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野村大樹(早稲田実業3年)三塁手の最終寸評へ







 野村 大樹(早稲田実業2年)捕手 172/81 右/右
 




                      「プロの捕手としては厳しい」





 2年春の選抜では、三塁手として出場していた 野村 大樹 。夏の大会では捕手として出場していたが、将来的にプロの捕手としては厳しいのではないかという気がしている。非凡な打撃センスは認めるものの、彼が高校からプロとなると、三塁手でという評価になるのではないのだろうか。


(ディフェンス面)
 
 片膝を地面につけて、ミットを投手に示して構えます。ランナーがいない時は片膝でも良いのですが、ランナーを背負ってからも片膝の捕球は変わりません。まぁその方が本人が捕球しやすかったり、次の動作に移りやすいのかもしれませんが。

 ミットはブレず捕球できていますし、ワンバウンド処理の際にも下からはミットがでます。しかしこの選手、何か捕手だとワンテンポ反応が鈍い印象があり捕手としてはどうなのかな?という疑問が残ります。

 またスローイングもテイクバックを小さめに素早く投げようとするのですが、よほど地肩の持ち主じゃないと、これではしっかり二塁に送球するのは難しいでしょう。送球で大事なのは、捕ってからしっかり形をつくってから送球するということ。そのうえ塁間2秒以上かかっていますし、コントロールも不安定。そのため捕手としては、上のレベルでは厳しいのではないかと感じます。

 三塁手としては動きも悪くないですし、肩も基準以上。走塁も右打者ながら4.2秒前後(左打者換算で3.95秒前後に相当)と、想像以上に足が速い。そう考えると、貴重な右の三塁手候補という方が、プロ側へのアピールにはなると考えられます。

(打撃内容)

 甘い球を逃さない「鋭さ」を持っており、腕っぷしの強い打者という感じがします。何よりマインドが素晴らしく、チャンスを楽しむことができる選手。清宮は、二世選手ならではのプレッシャーでも平常心でプレーできるタイプ。野村は、プレッシャーを美味しい場面と楽しめる今時めずらしいタイプのギラギラしたものを持っています。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 少しクローズドスタンス気味にし、グリップの高さは平均的も捕手方向に引いて構えます。腰はしっかり据わって良いのですが、かなり全体のバランスとしては癖があります。両眼で前を見据えるという意味では、並ぐらいでしょうか。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは、対応力重視のアベレージヒッターに多く観られる仕掛けです

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を早めに引き上げて回し込み、真っ直ぐから少しベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。真っ直ぐ~アウトステップ気味ということは、内角でも外角でも捌きたいものの、やや内角寄りの球を引っ張ることに意識が強いのかもしれません。踏み込んだ前の足は、インパクトの際に止まって動きません。そのため外に逃げてゆく球や、低めの球にも食らいつくことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 あらかじめグリップを引いて構えているので、打撃の準備である「トップ」の形をつくるまでは早い。そのため、速い球に立ち遅れる心配はない。グリップを下げてから振り出すスタイルなのだが、スイング軌道は少しインパクトまで遠回り。バットの先端であるヘッドは、それほど下がってはいないのだが。どちらかというとボールに角度をつけるというよりも、広い面でボールを捉えようというスイングではないのだろうか。

 インパクト後のスイングの弧は大きく、最後までしっかり振り切って来る。ただしフォロースルーを活かして、打球を運ぶという感じのスイングではない。腕っぷしりの強さを活かし、打球は強烈で甘い球を迷いなく振って来る。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはあるのですが、目線の上下動は静か。身体の「開き」もしっかり我慢できており、軸足の内モモにも強さが感じられます。気になるのは、少しステップが狭いのか? 軸足がスイングの時に窮屈になり後ろにズラして支点を作り直しているということ。その辺で、軸回転のスイングとしてはどうなのかな?という疑問は残る。

(打撃のまとめ)

 技術的には少し癖のある打ち方ではありますが、当て勘も悪くないですし、何より甘い球を逃さない「鋭さ」とプレッシャーを楽しめるマインドは稀な存在だと言えます。内角の球に対してはインサイド・アウト・外角の球に対してはしなり活かしポイントを遅らせて振るなど、スイングを使い分ける高度の技術も持ち合わせている。こと長打にこだわらなければ、現時点でも全国で指折りの技術の持ち主だと言えるのではないのだろうか。

(最後に)

