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岩城 駿也(九州産業大4年)三塁 180/80 右/右 (東海大五出身) 





  「三塁手としては厳しいが」





 今春のリーグ戦でも、7本塁打・27打点 打率.469厘とリーグ戦としては驚異的な数字を残した 岩城 駿也 。全日本大学選手にも出場し、さらに大学ジャパンのメンバーにも選出された。しかしながら。それほど彼の評価は上がってこない。その最大の理由は、守備でのアピールに乏しいからではないのだろうか。

走塁面:
☆☆☆ 3.0

 ランナーに出ても、盗塁を仕掛けて来るような選手ではありません。しかし右打席からも4.15秒前後(左打者換算で4.0秒前後)で走り抜けられるなど、走力自体はプロに混ぜても中の上レベルのものがあります。この選手は強打者ですが、けして動けないタイプの強打者ではありません。

守備面:
☆☆ 2.0

 一塁を守ることが多かった守備も、この春は三塁手として出場。九州に遠征した時にみた試合前練習では、ボールを下がって捕ってしまうのは気になったものの、思った以上に動けていて驚いた。しかし大学選手権や平塚合宿などを通して観ていたら、送球ミスが多くやはりプロの三塁手としては厳しいだろうなという結論に至った。プロで鍛えても三塁はどうかといったレベルで、将来的には走力・肩もあるので、レフトあたりを担うことになるのかもしれない。一塁&左翼要員という位置づけでも欲しい球団があれば、充分にリストアップして来るだろう。


(打撃内容)

 今春のリーグ戦では7本塁打と、長打力を増してきた印象。元々は集中力に優れ、無類の勝負強さを売りにしていた。天性の長距離打者というよりは、宮﨑 敏郎(DNA)のような左右に打ち分けるポイントゲッター的な打者をイメージするのが正しいのではないのだろうか。

<構え> 
☆☆ 2.0

 前の足を引いて重心を後ろにかけつつ、グリップを大きく捕手側に引いて構える。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスと、独特の癖がある。本人はこれがしっくりしるというのならば、本人が違和感なく構えることが一番良いのではないのだろうか。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けとなる。まさに、彼のプレースタイルに合致しているのではないのだろうか。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を上げて回し込み、真っ直ぐ~少しベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応できる。真っ直ぐから~アウトステップ気味に踏み出すことからも、真ん中~内角寄りへの意識が強いことが伺える。

 腰は早く逃げがちなのだが、踏み込んだ前の足がしっかり止まっています。そのためアウトステップでも、「開き」を我慢して甘めの外角球や高めの球ならば、右方向に充分に打ち返すだけのスイングができるはず。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 あらかじめ捕手側にグリップを引いているせいか? しっかり打撃の準備である「トップ」の形を作れないまま振り出し中途半端になちがちに。上から脇を占めつつ内角の球を捌けますが、外の球に対してはバットの先端であるヘッドが下がって出てくる傾向にあります。そのためボールを捉える時に、ポイントが後ろになることも少なくはないのでしょう。またフォロースルーなどを使ってボールを乗せて運ぶというよりも、強くしっかり最後まで大きな弧を描きつつ振り切ってくるイメージがあります。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げはありますが、目線の上下動は少なめ。身体の「開き」は抑えられており、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて軸回転でスイングできています。軸足の内モモにも強さが感じられ、強烈な打球を生み出す原動力になっています。

(打撃のまとめ)

 ボールを呼び込むまでに、独特の感性があり高い対応力を可能にしています。その一方で、生で見ていると意外に甘い球を打ち損じるケースが目立ちます。そのへんが改善されて来ると、凄い打者になれるかもしれません。プロに混ぜてしまうと、中距離~中長距離といったタイプで、長打力よりも勝負強さの方に比重が高い選手ではないかと感じます。しかし打つことに関しては間違いなくプロ級なので、あとはいかにポジション的に空きのある球団に入れるかではないのでしょうか。


(最後に)

 打つことに関しては、今年のドラフト候補でもトップクラスの技量があります。その一方で、守るところが限定されるなど、使い方が限られるので需要のある球団がどの程度あるかということではないのでしょうか。そういった意味では、地方リーグの選手でもあり、ドラフト指名は比較的下位指名にとどまる可能性があります。その割には、リターンの大きな選手に育つ可能性は充分あると思います。下位で指名できたら、とても美味しい選手なのではないのでしょうか。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2018年 平塚合宿)
 









