18kp-21


 




土居 豪人(ロッテ)投手のルーキー回顧へ







土居 豪人(松山聖陵3年)投手 191/84  右/右 





「緒戦で敗戦」 





 選抜では、アドゥワ誠(広島)の後輩として注目された 土居 豪人 。 シード校で挑んだ夏は、一回戦を勝ち上がってきた新田高校とぶつかり、緒戦で姿を消した。選抜以後、股関節痛に悩まされたという土居。この試合では5回2/3イニングを投げて11安打・8失点で降板。投げていても、リズムに乗り切れず終始険しい表情だった。


(投球内容)

 ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。ゆったりと、足を引き上げて来る長身投手。

ストレート 135~141キロ 
☆☆★ 2.5

 選抜ではコンスタントに140キロ台を記録し、最速で147キロまで記録。しかしこの試合では、135~MAXで141キロ程度と5キロ以上遅かった。それでも角度のある球筋で、ボールの勢いもそれなり。気になるのは調整不足だったのか? コントロールのバラツキが顕著だったところ。この試合では、5回2/3イニングで4四死球を出している。また選抜のときにも触れたように、苦になく合わされてしまうところがある。そのへんは、5回2/3イニングで11安打を打たれており改善されていたとは言えないだろう。

変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップ・フォーク 
☆☆☆ 3.0

 なんとか相手に的を絞らせないと、緩いカーブを多めに混ぜていた。しかしそういった球が曲がりきらず、ボールになることが多かった。それほどこの投手は、スライダーを多くは投げて来ない。むしろカウントを整えるのは、チェンジアップ系の球が中心。さらに、追い込むとフォークのような縦の変化球で空振りを誘う。まだフォークも発展途上ではあるが、将来的にはこの球が大きな武器となりそうだ。

その他

 クィックは1.05秒前後とまずまずで、牽制を入れるタイミングはうまい。フィールディングの動きも、大型でも緩慢ではけしてない。結構、身体能力が高い選手なのではないのだろうか。

(投球のまとめ)

 選抜のマウンドが10だとすれば、6,7割り程度のできだった。そのため夏はこの試合だけであり、春より評価を上げる球団は殆どなかったのではないのだろうか。選抜の投球でリストに入れていた球団が、夏の内容で切ってしまったのも多かったのではないのだろうか。だからこそ、本会議の最後の方である8位指名まで残っていたとも言える。


(投球内容)

 選抜から何か大きな変化があったようには見えないが、再度フォーム分析をして考えてみたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の一塁側への落としに甘さは残すものの、適度には落とすことができています。そういった意味では、カーブやフォークのような捻り出して投げる球を投げても、無理はありません。

 「着地」までの粘りも、淡白すぎることはなく平均的。身体を捻り出す時間はまだ充分とは言えませんが、将来的にもっと粘れるようになると、変化球のキレや曲がりに特徴が出てくるかもしれません。ほとんどこの辺の動作は、選抜時と変わっていませんでした。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブの抱えも、少し後ろに解けがちなものの比較的身体の近くにはあります。そのため、両サイドの投げ分けも適度にできています。

 足の甲での地面への押しつけは、春より早くから地面を押し付けられていたように見えます。「球持ち」は並ぐらいなので、もう少し長く持って指先の感覚が磨かれると、安定したコントロールもゆくようになるのではないのでしょうか。逆に足の甲の押しつけを意識しすぎて、股関節を痛めてしまったのではないかと心配にはなります。

<故障のリスク> 
☆☆★ 2.5

 お尻はある程度落とせているので、カーブやフォークを投げても窮屈になりすぎることはありません。そのため肘への負担は、さほど大きくはないと考えられます。

 気になるのは角度を活かすために、腕の送り出しに無理が感じられるということ。グラブを持った肩は下がり、ボールを持った肩が上がっているフォームなので、肩へのケアには充分配慮して欲しいところ。それほど力投派ではないので、疲れは貯め難くフォームを崩す心配は少ないのではないのでしょうか。

<フィニッシュ> 
☆☆★ 2.5

 「着地までの粘りは平均的で、球の出どころも並ぐらい。春よりは、ボールが見やすくなっているようには感じました。少なくても、打者にとっては、苦になるフォームではないようです。

 また振り下ろした腕が体に絡まないなど、長い腕でも粘りがなかったのは気になります。選抜ではそんなことはなかったと思うので、この辺が乗り切れった要因かもしれません。ボールへの体重の乗せも、まだリリース時まで充分に我慢できているとは言えず発展途上だと言えるでしょう。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である、「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、どれか極端に悪いところもないのですが良いところもありません。まだまだ全てが粘り強くなって良くなる可能性はありますが、現状は中途半端とも言えます。

 振り下ろす腕の角度に無理があるので、肩への負担が大きいのが心配。制球を司る動作自体は元来悪くはないので、状態が回復すればそこまで悪くはないでしょう。もう少し各動作の甘さを追求し良くなれば、もっと変化球にも切れや曲がりの鋭さが出てくるのではないのでしょうか。現状は、発展途上でありまだまだです。しかし意識と努力次第では、よくなれる土台ではあると思います。


(最後に)

 選抜に比べ、良くなった様子は少なく悪かったと言う部分ばかりです。しかしこれは、成長段階中での伸び悩みの期間という見方もでき、そこまで悲観することはないのではないのでしょうか。選抜で魅せた内容が、彼の本来の姿。そこから、今後上積みが期待できると考えれば、指名リストに名前を残そうと思いました。大型選手で時間はかかると思いますが、筋の良い投手だけに将来が楽しみ。そういった意味では、あまり夏の内容を気にする必要はないと私はみています。そのため評価としては、選抜の時と据え置きのままにします。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2018年夏 愛媛大会)








