土井　克也（唐津商３年）捕手　１８０／７８　右／右

「九州屈指の捕手」

　九州の捕手と言えば、やはり身体能力の高さが売り。そんなポテンシャルの高い捕手が集まった九州地区の中で、今年屈指の存在ではないかと思われるのが、この　土井　克也　。惜しくも佐賀大会の決勝戦で破れてしまって甲子園は逃したが、どのような捕手なのかご紹介してみたい。

（ディフェンス面）

　しっかり指示の出せる、リーダーシップ溢れる捕手。ミットをしっかり投手に示し、的をつけやすくします。一球一球のキャッチングもしっかりしていますし、ワンバウンドするような球にも素早くミットを下から出せていました。捕手にとって一番大切な、ボールが捕れるという部分では、充分にプロ級です。

　残念ながらスローイングに関しては、少々体勢を崩しながらの送球しか観られず参考になるタイムは計測できず。しかし地肩に関しては、基準レベル～それ以上はありそうでスローイングにも、足回りの悪さも元来悪く無さそう。リード面などの細かい部分は、これから上のレベルでじっくり学ぶ必要はあるのでしょうが。捕手としての資質も悪くなく、大きな欠点は無さそう。ディフェンス面は、ドラフト指名されるぐらいの総合力はあるとみました。

（打撃内容）

　打撃では派手な活躍はありませんでしたが、腰がグッと座ったフォームからしっかりしたスイングをしてきます。チームの中軸を任されるように、打撃に弱さを感じさせる選手ではありませんでした。

＜構え＞　☆☆☆★　3.5

　追い込まれる前と追い込まれてからだと、微妙に構えも変わっています。普段は、両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えた強打者スタイル。しかし追いこれる少しクロス気味に構え、グリップの高さも平均的な高さに下げてきます。

　腰が深く沈んだフォームで、全体のバランス・両眼で前を見据える姿勢もクロスに構えて悪くありません。恐らく、身体がかなり柔らかいのではないかと考えられます。打席での集中力もあり、状況に応じて自分に求められているものに応えようという姿勢が感じられます。

＜仕掛け＞　平均～遅め

　普段は投手の重心が沈みきった時に動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者・ポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。追い込まれるとノーステップに変り、ボールをギリギリまで見定めてから動き出す、「遅めの仕掛け」を採用。より狙い球を絞り、その球を叩くように心がけます。

＜足の運び＞　☆☆☆☆　4.0

　足を引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動～着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも幅広く対応したい万能型。

　踏み出した前の足は、インパクトの際にもブレずに止まります。そのため逃げてゆく球や低めの球にも、「開き」を我慢して食らいつくことができます。

＜リストワーク＞　☆☆☆　3.0

　打撃のの準備である「トップ」の形を作るのに力みは感じないのですが、グリップを奥にまで引き込み過ぎるのでヘッドの出がよくないのが気になります。そのためインパクトまでのスイング軌道が遠回りであるので、ボールを捉えるまでの確実性は低いように感じます。

　それでもバットの先端であるヘッドを下げないことで、より広い面でボールを捉えることができます。そのため、打ち損じは少ないタイプかと。ようは、タイミングさえあればしっかり捉えることができ、思いっきりボールを引っ叩くことができています。

＜軸＞　☆☆☆★　3.5

　足の上げ下げ小さく、目線の上下動は少なめ。錯覚を起こすことなく、球筋を追うことができています。身体の「開き」も我慢できており、あとはもう少し軸足が地面から真っ直ぐ伸びて回転できると、軸回転でボールを呼び込んで叩けるようになるのではないのでしょうか。

（打撃のまとめ）

　ちょっと内角寄りの球には、バットの出が悪いのかな？という印象は受けました。それでも右にも左にも打球を飛ばすことができますし、強い打球を生み出すことは出来ています。特に脆いとか粗い印象は受けなかったので、当て勘が悪いということはないと思います。あとは、スイング軌道を修正して行ければと感じます。

（最後に）

　攻守に図抜けた特徴はありませんが、トータルバランスに優れた捕手といった感じがします。そのため両方共に、プロが求める水準に達していると私はみています。ドラフト指名されるとしたら、下位指名～育成ぐらいになってしまうと思いますが、私ならば指名リストに、名前を残してみたいと思わせてくれる好捕手でした。

蔵の印象：☆　（下位指名級）

（２０１８年夏　佐賀大会）