18dy-6
辰己 涼介(立命館大4年)中堅 180/72 右/左 (社出身) | |
今年のドラフト候補の野手の中でも、持ち得るポテンシャルはNO.1ではないかと言ってきた 辰己 涼介 。しかしその能力を、まだまだ出し惜しんでいるのではないかという物足りなさが春までは残っていた。そんな中、ラストシーズンとなる4年秋に、ようやく本気になってきたのかなと思えるシーズンとなった。 走塁面:☆☆☆☆ 4.0 塁間3.9秒台でプロでも上位クラスの脚力を持ちながら、3年秋は1個、4年春の盗塁数は0個だった。しかし4年秋には、7盗塁を記録。まだプロに混ぜると絶対的な走力ではなく、走塁技術としては課題が残る。それでも確かな脚力はあるので、走塁を意識を高めれば、プロでも相当な盗塁を記録できるようになるのではないのだろうか。 守備面:☆☆☆☆★ 4.5 純粋に守備に関しては、プロに混ぜてもうまいと言えます。打球への反応・落下点までの入り、キャッチング含めて高いレベルでまとまっている。球際でも強く、送球も一級品の。プロでもトップクラスで、地面をスレスレで伸びてくるレーザービームも期待できるだろう。こと守備に関しては、ゴールデングラブを取れる選手になれるのではないのだろうか。 (打撃内容) 大学ジャパンのキャプテンとして挑んだ、日米野球は2割5分といまいち。しかし続くハーレム大会では、.455厘と大活躍した。また秋のリーグ戦では、打率.375厘で初の首位打者を獲得している。それまでの辰己といえば、下級生の時から日本代表だったのにも関わらず、リーグ戦での成績は物足りなかった。その点では、最終学年ではリーグ戦でも素晴らしい成績を残している。 すでに春の寸評で技術的には分析しているので、成績から考えてみよう。まず4年秋の成績は 12試合 1本 5打点 7盗塁 打率.375厘 この数字をもう少し詳しくみてみると、 1,三振比率は、15%以内 ◎ 48打数で三振は僅か2個であり、三振比率は4.2% 。それだけ振ったバットが、ボールを捉える確率が高いということ。この数字はアマでも驚異的で、4年間での通算でも 15.4% とかなり優秀だった。特に4年秋は、突出していたことがわかる。 2,四死球比率は15%以上 △ 48打数で四死球は4個であり、四死球比率は8.3%と平凡。4年間でも、8.0% とそれほど高くない。おそらくこれは、ボールを見極める眼が平凡だからではなく、むしろ追い込まれても当てることができて、結果として四死球が少なくなってしまっているからではないのだろうか。 3.盗塁はシーズンとうして ◯ 48打数で7盗塁ということは、プロのレギュラー打者並の500打数で換算すると、1シーズン73個ペースで走っていることになる。単純にプロの肩・クィック技術を考えると当てはめることはできないが、この数字はかなりのもの。勇気を持って盗塁に挑めば、一年目からでも二桁盗塁は充分期待できそうだ。特に性格的には、イケイケの攻撃的なところがあるだけに、やる気になれば積極的に走ってくるものと思われる。 (成績からわかること) サンプルとしては乏しいのだが、やはりバットにボールを当てる能力は図抜けていることがわかる。 (最後に) またこの選手、関西人特有の明るいキャラで、チームの空気を変えてくれるキャクターなのも推したい材料。三拍子極めて高い能力を秘めており、プロでも、首位打者争い・盗塁王争い・ゴールデングラブの常連などは近い将来期待できるのではないのか。ただし30本打てるほどの長打力があるかは疑問だが、3割・20本・30盗塁 は、期待しても良い素材ではないのだろうか。いずれは、球界を代表する野手の一人になれるのではないかとみている。評価も才能の片鱗を示してくれたので、春よりもワンランク引き上げて最終評価としてみたい。 蔵の評価:☆☆☆☆ (1位指名級) (2018年 秋季リーグ戦) |
辰己 涼介(立命館大3年)中堅 178/68 右/左 (社出身) |
