18ky-29
山下 航汰(健大高崎3年)左翼 174/77 右/左 | |
打つことに関しては、間違いなくドラフト級と言えるのが 山下 航汰 。高校通算75本塁打の長打に目を奪われがちだが、実にボールを捉える能力の高さに驚かされる。むしろ体格や打撃の型などを見ていると、天性のスラッガーというよりも中距離打者なのではないのかとさえ思えてくる。イメージ的には、現在の 丸 佳浩(広島)のようなタイプなのだ。 (走塁面) ☆☆★ 2.5 一塁までの塁間は、4.35秒前後。左打者のドラフト候補として0.2秒ぐらい遅い感じがして、けして盗塁をバシバシしてアピールするタイプではないのだろう。それでもチームでは一番を任されていたり、ベースランニングで走る姿を見ていると、中の上ぐらいの脚力はあるのではないかと思えるほど。この一年の間に、ただ打つだけから走塁への意識はだいぶ変化したのではないのだろうか? 守備面:☆☆ 2.0 この脚力を活かし、守備範囲自体はけして狭くない。肩自体もけして悪くないのだが、守備への意欲が低いのか?中継への返球がいい加減だったりして、連携がうまくできていないのは正直気になった。せっかくこの一年で見違えるほどの走塁はよくなっているのに、まだ守備への意識はその程度なのかとガックシしてしまう。守備範囲が狭かろうと肩が弱かろうと、中継にすばやく返球しようとかそういった意識がある選手の方が、トータルではマイナスは少なくて済むのだが・・・。 (打撃内容) 内角の球は強引に巻き込みライナー性の当たりが多く、センターからレフト方向への打球がポ~んと高く打ち上がり大きな飛球となって飛んでゆくタイプ。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足をかなり引いて、グリップを引いて構えます。全身を動かして、自分のリズムを刻みつつリラックスを心がけます。昨年よりも重心を深く屈めている印象で、昨夏の方が背筋をスッと伸ばし自然体で立っていたように思います。そのため全体のバランスとしては昨夏の方が良さそうですが、両眼ではしっかり前を見据えることはできていました。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下るときに動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは対応力を重視した、アベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。確かに当たれば飛ばしますが、本質的には対応力を重視している打者なのではないのでしょうか。そのためこの選手の場合、脆さみたいなものは感じられません。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 開いていた足を戻しつつ、まっすぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分とれており、速球でも変化球でも緩急には幅広く対応。まっすぐ踏み出すように、内角でも外角でも打ちにゆく万能型です。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にも止まってブレません。そのため外に逃げてゆく球や低めの球に対しても、食らいつくことができます。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、速い球に立ち遅れることなくリラックスしてボールを呼び込めています。バットの振り出しは、上からミートポイントまで振り下ろして来るインサイド・アウト。そのため内角の難しい球でも、打球が切れることなくたたけています。バットの先端であるヘッドも下がらないので、スイング軌道にもロスを感じないし、打ち損じも少ないのではないのでしょうか。 インパクトまではロスのないスイングを重視しつつ、インパクトからあとは、大きな弧を描いてフルスイングして来る。この押し込みと後押しこそ、この体格でありながら長打を連発できた理由ではないのだろうか。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げも大きくはなく、目線の上下動も少なめ。体の開きも抑えられており、軸足からも内モモの筋肉の強さが感じられる。そのため打球も、極めて強烈なのだろう。あとは、体が突っ込まないように注意したい。 (打撃のまとめ) ボールを呼び込むまでの形、ボールを見極める眼の良さを持っている。さらに技術的もしっかりしたものを持っており、打撃に関してはドラフト指名される高校生の中でもトップクラスの技量があるのではないのだろうか。 (最後に) あとは、左翼や一塁ぐらいしか守れない守備。そして守備を見ていると、野球への意識・探究心がどの程度あるのかという疑問は残ってしまった。そういった意味では上位指名云々ではリスキーな選手であり、やはり中位~下位指名の素材なのだろう。それでも打撃では、突出した成績を残す才能は持っているのではないのだろうか。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2018年夏 群馬大会) |