18ky-11
石橋 康太(関東一3年)捕手 180/85 右/右 | |
強肩・強打の捕手という意味では、全国屈指のスケールがある 石橋 康太 。それだけに甲子園に出場し、その存在感を全国に示して頂きたかった。昨夏の、中村 奨成(広陵~広島)級だとまでは言わないが、それに近い活躍を期待できる力があっただけに。 (ディフェンス面) チームの中心選手として、投手の様子がおかしくなればすぐにタイムをかけてマウンドに向かいます。周りにしっかり指示をだし、チームをそして投手を引っ張って行こうという姿勢が明確に感じられました。 大きな体を小さく屈めミット示して下げないので、少しでも投手には的を大きくしつつ、審判にも低めの球筋を見やすくする配慮が感じられます。気になるのは、やはり体ではなく腕だけで捕り行ってしまう雑な一面が残ること。そして低めの球に対し上から被せに行ってしまうことが多く、パッと瞬時に下からグラブが出てこないことがあります。そういった意味では、キャッチングにはまだまだ課題を残します。それでもランナーがいないときは、座ったまま返球しリズムを重視します。しかしランナーが出ると、しっかり立ってボールを返すなど基本的なことはできています。 捕ってから素早い返球ができ、早い時には塁間1.85秒前後で到達します。送球が乱れることもありますが、ドラフト候補としても中の上ぐらいのスローイング能力はありそう。リードはまだまだこれからでしょうが、けして勘に頼っただけのものには感じられません。この選手は強打者ですが、将来的に他のポジションにコンバートするといったタイプではないでしょう。あくまでも「強打の捕手」として勝負してゆく選手だと考えます。また捕手として、ドラフト候補にかかるディフェンス力があると評価できます。 (打撃内容) 昨夏の東東京予選では、4本塁打を放ち長打力を魅せつけました。しかし今年になり、打撃が凄いという迫力は薄れつつあるようです。それだけ捕手として、神経をすり減らすようになってきたのでしょう。 <構え> ☆☆☆ 3.0 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを下げて構えます。腰の据わり、両目で前を見据える姿勢は良いのですが、少しへっぷり腰で全体のバランスはよくありません。昨年は前足を引いて構えていたり、グリップの高さは平均的で構え自体はかなり変わっています。構えは、本人が違和感のない形が良いので、しっくりくるのならば、それで良いと思います。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が下がりきったところから動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた中距離打者やポイントゲッターに多くみられる始動。仕掛け自体は、昨夏と変わっていませんでした。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を引き上げてまわしこみ、ベース側に踏み込んで来るインステップ。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりです。ベース側に踏み込むように、外角を強く意識した打撃をしてきます。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にブレずに止まります。したがって外に逃げてゆく球や低めの球に、食らいつくことができます。その一方で、内角の捌きは窮屈になります。より外角の球を逃さないというメリットはありますが、昨年のように真っ直ぐ踏み出すほうが内角の捌きはしやすかったのではないのでしょうか。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 あらかじめバットは引いて「トップ」に近い位置にグリップはあるのですが、そこからきっちり「トップ」を作ってから振り出して来るわけではありません。したがって打撃の準備である「トップ」を作れないので、どうしてもタイミングが測れずに消化不良なスイングなりがちです。 スイング軌道には癖がありませんし、インパクトの際にもバットの先端であるヘッドは下がらないで綺麗に振りぬけています。けしてフォロースルーを使ってボールを運ぶというタイプではないのですが、大きな弧を描きつつ最後までしっかり振り切れています。 昨年よりは遠心力を使い、少しスイングの弧自体も大きくはなっていると思います。しかし昨年はインサイドアウトだったので、内角の球には強さがありました。しかし今年は外角を重視したスイングになり、そのへんで確実性が弱まった可能性があります。しかし木製バットを想定するのであれば、この夏のスイングのほうが良いのではないかとみています。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げはありますが、目線の上下動は小さく安定しています。体の「開き」も我慢できていますが、軸足の形は並ぐらいでしょうか。昨夏もそうだったのですが、軸足が前に傾いたりして軸回転のスイングに課題を残します。 (打撃のまとめ) 「トップ」をしっかり作れないことで、タイミングをうまく図れないことが多いように感じます。また木製バットでも通用するように、昨年のインサイドアウトの軌道からしなりを生かしたスイングに変わりつつあります。まだそれが自分のものになっていないのか、彼自身には合っていない可能性はあります。 体も強いですし、スイングも速い。うまく巻き込めれば、スタンドインできる長打力もあります。そういった打てる捕手への期待に応えうる素材だと思いますが、現状はまだまだ絶対的な領域には達していない気がします。そういった意味では、打撃でも昨夏の中村 奨成(広島)と比べても、ワンランクは劣るでしょう。 (最後に) 最後の夏に甲子園でアピールできなかったり、打撃内容も絶対的な領域には達していません。捕手としても打力でもドラフト指名圏内の素材だと思いますが、ドラフト上位級かと言われると、そこまでの評価はできないといったところでしょうか。しかし高校からプロに入るべき素材だと思うので、ぜひ志望届けを出して欲しいと願っています。ドラフトでは、3位~5位ぐらいの評価になるのではないかとみています。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2018年夏 東東京大会) |