土居 豪人(松山聖陵3年)投手 189/80 右/右 
 




                      「意外に器用」





 一学年上には、アドゥワ誠(広島)投手がいて、彼同様に190センチ近い長身でありながら、意外に小器用なところがあったり、投手としてのセンスがかんじられるの 土居 豪人 。しかしそれでも選抜緒戦の近江戦では、5回2/3イニングで11安打を浴び・8失点を献上し惨敗している。その理由について、今回は考えてみた。


(投球内容)

ランナーがいなくても、セットポジションから静かに足を引き上げて来る先発タイプ。

ストレート 常時140キロ台~MAX147キロ 
☆☆☆ 3.0

 長身から繰り出されるストレートには角度を感じさせ、ビシッとミットに突き刺さる勢い・球威も悪くない。それほど細かいコントロールがあるわけではないが、真ん中近辺に甘く入ってくることはなく、適度にボールは外へ外へと散っている。その割に苦になく合わされてしまうところに、彼の課題があるようだ。

変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップ・フォークなど 
☆☆☆ 3.0

 緩いカーブとのコンビネーションで投球を組み立て、縦横のスライダーもあるが、割合は少ない。他にもチェンジアップやフォークなどもあり、球種は多彩だと言える。一つ一つの曲がり・変化も思ったほど悪くはないが、緩いカーブを狙い打たれたり、空振りを狙って奪えるほどの絶対的な球は見当たらない。あくまでも、相手の的を絞らせないための変化球といった印象が残る。

その他

 牽制やフィールディングも上手いわけではないが、破綻がない程度には動けている。クィックは1.1秒台で投げ込めるなど、大型でも投げ遅れる心配はない。ランナーを背負ってからは、長くボールを持つこともあり、投球センスも悪くない。ただし打たれる時は、ポポポ~ンと連打を食らうので、こういったときに間を外すとか、ボールを長く持つことなどを実践できる精神的余裕を持ちたい。

(投球のまとめ)

 一冬越えて、ストレートもだいぶビシッとした球が投げられるようになってきました。まだまだ素材型の域は脱していませんが、力でねじ伏せるといった投球は目指していません。あくまでもストレートを見せつつも、多彩な変化球とのコンビネーションで打ち取るタイプ。そういった投球を、いかに全国レベルの相手にできるかではないのでしょうか。


(投球フォーム)

今度は投球フォームの観点から、彼の将来性について考えてゆきたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の一塁側への落としに甘さは残すものの、適度には落とすことができています。そういった意味では、カーブやフォークのような捻り出して投げる球を投げても、無理はありません。

 「着地」までの粘りも、淡白すぎることはなく平均的。身体を捻り出す時間はまだ充分とは言えませんが、将来的にもっと粘れるようになると、変化球のキレや曲がりに特徴が出てくるかもしれません。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブの抱えも、少し後ろに解けがちなものの比較的身体の近くにはあります。そのため、両サイドの投げ分けも適度にできています。足の甲での地面への押しつけも、少し完全に押し付けるまでに遅い気はしますが、フィニッシュのところではおさえられています。そのためボールは、高めには抜けません。「球持ち」は並ぐらいなので、もう少し長く持って指先の感覚が磨かれると、安定したコントロールもゆくようになるのではないのでしょうか。

<故障のリスク> 
☆☆★ 2.5

お尻はある程度落とせているので、カーブやフォークを投げても窮屈になりすぎることはありません。そのため肘への負担は、さほど大きくはないと考えられます。

気になるのは角度を活かすために、腕の送り出しに多少の無理が感じられるということ。グラブを持った肩は下がり、ボールを持った肩が上がっているフォームなので、肩へのケアには充分配慮して欲しいところ。それほど力投派ではないので、疲れは貯め難くフォームを崩す心配は少ないのではないのでしょうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りもソコソコですし、身体の「開き」も早すぎることはありません。ましてこの角度ですから、どうしてもここまで高校生相手に連打を食らったのかよくわかりません。

 腕は振れて勢いはあるので、空振りを誘えるだけの下地はあります。ボールへの体重の乗せ具合は発展途上ですが、将来的に乗せられる可能性を感じます。この辺の体重移動をものにできると、もっと手元まで球威のある球が投げられるようになりそうです。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、いずれも大きな欠点はないかわり良い部分もありません。それだけまだ発展途上であり、これから良くなる余地があります。

 腕の送り出しに無理を感じるので肩への負担が心配なのと、今後武器になる変化球を習得できるかはまだ見えてきません。コントロールを司る動作自体は悪くないので、身体ができてくると安定してくる可能性は感じます。良くなる下地はあるので、あとは本人の意識とトレーニング次第でグングン良くなれるかもしれません。


(最後に)

 大型の割にセンスもありますし、もっともっと良くなる可能性を秘めています。そういった意味では、昨年の アドゥワ誠(広島)とよく似たタイプ投手ではないのでしょうか。彼同様に、精神的にも大きなムラは感じませんし、時間をかければ面白い素材だと思います。

 現状は下位指名レベルだと思いますが、夏までにワンランク成長を実感できれば、中位指名ぐらいまで引き上がってきても不思議ではありません。じっくりと高校生を育ててみたいという球団にとっては、面白い素材ではないのでしょうか。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2018年 選抜)