「ポテンシャルは凄いが」 持ち得るポテンシャルは、今年のドラフト候補の中でも野手では屈指なのではないかと思われる 辰己 涼介 。1年春に.367厘の好成績を残したものの、以後は3割前後の打率しか残せておらず物足りなさが残っていた。しかし今春のリーグ戦では、自己最高の打率.429厘(3位)と、その能力にふさわしい成績を初めて残してくれた。 走塁面:☆☆☆☆ 4.0 一塁までの到達タイムは、4.1秒~3.9秒ぐらいであることが多い。プロでも俊足レベルの脚力の割には、リーグ戦での盗塁は1,2個と少ない。今春のリーグ戦では、0盗塁。基本的に、走力で揺さぶって来るようなプレーは期待できない。プロで自分をアピールする必要性に迫られたとき、初めて足というものを見つめ直すのかもしれないが・・・。現状は俊足でも、盗塁を期待できるプレーはしていない。 守備面:☆☆☆☆★ 4.5 中堅手としては、打球への反応・落下点までの入り、キャッチング含めて高いレベルでまとまっている。球際でも強くく、返球も一級品の。プロでもトップクラスの、レーザービームの返球を期待できる。こと守備に関しては、プロでも即通用するレベルにあるのではないのだろうか。 (打撃内容) リーグ戦での本塁打は、0~2本ぐらいと驚くほどではない。たまにツボにハマればスタンドインできるパンチ力があり、国際大会でも活躍してきたように、速くて強い外国人の球にも力負けしない。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスなど程よい。とくに威圧感を感じさせることはないが、打席でもリラックスできているところは良いところ。下級生の時のような、線の細さからくる違和感はなくなりつつある。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下る途中で動き出す、「早めの仕掛け」を採用。早めに動き出す、アベレージヒッターに多く観られる始動。このへんは、下級生のときから変わっていない。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足をあげて回し込み、軽くベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はとれており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。アウトステップするように、やや内角寄りへの意識が強いようだ。 特に踏み込んだ足元が早く地面から離れることも多く、引っ張り重視の打撃をすることも少なくない。流すことも充分可能だが、大学選手権の国際武道大戦では内角を攻められて、ことごとく引っ張って内野ゴロに仕留められている。地面から早く足が離れたり、アウトステップ気味に踏み込むことからも、外角に逃げてゆく球や低めの球に対してはあまり強くないのではないかという気もする。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体で、力みがないところは良いところ。それに「トップ」を深くとって、ボールを手元まで引きつけてから叩けていいるのは変わりない。 バットの振り出しは、以前よりも上から叩く意識は薄れているが、大きなロスは感じない。肘をうまく畳んで振れているし、バットの先端であるヘッドが下ることなく、大きな弧を描いて振り切れている。どちらかというと、真ん中~内角寄りの球を引っ張って巻き込むのが好きなのだろうという気がする。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 ボールを捉えるまでの、目線の上下動は並ぐらい。身体の「開き」が完全に抑え込めているというわけではないが、軸足を起点にキレイな回転でスイングできている。 (打撃のまとめ) 以前よりも、スイングの弧が大きくなり、よりプロ仕様のスイングになりつつある。技術的にはそれほど大きくは変わっていないが、まだまだ持ち得る能力を充分に出し切れているとは言い難い。これからレベルの高い世界に混ざることで、どんどん秘めたる才能が引き出されてゆくのではないのだろうか。 (最後に) まだまだこの選手、本当の意味で追い込んで野球をやっていないという気がするのだ。良く言えば余力や伸び代を秘めている、悪く言えばモチベーション上がらないとダメだということ。それだけに、入る環境によってかなり未来が変わってくるように感じる。トリプルスリーも狙える素材だとも言われるが、実際そこまでの長打力があるのかは疑問。しかしプロでも、毎年3割を残すような能力は充分にあるように思う。本気になったならば、3割・20本・30盗塁 ぐらいは、期待したくなる素材ではないのだろうか。ドラフトでは、ハズレ1位~2位以内には指名されるだろうとみている。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2018年 大学選手権) |
辰己 涼介(立命館大3年)外野 180/70 右/左 (社出身) |