 岩城 駿也(九州産業大3年)内野手 179/80 右/右 (東海大五出身)





 「大学NO.1の強打者」





 今年の大学生の中で、一番の強打者はと訊かれたら、迷いなくこの 岩城 駿也 の名前をあげるだろう。3年春のシーズンでは、脅威の25打点。続く大学選手権でも打率.429厘を残すなど、その打力が全国レベルであることを実証した。パワーと上手さと勝負強さを兼ね備えた、まさに頼れる強打者なのだ。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、右打席から多少緩めても4.4秒前後。これを左打者に換算すると、4.15秒前後に相当する。本気で走り抜ければ、あと0.1秒ぐらいは縮められそう。このタイムでもドラフト候補としては平均的なタイムであり、もし本気で走り抜けていれば中の上ぐらいの脚力はあるのかもしれない。ただしこれまで公式戦で、盗塁をしたという記録は残っていない。

 一塁手としては、無難に守っている印象。けして、動きの悪い一塁手ではない。そういったこともあって、三塁にも挑戦しているという。そのため3年秋のリーグ戦では、三塁手としてベストナインを獲得。実際どの程度の守備力なのかはわからないので、ぜひ最終学年では確認してみたいポイント。上のレベルでも三塁がこなせるぐらいの素材であるならば、プロ側からも高い評価がなされるのではないのだろうか。


(打撃内容)

 バットが強く振れるだけでなく、ミート力や右方向への打撃も可能という幅の広い打撃をする。スラッガーというよりも、ポイントゲッタータイプなのかもしれない。

<構え> 
☆☆★ 2.5

 前の足のカカトを浮かし、両足を揃えたスクエアスタンス。グリップを高めに身体の近くに添え、バットを立てて構えている。その際に前の肩が内に入り気味な癖のある構えなので、全体のバランスとしてはどうだろうか? 両目で前を見据える姿勢・腰の据わりは、並ぐらい。本人としてはこれがシックリくる形なのだろうから、壁に当たるまではこのスタイルを穿けば良いと思う。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が下がりきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多くみられる仕掛けとなっている。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足を引き上げて、真っ直ぐ踏み出しくる。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプ。踏み込んだ足元は、早めに地面から離れるので、基本引っ張って巻き込みたい打者だとわかります。それでも外角高めの球ならば、スパンと払って右方向に長打を放つのを得意としています。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は、早めに作れているので速い球に立ち遅れる心配はない。バットの振り出しは少し遠回りに出てくる部分はあるのだが、そのぶん遠心力を活かしてバットのしなりは活かせているので右方向への打球は伸びている。また内角の球に対しては、脇をしっかり身体につけて捌ける器用さもあり、得意の引っ張りで長打を放つことができている。

 ボールを捉えてからも、非常に大きな弧を描いたスイング。フォロースルーを使えて、最後まで位置までグリップが引き上がっているように、打球を遠くに運ぶ術も持ち合わせている。

<軸> 
☆☆★ 2.5

 目線の上下動は並ぐらいだが、身体の「開き」を我慢できているというタイプではない。そのため外に逃げてゆく変化球や落ちる系の球は届かず、いかにカットするか見逃すことができるのかが鍵。軸足も少し前に傾くなど、身体が突っ込まないように注意したい。

(打撃のまとめ)

 まだ改善する部分は残っているものの、ミート力・パワー・精神力と兼ね備え非常に強打者としては理想的なタイプではないのだろうか。生粋のスラッガーというよりも、パワーと確実性を兼ね備えた中距離・中長距離打者といった感じがする。

 それでも身体にパワーがあるだけでなく、飛ばせる技術も持っている。けして、強引な力任せなスイングではない。プロの環境でも、中軸を意識できる素材なのではないのだろうか。


(最後に)

 最終学年では、どのぐらいの成績を残すのか今から非常に楽しみな素材。学生では数少ない、強打で際立つ打者だと言えよう。これで三塁でもこなせれば、上位指名の評価になる可能性もある。注視して、この1年見守って行きたい。


(2017年 大学選手権)