18dy-4


 








吉田 高彰(上武大3年)捕手 180/80 右/右 (智弁学園出身) 
 




 「打撃が・・・」





 下級生の頃から大学ジャパンのメンバーに選出されている選手で、同世代では屈指の実績を誇る捕手。しかし打撃の方は、どうにも腰が早く引けプロレベルでは大丈夫なのかか? という疑問を抱きたくなる。


(ディフェンス面)

 テンポの良いプレーを心がけ、多彩な投手陣の個性を活かすリードには定評がある。ミットをしっかり示し、投手としては狙いをつけやすい。示したミットを一度地面に降ろしてしまう癖があるのは気になるが、それでも対応できてしまう。それはこの選手のフットワークの身軽さと、反応にも自信を持っているからだろう。

 ミットがブレない、確かなキャッチングをします。それほどボールを押し戻すほどの強さは感じられませんが、コース一杯のストレートでもミットが全くブレない。そのため審判のストライクカウントを、呼び込みやすいのは確か。最大の自慢は、塁間1.9秒前後でも走者の滑り込んでくるところに制球できるスローイングの安定感にあります。A級の強肩だとは思いませんが、精度はかなり高い選手ではないのでしょうか。あんまりプロにというほどの明確なアピールポイントはないのですが、ディフェンス全般にバランスのとれた捕手だとは思います。


(打撃内容)

 リーグ戦では3割前後、全国大会でもソコソコ打ててはいます。チームでは8番あたりの下位打線を担っていますが、けして成績的には全く打てていない選手ではありません。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスと、並ぐらいではないのだろうか。

<仕掛け> 遅め

 投手の重心が下がりきって、前に重心が移動するタイミングで動き出す「遅めの仕掛け」を採用。ボールを極力引きつけてから動き出す打ち方なので、長距離打者か生粋の二番打者に多く見られます。彼の場合は、後者である可能性が高そうです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を軽く引き上げて、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は短いので、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められます。アウトステップするように、内角を意識したスタイル。それでも踏み込んだ前の足はピタッと止まっているので、外角でも高めの球ならば対応できそうです。

<リストワーク> 
☆☆ 2.0

 打撃の準備である、「トップ」の形を作るのは自然体。しかし腰が早く逃げて肘を落としてスイングして来るので、どうしてもインパクトまで遠回りだったり、外角の球を強く叩け無いスイングをしています。それでもなんとかバットの先端であるヘッドを立ててスイングできるので、フェアゾーンに落とせる確率は上がるのでしょう。インパクト後のスイングはさほど大きくなく、フォロースルーなどボールを遠くに運ぶ動作は見られません。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動は少なめ。身体の「開き」も我慢できていますし、軸足を機転として回転はできています。上手く引っ張って巻き込んだ打球が、この選手の持ち味なのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 外角に逃げるスライダーや沈む球を投げていれば、まず打たれないだろうというスイングではあります。しかし下位打線の打者に、そこまで徹底した配球をして来るのかは微妙でしょう。そういった部分を疎かにすると、下打線の彼に手痛い目にあうのかもしれません。極端なスイングなので、プロのレベルで通用する打撃なのかには疑問が残ります。


(最後に)

 ディフェンスの総合力はそれなりにあるのですが、プロが惹かれるような圧倒的な特徴・身体能力はないように感じます。それだけに、高く評価されるかと言われると疑問です。

 また打撃はかなり穴がある打者なので、この辺もスカウトがどう見るか? このままプロ入りせずに、強豪社会人チームの名捕手という形で活躍してゆく選手なのかもしれません。


(2017年 大学選手権)