「モノの違いを魅せて欲しい」 1年春からリーグ戦に出場し、2年春から全日本代表にも選出された天才肌。しかしその圧倒的な能力の割に、リーグ戦で残している成績は平凡。これだけの才能があるのならば、もっとやれて良いはずなのだが ・・・ 。 最終学年では、突出した成績にこだわって欲しい。 (守備・走塁面) 一塁までの塁間は、3.9~4.1秒ぐらいで走り抜けることが多い。走力もプロで売りにできるぐらいの可能性はあるのだが、リーグ戦では3年春に記録した6盗塁が最高。現状、それほど走塁意識は高くない。 中堅手としては、打球への反応・落下点までの入り、キャッチング含めて悪くない。球際で強いだけでなく、返球も一級品のものを持っている。むしろ現時点では、走力よりも守備力の方が目立っているのではないのだろうか。 (打撃内容) 非常に柔らかいハンドリングを活かした、ボールの捌きの良さがある。ただし驚くようなヒットを打つ割には、率はそこまで突出したものは残せていない。ちなみにフォーム分析の参考にした打撃フォームは、2年時の大学選手権の時のものなのでご了承願いたい。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えられている。腰の据わり具合、両目で前を見据える姿勢、全体のバランスと、ほどよく構えられている。しいて言えば、線が細く力感に欠けるところが頼りない。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下る途中で動き出す、「早めの仕掛け」を採用。早めに動き出す、アベレージヒッターに多く観られる始動だと言える。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足をしっかり引き上げて、真っ直ぐから少しアウトステップ気味に踏み込んで来る。始動~着地までの「間」はとれているので、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。真っ直ぐ~アウトステップ気味に踏み込むので、内角でも外角でも対応しようとする意識だが、内角寄りの球をセンターからライト方向に打ち返す意識が強いのではないのだろうか。この選手の打球をみると、あまりレフト方向へキレイに流すとか三遊間に転がすといった打球は記憶にない。 気になるのは? 踏み込んだ足元が早く地面から離れること。そのため引っ張り込める球に対しては良いのだが、外角に逃げてゆく球や落ちる球に対してはどうなのだろう?という疑問は残る。足元が離れやすいのは、ステップがやや狭いことも影響していてそう。また足元が早く地面から離れることで、打ち損じる球も多いのではないかと思える。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体で、リストワークに力みがないところは良いところ。それも「トップ」を深くとって、ボールを手元まで引きつけてから叩けている。 バットの振り出しは、インサイド・アウトで振り下ろされておりインパクトまでロスを感じない。やはりスイング軌道も、外角の球を強く叩くよりも真ん中~内角寄りを引っ張ることを重視したスタイル。そのため外の球を、遠心力やバットのしなりを活かして強くはじき返すという感じのスイングではけしてない。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げはあるが、目線の上下動は少なめ。身体の「開き」はつま先を閉じる意識はあるので、早すぎることはない。それでも左投手の外に逃げてゆく球や外角で落とされた時に、充分に「開き」を我慢して踏ん張れるかと言われると疑問。 軸足の内モモの筋肉はそれなりに強そうで、「トップ」の深さも相まって鋭い打球は期待できそう。 (打撃のまとめ) 外角への対応と、足元の地面への離れが早いことで打ち損じも結構多そうだということ。さらにスイング軌道が、外角に対してはあまり強く叩け無いスイングであり、その辺が思ったほどの成績を残せていない理由ではないかと考えられる。 彼が天才的なボールを捌きを魅せるのは、真ん中~内角寄りの球が多いのではないかということ。その辺は、最終学年で最も確認してみたいポイントだ。 (最後に) どうも非凡な才能におぼれて、取り組みが甘いのではないかという不安は残る。というのは、他のドラフト候補に比べて線が細い点がどうしても気になってしまう。 いずれにしても最終学年では、リーグ戦での突出した成績、外角への捌き、肉体の変化など中心に見極めてみたい。果たして最終学年は、目の色が変わってくるのか、その変化に注目してみたい。それが叶っているのならば、ハイレベルに三拍子揃った選手として、上位指名でプロ入りすることになりそうだ。 (2016年 大学選手権) |