 本人がプロ志望なのかはわからないが、清宮幸太郎 を観続けてきたスカウト達からすれば、この 野村の能力も把握済み。順調に最終学年を過ごし、プロ志向を示せば高校からのプロ入りは現実味を帯びてくる。貴重な右の強打者候補として、中位指名ぐらいでの可能性を秘めた素材ではないのだろうか。この一年どんなものなのか、厳しい目で判断して行きたい。


(2017年夏 東京都予選)










 野村 大樹(早稲田実業2年)三塁 172/80 右/右
 




                     「ギラギラしているのがいい」





 美味しい場面では俺にまわせと言わんがばかりに 清宮幸太郎 の後ろで叫んでいそうなのが、1年学年の 野村 大樹 。昨今の高校生で、こここまでギラギラしている選手を見たことがない。そう、プレッシャーのかかる場面を楽しめる、本物エンターテイナーだ。

走塁面:
☆☆☆★ 3.5 走塁偏差値 56

 一塁までの到達タイムは、右打席から4.2秒前後。これを左打者に換算すると、3.95秒前後に相当する。このタイムをドラフト指名された右打者のタイムで偏差値化すると 56 という数字が出てくる。プロに混ぜても、中の上レベルの脚力があることがわかる。それほど積極的に盗塁を仕掛けて来るわけではないが、ベースランニングなどは想像以上に速い。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 一歩目の反応がよく、広い守備範囲を誇る三塁手。キャッチングやスローイングで時々ポカするときもあるが、動き自体は良いので精度を何処まで高めて行けるか。現時点でも高校生としては上手い部類で、地肩も水準以上のものがある。プロでしっかり鍛えれば、充分三塁手として対応できるのではないのだろうか。





(打撃内容)

 すでに高校生位通算30本塁打以上を記録しているが、長距離打者というよりは勝負強さを売りにするポイントゲッター。特に打席ではクロス気味構えており、センターから右方向へ打ち返す意識が強い。

<構え> 
☆☆ 2.0

 軽くクロス気味に構え、グリップは平均的な高さで身体の近くに添えられている。腰の据わり、両目で前を見据える姿勢、全体のバランスという意味では、完全に一二塁間に向けているので、オーソドックスな構えに比べると癖がある。それだけその方向への打球を、徹底的に意識しているということだろう。

<仕掛け> 早すぎ

 投手の重心が下がり始める前から足を引き上げる「早すぎる仕掛け」を採用。ここまで早いと、投手がモーションでタイミングを狂わして来ることも予想され、バランスを維持するのも難しい。通常は、投手の重心が下がり始めるまでは動かないのが常識とされる。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を早めに引き上げておき、真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でも幅広く対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプで緩急・コース自在に対応する万能型。踏み出した足元はブレないので、外角の球や低めの球にも食らいつくことができる。右方向への打球が多いのも、この足元の踏ん張りが大きい。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形を早めに作り、速い球に立ち後れないようにしている。バットの振り出しは、上からミートポイントまで振り下ろして来るインサイド・アウト。そのため内角の球にも、バットが素直に出てきやすい。それでも外角の球を右方向に打ち返すのが得意であり、あえて少しバットを遠回りにしてポイントを後ろにして打っている印象を受ける。ボールを捉えてからも大きな弧を描き、フォロースルーも使って打球を後押ししている。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはあるが、比較的静かなので上下動も並で悲観することはない。身体の開きも我慢できており、軸足の安定感も悪くない。調子の並の少ない、打者なのではないのだろうか。

(打撃のまとめ)

 緩急、コースに対応しうるスイングであり、スイングもインサイド・アウトでありながら、外角の球もきっちり叩けるスイングができている。そういった意味では、極めて万能型の打者だと言えよう。ただしこういったタイプは、自分の得意ゾーンも少なく、天性の長距離打者になれるか?と言われたら疑問が残る。


(最後に)

 清宮幸太郎 のような天性のスラッガーでもなく、体格にも恵まれていないことを考えると、ドラフトでの位置付けは見えて来ない。ただし右打者でありながら、守備力・走力もそこそこある上での、極めて高い技術を持っている。また最近は、元々のポジションである捕手にも取り組み、新たな魅力を示してくれるかもしれない。

 マインド的にも、まさに高校からプロに行って欲しい稀な選手。今度どうなってゆくのかは読み難いが、現時点での力でも志望届けを提出すれば、ドラフトされる選手であるのは間違いない。来夏までに、どのぐらい凄みをましてゆくのか注目したい。


(2017年 選抜)