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頓宮 裕真(亜細亜大)捕手&一塁 181/97 右/右 (岡山理大付出身) | |
捉えた時の破壊力は、今年のアマチュア球界でもNO.1ではないかと思われる 頓宮 裕真(亜細亜大)捕手 。この秋は捕手として出場し、そのプレーぶりもたいぶ板についてきた。またマスクを被ると打てなくなると言われていたが、この秋は5本塁打を放つとインパクトは大きかった。 (ディフェンス面) 大型の割に身体を小さく屈めて構え、捕ったら座ったまま素早く返球しリズムを大切にします。特にキャッチングはうまくはありませんが、下手というほどでもありません。けしてフットワークが機敏で足回りの良い選手ではありませんが、ベースカバーも怠らないで走れていました。まぁランナーがいても座ったまま返球したりと雑なところは見え隠れしますが、プロの捕手として考えたことはないのでそのへんはご愛嬌。何より打席に入るときには、ラインの存在など全く気にしないで踏んできますし、繊細さの「せ」の字も感じさせません。まさに良い意味で鈍感力のある、「強打者」らしい強打者といった感じがします。 春は、二塁ベース前で失速したり逸れたりとスローイングは全然でした。しかしこの秋は、だいぶ落ち着いて送球ができるようになり、セカンドベース付近でも勢いが落ちなくなくなりました。プロで捕手として育てるのかと言われるとどうかと思いますが、緊急時にマスクを被る、そういったことはできると思います。ただしこの選手動ける選手ではないので、他のポジションをやるとしても一塁ぐらいなのでは?という気がします。それを覚悟の上で指名するという球団ならば、今年屈指のスラッガーでもあるので充分ありだと考えます。 (打撃内容) この秋の成績は、13試合 5本 12打点 2盗塁 打率.190厘 といった成績に。この秋放った8本のヒットのうち、実に5本が本塁打という脅威の長打力を示しました。ちなみに春のシーズンは、13試合 5本 15打点 打率.267厘 。なんとこの一年だけで、10本 のホームランを量産しました。ちなみに3年時には、.386厘と.313厘 を春・秋のシーズンで残すなど、全く対応力が低いわけでもありません。そこで春の寸評ではフォーム分析をしているので、今回は秋の成績から今後の可能性について考えてみます。 1,三振比率は20%以内 △ 42打数で三振12個、三振比率は 28.6% と高めになってしまっています。ちなみに4年間の平均では、22.1% とそこまで高くはありません。大学生レベルで20%を越えるようなコンタクト能力だと、プロでは相当当たらないだろうなとは思います。しかし彼のような強打者タイプは、三振を恐れてもいけないと思うので、この数字も許容範囲だと思います。 2,四死球比率は15%以上 ◎ 一方そのぶん強打者の証として、四死球率は 26.2%と破格です。通算でも 17.6% ですから、この秋は特にマークが厳しかったことが想像できます。まぁ彼の場合、眼が本当に好いのかは微妙で、相手へのプレッシャーから無理には勝負して来なかったということも大きいのではないのでしょうか。四死球率が高いからイコール、ボールを見極める眼が好いのかは、彼の場合どうでしょうか? 3,1シーズンのホームラン数は ◎ 42打数で5本塁打なので、これをプロのレギュラー選手並の500打数で換算すると、1シーズン 60本ペースで本塁打していたことがわかります。通算では29本ペースというので、そこまで破格ではありません。しかしこの一年でのペースは、いかに破格だったのかおわかりでしょうか。 (成績からわかること) まだまだ脆い部分はあるのですが、ボールを飛ばせるコツを今年掴んだのかもしれません。プロで長打力を発揮するまでにはアジャ井上(ロッテ)で5年、山川穂高(西武)で4年ぐらいかかっているので、頓宮もそのぐらいのスパンは我慢する必要がありそうです。 (最後に) だいぶ捕手らしくはなってきたのですが、やはりプロでレギュラー捕手を務めているイメージがわきません。そういったことを考えると、この打力を生かしてコンバートされる。しかしそのポジションも、捕手以外だと一塁かDHぐらいしか考え難いものがあります。それでも和製大砲が欲しいという事情だから2位指で名したのだと思うので、ぜひ忍耐強く育てて行って欲しいと思います。 また亜大でもキャプテンを務めていたように、強打者に必要な気持ちの強さがあります。そういう攻撃的な性格も、この選手は買いたいところです。アジャ井上が優しすぎる性格が不安でしたし、逆に山川の場合は意識の部分でどうだろうかなという不安がありましたが、そういった精神面での不安はありません。多少は時間がかかっても、いつかは出てくるだろうという気がします。この破格の飛距離と強い精神性にも期待して、春よりワンランク引き上げて最終評価とさせて頂きます。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2018年 秋季リーグ戦) |
頓宮 裕真(亜細亜大4年)捕手 182/98 右/右 (岡山理大付出身) |
