盗塁センスに優れた選手なのかもしれない。 守備面:☆☆☆☆ 4.0 甲子園では、地面すれすれの打球をキャッチしたりと球際に強いところを披露。守備勘・打球への追い方を見ていても、高校生としては安定しているように見える。また地肩も強く、大阪桐蔭戦ではホームにダイレクトに返球した送球には目を見張るものがあった。 下級生の頃は打撃の方が目立っていた印象だが、守備・走塁でもかなりの水準であることをアピール。まさに、三拍子バランスのとれたプレーヤーになってきた。正直この夏見るまでは、ここまで守備や走塁が好い選手だとは思っていなかった。 (打撃内容) 冒頭にも書いたように、迷いなくバットを鋭く振り出してくるところが素晴らしい。内角の球には思いっきり引っ張ってくるし、センターでもレフト方向でも幅広く打ち返すことができる。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスと程よい。打席でもリラックスしつつも、甘い球を逃さない高い集中力が素晴らしい。 <仕掛け> 早め 投手の重心が沈み始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは、対応力を重視したアベレージヒッターに多く見られる仕掛けだ。この選手は長打力あっても、確実性に重きが置かれている。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたい万能型。 踏み込んだ前の足が、インパクトの際に少しブレてしまうときがあります。それほど逃げてゆく球や低めの球には強くなさそうに見えるのですが、甲子園での第一打席に外角低めの球をレフト前にはじき返しており、この点はあまり気にしなくても好いのかもしれません。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、ボールを力みなく呼び込むことができています。バットの振り出しは、特にインサイド・アウトでもなければ、しなりを活かし外角の球を逃さず叩くといった両極端のスイングではなくその中間的なスイング。そのため特別強そうなコースはありませんが、癖がなく幅広く対応できそうです。 スイングの弧が特別大きいとか、フォロースルーをうまく使って打球を運ぶという感じではありません。鋭く力強く振り切って来る、それがこの選手の持ち味です。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 目線の上下動は小さく、錯覚は起こし難いはず。身体の「開き」が我慢しきれないときがあるのは多少気になるが、軸足は内ももの強さが感じられ強烈な打球を生み出す原動力になっている。調子の波は、少ないタイプではないのだろうか。 (打撃のまとめ) ミート力とパンチ力を程よく兼ね備えており、スイングにも癖がなく安心して見ていられる。木製バットへの対応やレベルの差には戸惑うことはあっても、それほど時間をかけずに克服して行けるのではないのだろうか。 特に精神面・集中力が素晴らしく、この点においては今年の候補の中でも指折りの存在。上半身の力がまだ勝っているので、下半身のうまく使えるようになると、相当な打者に育つ可能性を秘めている。 (最後に) 早大進学が濃厚との話だが、高校から志望届けを出せば3位前後では指名されるぐらいの技量はあると思います。2,3年後には、プロでも一軍を意識できるぐらいの選手だと思うので、大学卒業する頃には、今の 吉田 正尚(オリックス) の青学大ぐらいの存在にはなっていて欲しいところ。六大学でどのぐらいの実績を残せるのか、これからも要注目の選手ではないのでしょうか。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2018年夏 甲子園) |