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平井 快青(巨人)投手のルーキー回顧へ







 平井 快青(岐阜第一3年)投手 184/76 右/右
 




 「将来性は高そう」





 今年の岐阜の高校生のなかでも、その将来性が最も期待されているのが、この 平井 快青 。まだまだ荒っぽい素材ではあるが、長身から繰り出される角度のある速球と落差の大きなフォークボールに可能性を感じさせてくれた素材だった。


(投球内容)

 ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んでくる。腕を真上から叩きつけてくるので、角度のある投球が持ち味。

ストレート 常時140キロ前後は 
☆☆☆ 3.0

 夏前までの最速は142キロ程度と聞いていたが、夏の岐阜大会を見る限り、コンスタントに140キロ前後は出ていそうな勢いがあった。ただしストレートは高めに抜けてしまうことが多く、コントロールという意味ではかなりアバウト。逆に真ん中~低めに来るストレートはかなり抑え気味なため、捉えられてしまうことも少なくなかった。

変化球 フォーク・スライダーなど 
☆☆☆ 3.0

 カウントを稼ぐ球が速球がほとんどで、スライダーの精度・頻度は低いと言わざるえないのだろう。しかし追い込んでからは、真上から投げおろして来るフォームで、すでに極めて落差のあるフォークを投げられる。この球は、見極められることは少なくく空振りを誘えることが多い。もう少し精度が上がってくると、手がつけられなくなる可能性がある。

そのほか

 クィックは、1.05秒前後とまずまず。牽制もそれなりに鋭く、大型でも動作に緩慢さはない。

(投球のまとめ)

 ストレートの勢いとフォークの落差には見るべきものがあるが、コントロールに大きな課題を残している。そのため現状は、ボールの力で押すリリーフ向きなのかもしれない。何かスライダーでもカットボールでも良いのだが、簡単にカウントを整えられる球種を覚えられると、全然投球内容は変わってきそう。スペックは高そうで、速球の球速もフォークの精度も伸び代を残している。


(投球フォーム)

 ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んでくる。今後の可能性を探る意味でも、フォーム分析をしてみたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばされてはいるのだが、二塁側に送りこんでいるのでお尻はバッテリーライン上に残ってしまっている。そのため体を捻り出すスペースとしては甘さを残しているものの、全く落とせていないわけではない。そういった意味では、カーブやフォークといった球種を投げられないフォームではないのだろう。

 前への足はうまく逃しており、体を捻り出す時間はそれなり。そういった意味では、カーブやフォークに適しているかは別にして、将来的に曲がりの大きな変化球を習得できる可能性は秘めているし、すでにフォークの落差は一級品。

<ボールの支配> 
☆★ 1.5

 グラブが抱えられているように見えて、最後は後ろで解けてしまいがち。そのため外に逃げようとする力を内に押さえ込めず、両サイドのコントロールもブレやすい。また足の甲での地面への押しつけも浅く、ボールが上吊りやすい。「球持ち」も浅く、ボールを押し込むことが充分できておらず、細かいコントロールもつけにくい。

<故障のリスク> 
☆☆★ 2.5

 お尻の落としに甘さは残しフォークを結構投げるので、窮屈になりがちなのは否定できない。それでも全く落とせていない選手ではないので、その頻度を少なめにすれば肘への負担は悲観しなくても良いのでは。

 むしろ問題なのは、腕を真上から振り下ろすフォームで肩への負担が大きいこと。この角度こそ彼の売りなので、ここをいじってしまうと持ち味を損ないかねない。そのため今後は、充分に体のケアに注意して肩への負担を軽減してもらいたい。また力投派でもあるので、疲れをタメやすいので注意したい。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは適度にとれているので、打者としては合せにくいのではないのだろうか。また球の出処も見やすいというほどでもないので、コントロールが甘くならなければ捉えられにくいと考えられる。
 
 振り下ろした腕がもっと体に絡んで来るような強さと粘りが欲しく、このへんがもっと良くなるとフォークで空振りを誘いやすくなるはず。ボールにしっかり体重が乗せられてからリリースできているわけではないので、このへんが良くなると更に打者の手元まで活きた球がゆくようになりそうだ。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」にもう少し粘りが欲しいところ。故障のリスクが高く、制球に不安があるタイプだけに、かなりリスキーな素材であることは否めない。


(最後に)

 プロ入りの「旬」かと言われれば、NO.と言わざるえないのだが、スペック高い素材型だけに長所を引き出させられる自信がある球団ならば、育成枠あたりで指名があっても不思議ではない。常識的には確かな実績を残してからでもプロ入りを考えるのは遅くないと言いたいところだが、実戦派ではないだけに進む環境次第ではアマでも埋もれてしまって終わってしまうかもしれない。プロからの話があるのならば、育成枠でも一か八かを賭けてみても良いのではと思える部分はある。ただし私が担当ならば、ちょっと現時点では手を出すのには怖いなという印象で、指名リストに名前を載せることはためらってしまうだろう。


(2018年夏 岐阜大会)