「エグい!」 野球経験者が好んで使うこの言葉を、私は滅多に使わない。実際アマの打球で、そんなにエグいと思うようなものに出会うことがないからだ。しかしこの頓宮の試合を見るたび、まさにエグい打球を連発する。アマで、これだけこういった当たりを飛ばす選手を私は今まであまり記憶がない。 (ディフェンス面) この春のリーグ戦序盤までは、一塁手としての出場が多かった。しかしシーズン中盤以降は、捕手としての出番も増えてきた。今回は、捕手としてプレーを細かく観てみたい。 チームのキャプテンらしく、内外野にしっかり指示が出せるリーダーシップ溢れる捕手。キャッチングは重心を低く落としながらミットを動かさないで捕球できるなど、けして下手ではない(微妙にフレーミングも)する。リードは、結構内角を突く強気な一面も魅せるし、打球への反応も、思ったほどは鈍くなかった。 しかし気になるのは、ランナーがいても座ったまま返球したり、キャッチャーフライを落としたりもして経験不足も否めない。スローイングは以前ほど捕ってから焦って投げようという感じではなく、時間がかかってでも正確に送球しようとする意志が感じられ、コントロールはだいぶ改善。1.9秒台~2.05秒ぐらいの送球はできている。ただしベース板を通過するときにボールが失速するなど、プロの捕手としては物足りない。プロでは緊急時に守るぐらいはできると思うが、捕手でレギュラーをというのは考え難い。プロ入り後は、一塁などにコンバートを前提にこの選手は考えた方がいいだろう。 (打撃内容) 3年春には、打率.386厘をマークし、粗っぽいイメージをだいぶ解消できていた。また3年秋も.313厘を残す。しかしこの選手、マスクをかぶるとそちらに気が取られて打撃影響してしまうのだという。そのため一塁で出場していた頃は結構打率も良かったのだが、最終的には今シーズンも 13試合 5本 15点 打率.267厘 まで落としてしまったのである。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えます。腰はそれほど深く据わっていませんが、背筋を伸ばし両目でも前を見据えられバランスも悪くありません。打席ではリラックスして立てていますし、投手としては威圧感を感じる構えであるように思います。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。これは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足をそれほど引き上げず回し込んで、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプかと。 踏み込んだ前の足が、早く地面から離れるタイプ。すなわち打球は、センターからレフト方向への引っ張りが中心になります。その分外角に逃げてゆく球や、低めへの対応には弱さがあると考えられます。引っ張り込める球を、思いっきり振り切るというのが、この選手のスタイルなのでは? <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れていて、速い球に立ち遅れる心配はありません。バットの振り出しにも、それほど大きなロスは感じません。どちらかというとバットのしなりを活かしたスイングなので、甘めの外角球あたりを捉えるのが一番得意なのではないかと。逆に内角の厳しい球を捌くには、少しバットが遠回りに出てくる感じはします。また足元もブレるので外角の厳しい球も厳しく、打てるコースの幅は真ん中近辺と狭い可能性があります。 スイングもしなりを活かした大きな弧では振れているものの、フォロースルーなどを使ってボールを運ぶというよりも、腕っぷしの強さを生かして強く振り切る感じです。これでも本塁打を連発できるのは、よほど身体強いのだと考えられます。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。身体の「開き」を我慢できないのは気になりますが、軸足の内モモの筋肉は強く発達しており、強烈な打球を生み出せる原動力になっています。 (打撃のまとめ) 下級生のときのようなガチガチに力が入ってという感じではなく、非常にリラックスした感じでボールを呼び込めていることは良いこと。しかし捌けるコースは真ん中近辺であり、打球も引っ張りを中心であり右方向におっつけるという中途半端な打撃はしてきません。スイング的には、それほどホームランを狙っているようなスイングではありません。このへんはプロで何かを掴むと、全然変わって来るとは思うのですが。 (最後に) プロの捕手としてみるのは、正直キツイところです。一塁までの塁間は、4.55秒前後(左打者換算で4.3秒に相当)と、チームの中では中の下から下の上ぐらいでしょうか? それでも2盗塁ぐらい決めるシーズンも多いので、走塁意識が低いわけではないようです。ただしプロで一塁はともかく、他のポジションが担えるかは微妙です。 そう考えると、DHのあるパ・リーグ向きの選手ではないのでしょうか。一塁でもDHでも構わないので、和製大砲候補が欲しいという球団が、食指を伸ばすのではないのでしょうか。アマ屈指の打球を放つ選手ではありますが、ドラフトでは中位~下位に収まるのではないかとみています。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2018年 春季リーグ戦) |