石橋 康太(関東一2年)捕手 180/88 右/右 | |
私が知る限り、18年度の高校生捕手のなかでも最も大物感漂うのが、この 石橋 康太 。特に旧チームから強豪関東一高の4番を張る強打者で、夏の大会では4本のアーチを架けた。守っても塁間1.85秒前後の送球ができる捕手で、攻守にスケールを感じさせる素材なのだ。 (ディフェンス面) 旧チームでは、背番号13を背負って一塁を守ることが多かった。敗れた夏の二松学舎大付戦では、捕手として出場。とにかく先輩に臆することなく、細かく指示を出す。俺について来い! 的な、叱咤激励タイプの捕手です。 ミットを投手に示し下げないので、投手としては狙いをつけやすい構え。グラブを地面に落とさないので、ワンバウンド処理にも立ち遅れません。また低めの球にも、下からはミットが素早く出ています。ここまでは良いのですが、ハンドリングに自信があるのか? 腕だけ伸ばしてボールを掴みに行ってしまう雑な一面があります。身体で止めようという意識が薄いので、こういった選手はプロだと投手から信頼されない。得てして、打撃を活かしてコンバートされるパターンが多いわけです。けしてカバーリングなどを怠るような、手抜きをしている選手ではないのですが・・・。 二塁までの送球は、1.85秒前後~1.95秒前後でまとめられており、地肩もドラフト候補としても水準以上でしょう。また二松学舎大付戦では、ウエストしていたとはいえ走者の滑り込んで来るところに見事にコントロールされていました。スローイングの形にも、特に悪い癖はありません。どうしても我が強い中心選手の気質から、細かいところまで気がつくとか、投手の気持ちを察するとか、そういった捕手的適性があるかと言われると少し疑問は残ります。その辺どうなのかは、生で今年確認して判断して行きたいポイントです。 (打撃内容) 旧チームから強豪・関東一高の4番を任されているだけあって、スイングが非常に鋭いですし資質に高いものがあります。特に強打者ですが、脆さみたいなものも感じられません。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を引いて立ち、グリップの高さは平均的。腰を少し引いて立ち全体のバランスとしては並ですが、両眼でしっかり前を見据えられているところは良いところ。打席でも強打者の雰囲気があり、存在感のある構えをしています。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が下がりきったところから動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた中距離打者やポイントゲッターに多くみられる始動。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出しきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも打ちたいという万能型。踏み出した前の足も、インパクトの際にしっかり止まっている。そのため「開き」を我慢できており、外に逃げてゆく球や低めの球にも、しっかりついてゆくことができる。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのも自然体で、特に力み無くボールを呼び込めている。振り出しは、インサイド・アウトの軌道でインパクトまで最短距離で出てくるタイプ。またインパクトの瞬間にも、バットの先端であるヘッドが立っており、打ち損じ少なく幅広くボールを捉えられるスイング。 スイングの弧はさほど大きくないが、鋭いヘッドスピードから強烈な打球を連発する。木製バットを意識すると外の球に対しては、もっと遠心力のあるしなりを活かしたスイングが求められるだろうが、高校の間はこの打ち方でも確実性が高く良いのではないのだろうか。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げそれなりにあるものの、目線の上下動は平均的。身体の「開き」は我慢できているが、少し軸足が前にツッコミがち。打ち気が勝って、身体が前に突っ込まないように気をつけたい。軸足の内モモの筋肉には強さが感じられるので、強烈な打球を生み出す原動力になっている。 (打撃のまとめ) 技術的には、非常に基本に忠実なスイングをしている。上半身・下半身の使い方にも癖はなく、高い技術に裏打ちされていた。強烈な打球を生み出す肉体的な資質にも優れ、それでいて当て勘も悪くない。打撃に関しては、すでに2年夏の時点からドラフト指名級の資質を持っているといえるのではないのだろうか。 (最後に) 打つことに関しては、同時期の 中村 奨成(広陵-広島1位)捕手より上かもしれません。ただしフォロースルーを活かしてボールを運ぶタイプの中村に比べると、石橋は遠くに運ぶ資質では劣る可能性はあります。しかし確実性など含め、ボールを捉えるという部分では、それ以上の資質があるかもしれません。 中村の凄かったところは、超高校級の打力に加え、全国屈指のスローイングの持ち主だったということ。そういった部分では、スペック的にディフェンス面では劣る気がします。また走力は、それほど優れたものはありません。やはりこの選手は、強打の捕手として勝負してゆくべき素材だと思います。 ドラフト上位で指名されるかは別にして、現時点では全国の高校生の中でも屈指のスケールを誇る捕手だと言えるのではないのでしょうか。春季大会以後、どのような位置づけになってゆくのか注目されます。 (2017年夏 東東京都大会) |